食文化の豆知識193 食文化の現状172 (大豆は重要食材)

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食文化の豆知識193 食文化の現状172(大豆は重要食材) 

日本の主食はまぎれもなく米ですが、米に負けない、というか、米と同じくらい重要な食材があるとするなら、それは大豆でしょうか。大豆からいろいろな工程を経て、実に多くの食材が完成します。主な工程のみで語れば、絞れば大豆油。炒ってきな粉に。コウジや食塩などを加え熟成したのが、味噌・醤油。発酵食品としては納豆。煮沸などの処理工程で生まれるのが、おから、豆乳。そしてゆばに豆腐。すべて日本料理には切っても切れない、重要食材です。特に醤油と味噌は、料理の要。大豆なくして、日本料理は成立しないといっても過言ではありません。大豆収穫前の枝豆が大好物の身としては、お腹いっぱい自国産の枝豆を食したい、とこれは食いしんぼの切なる願いです。 

その大豆ですが、大半が輸入に頼っています。2020年の国内栽培は21万1千トン。食品用として使用される自給率は20%で、全体では6%の自給率しかありません。ここまで自給率が低下した要因はさまざまですが、最も大きな理由は、大豆は気候による収穫量の変動幅が大きく、結果として価格が安定しないことによる作付離れだといわれています。ならば、ここは米と同様に豊作不作にかかわらず、国が価格安定保証をしてもよいのでは、と思います。それほどに日本にとって、大豆は大切な作物です。日本農業の危機といってもいいのではないでしょうか。。 

ただ農業全体としての朗報は、5ha以上の農家の占める割合が平成12年では14%だったのに対して、平成27年には67%と増加しました。徐々にですが、農業の大規模化が進んでいます。日本の農業を強くするのは、大規模化と効率化の二点であるのは、多分、政府・行政もわかっているはずです。わかっているけれど、日本の公的執行力の弱さが、抜本的な農業改革をはばんでいるのでしょう。欧米各国の自国農業促進力と比べ、その弱さが目立ちます。有事になれば、日本の食卓は無残なものになりそうです。その時に後悔しないように、今からできることを着実に実行していくしかありません。 

食生活アドバイザー 間島万梨子

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