顧客満足の複雑さ125「個人主義と集団主義がもたらす光と影」
関西国際空港近辺エリアではホテル建設ラッシュが続いている。100室~250室の中規模スタイルで、部屋はツインルームが主流、価格は1万円足らず。ビジネスマンの出張需要型シングルルームが多い、既存の都市型ビジネスホテルとは一線を画した仕様になっており、対象を100%訪日外国人観光客に絞り込んでいるのは明らかだ。その殆どはレストランを有しておらず、宿泊客の朝食は、ラウンジやそれ専用の宴会場をもって対応している。そういう流れの中で、最近オープンしたホテルは、国内でのチェーン展開を図る有名企業のブランドのひとつで、上階に正式なレストランが入っていると知り、大いに期待していた。車で20分前後の距離にあり、利用してみたいものだと。ところがオープン後のホテルホームページを見ても、レストランの詳細案内は掲載されていない。で、よく目を凝らしてみるとレストラン写真の下部に「朝食1000円、夕食2000円」の提示があった。そういうことか、と納得がいった。このホテルは、いわゆる宿泊客囲い込み型施設であって、レストランも宿泊客専用であり、外部客を対象としていないのだ。 途端に興 味を無くした。宿泊客は、ここで1000円の朝食を取って観光に出かけたのち、2000円相当の夕食を取って一日の閉めとする。修学旅行生をメイン顧客ととらえてオープンした、ユニバーサルスタディオジャパン近隣のホテルと同じコンセプトなのだ。一人一律数万円の特定格安団体ツアーをさばくためのホテルであって、地域住民は全く無視されている。このような完全に特定外国人団体観光客を対象と捉えたホテルは、外国主要都市にもあるのだろうか。ただ時代の趨勢が変われば、このレストランも一般客向けのメューを用意して対外に宣伝する日が来るかもしれない。集団から個へ。そんな変わり身の早さを予感させるホテルの誕生だった。
1948年に祝日法が制定されて以来、最長という10日間大型連休の話題はもっぱら日本からの海外旅行状況に集まっている。JTBによると海外旅行の予約はこの時期の例年8割増だとか。期間が長いことから、行き先も欧州やハワイ、近隣国に わたって分散されているようだ。その意味では選択肢の広がりを持てる連休となった。一方、喜んでばかりもおられない企業・人達も多い。非正規雇用者しかり、病院しかり、製造業しかり、激務が予想されるサービ業しかり、教育関連しかり。要となる道路やエリアの酷い混雑等は、普段使いの人にとっては大いなる迷惑だ。某新聞が実施したアンケートでも、10連休を歓迎しない派が、6割を超えていた。連休イコール旅行イコール経済効果、という何とも古臭い政策を政治家や役人の浅知恵、と切って捨てた意見があった。お上の号令の元、一斉に休む日本人の働き方に疑問を抱く声も多い。このような集団での休暇の取り方しかできない日本人が外国人観光客のことをとやかく揶揄するのも、妙なことかもしれない。ご退位ご即位という慶事を国民として喜びつつ、いつになれば、個々人がまとまった休暇を独自の計画に基づいて取れる時代が来るのだろうかと思う。