顧客満足の複雑さ115「食品添加物問題」 飲食担当 間島
このところ、ある週刊誌の“食べてはいけない国産食品実名リスト”記事の連発が世間を賑わしているようだ。その食品に含まれる添加物が人体に悪影響を及ぼす可能性があるとして、会社名と商品名を列記したもので、まさに一方的弾劾裁判の様相を呈している。で、ついにはライバル誌が、“その食品は本当に危険なのか”の疑問を投げかけるにいたり、乱戦状態になってきた。このところの週刊誌は健康雑誌のようだが、個人的には、前誌が取り上げた食品添加物などによる健康被害の警告記事を押したい。というのは確かに、日本の食品の添加物天国状態は目に余るからだ。他国の状態は正確には知らないので比較できないが、日本の食品を安く仕上げるための方策として、添加物使用が当然のようにまかりとおっている状態は確かだろう。それが本当に危険であるかどうかは別問題として、加工食品や菓子・パン類、冷凍食品などの原材料を見ると、めまいがしそうなほどの添加物が表示されている。企業側の言い分はどこも“すべて厚労省が定めた省令にのっとって使用している“で統一されている。つまり法律違反はおかしていない、ということだ。
他国の状況は知らない、と切り捨てて無知を恥じないのもいかがかと思い、若干調べてみた。結論は“分からない”となった。日本の添加物認可数はアメリカの2.6倍、ドイツの約5.5倍、フランスの約11倍と、とびぬけて多いものの、各国で基準や分類方法が異なるので一概には比較しにくい。せめて先進国間で国際基準を作るべきだろうと思うが、そのようなきざしは全くない。となるとやはり個人個人で、口に入れる食品に関して選択眼を持つ以外にはない。添加物により食品が飛躍的に長持ちをし、味も良くなり、衛生的になったのも事実なので、それらを危険視する週刊誌報道の過激さにも眉をひそめたくなるが、亜硝酸塩(発色剤)とソルビン酸(保存料)、タール系着色料の3種類が添加されている食品だけは、我が家でもなるだけ購入しないようにしている。添加物使用の黎明期ならいざ知らず、今はそれらを添加せずとも一級の食品を作り出す技術は開発され、実行している会社も実際に存在するのだから、添加物使用の有無は結局のところ企業の倫理観次第ということになる。
問題は、添加物が少なければ少ないほど価格が高くなりがちなことだ。果実と砂糖のみで作られたジャムは、ゲル剤やPH調整剤などが添加されたものの2倍近くはする。ハムでも、発色剤やリン酸塩、ソルビン酸不使用の無塩せきのものは、通常のハムの1,5倍の価格だ。添加物が多ければ多いほど価格が安いという、おぞましい現実も購入の判断の是非にいれるべき時代になっていると思う。健康もお金次第、となってはいけない。消費者に届ける食品は安く安全が原理原則で、希少食品や原価そのものが高い食品に限っては、それ相応の価格を付けて売ればいい。添加物まみれの食品が自然に淘汰されるとすれば、それは消費者次第なのかもしれない。
2018年7月10日