食文化の豆知識 99 [食文化の現状78]
実際に外国に行かなくても、その国の人々の食生活はテレビなどでかいまみることが出来
ます。紀行番組の中で、住民の方々の昼食や夕食の場面があると、目が離せなくなります。
所変わればの最たるもので、食事はお国柄を表す大きな要素だからです。今や、日本でも
外国産の食材はそろっていますし、百貨店などでも各種輸入品が手に入る時代ですが、
どのような食生活を送っているのかを見るのは楽しいものです。
アジアは家庭食というより、屋台や飲食店での食事場面が多く、それもとても楽しそうで
す。家で作るより安価で美味しいとくれば、外で食べるのが便利に決まっています。主婦
も大助かりでしょう。料理もバラエテイに富んで、パンチが効いているものが多い印象を
受けます。野菜も多く使用されていて、栄養的にも良さそうです。毎日同じものを食べて
も飽きないようです。
一方、イタリアなどの紹介番組では、家庭での食事場面が多く見られます。ランチは大体
がパスタ。オリーブオイルとバターをたっぷりと使って、ダイナミックに作られたパスタ
は、見ていても喉が鳴りそうです。でもメニューはシンプル。あとは水かワイン。サラダ
がついているケースもあまり見られません。ディナーはさすがに肉などのメイン料理がま
ずあって、やはりパスタがあり、必ずワインが添えられています。でもせいぜいが2品か
3品。ただボリュームは日本の比ではないようです。豊かにテーブルに用意されている。
野菜はトマトと玉葱、きのこ類がたっぷりと使われています。毎日、昼はパスタ、が
ごく一般的なようです。
ひるがえって我が国は、まさに百花繚乱の食生活です。昼はそば、夜は中華、の日もあれ
ば、昼は洋食、夜は魚の塩焼き和食、または昼はラーメン、夜は焼き肉。昼はパスタ、夜
はコロッケ、ってのもありそうです。本当に毎日、色々な料理を楽しんでいる。同じもの
を毎日食べ続けるという習慣はあまり、ありません。ご飯は毎日食べても、おかずは和洋
中と変化をつけている人が多いでしょう。結果として、色々な食材が必要になりますし、
料理を作る側も大変です。シンプルで美味しい料理を毎日、同じように食べている生活が
少しだけ、うらやましくなりました。日本はやはり、ちょっと贅沢なのかもしれません。
25年10月7日 間島万梨子 食生活アドバイザー