【第71回】 食環境の現状(50)

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食文化の豆知識  71 [食環境の現状50]

 

関西の某大学にて、「関西の食文化」という標題で講義を仰せ付かりました。特別講義

ですので、1時間30分の限られた時間枠で、関西の食文化の歴史や伝統、また関西

二府四県の食材の特徴などの内容を盛り込まなくてはなりません。まさにてんこ盛りの

教材になってしまいましたが、自分自身、あらためて関西の食の素晴らしさを再認識
するいい機会になりました。

 

特に、「コナもん」で片づけられがちな大阪の食の奥深さを若い方たちに発信できたのは、

うれしい限りでした。私もたこ焼きは好きな方ですし、お好み焼も好物の一つですが、

他に一杯、美味しい物がこの地にはあふれています。また、大阪の人は“「コナもん」食

べにいこう”などとは決して言わない。「コナもん」なる呼称が浸透したのは、ほんのこ

こ10年来のような気がします。情報誌やメディアが面白おかしく作り上げ、取り上げ

た陳腐な呼称だと、個人的に思っています。たこ焼きはただのスナックです。目的型の

食ではなく、たまたまそこにあるから食べようか、という範囲内の食で、ナポリのピッ

ツアの奥深いレベルにはほど遠いジャンルに位置付けられるものでしょう。

 

天下の台所と称され、その地での食材などは“下りもの”と尊重された歴史を知るにつ

け、もっと関西の食の素晴らしさが発信されてもいいと切に願っています。瀬戸内海、

太平洋、日本海の何と三海から水揚げされる豊富な魚介類、和牛誕生の地としての但馬。

多湿で温暖な気候ですくすくと育つ野菜類。どれを取っても関西の食は多様性に満ちて

います。そして昆布を主とする出汁文化は、繊細な食材の旨さを十二分に引き出す力を

持っています。清流から産まれた銘酒や豆腐も、豊富な食文化の一角を担っています。

 

これからも、関西の食文化を大局的に検証していきたいと思っています。

 

23年6月1日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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