【第140回】 食環境の現状(119) (エンゲル係数の上昇)

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食文化の豆知識140 食文化の現状119(エンゲル係数の上昇) 

生活レベルの度合いを示すといわれるエンゲル係数が徐々に上昇しているとか。2人以上世帯のエンゲル係数は、2001年の23.2%から2010年の23.3%に至るまで、ほぼ変化の無い状態が続いていましたが、2015年に24.0%、2016年には25.8%と明らかな上昇が確認されました。消費支出に占める飲食費の割合(エンゲル係数)が高いほど、生活水準が低いという経済上の常説が疑問視される結果です。 

近年のエンゲル係数の上昇に関しては、色々な理由が取りざたされています。中食と呼ばれる食品の購入増、飲食費が高くならざるを得ない年金受給者の増加、それに食生活自体が豊かになったことなどが、エンゲル係数を押し上げたとの分析です。でも実生活を送る身として最も強く感じるのは、食料品価格の上昇です。輸入先国の気候変動による小麦や大豆の値上がり、連動しての肉類の値上がり、乳製品全般の値上がり、野菜類の値上がり、どれも確かに値上がりをしています。というか、高止まり状態なのです。乳製品も野菜類も諸事情で価格は上昇しますが、落ち着くと従来価格に収まっていたのが、ここ2年ほどは、完全に高止まりしています。そして、その状態が当たり前に定着し、家計における飲食費も徐々にあがっていく、という構図があるように思えてなりません。 

食料品以外でいえば、紙類も高値安定状態です。必要な日用品が値上がりしています。いわゆる消費者物価指数が伸び悩んでいるとのデータが出されますが、対象の中には生鮮品などの食料品は入っていません。家電や衣類価格が低下しても、正直、さほどありがたみは感じません。特に衣類は今あるもので充分、身はひとつです。然し、食は毎日、需要が発生します。人間の根幹をつかさどる食料品一般の低価格安定供給は、先進国の証として最重要課題です。 

                 4月8日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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