メディアが取り上げる食材に関する情報は、主に健康を保持する食生活への提言を
基に組み立てられていることが多いようです。例えば健全に痩せる食材、血圧を下
げる食材、糖尿病予防の食材、便秘に効く食材、お肌に良い食材などなど。その多
くは生活習慣病予防に役立つ食材情報といったところでしょうか。
その発信元が新聞である場合、反響は穏やかなものですが、テレビとなると狂乱と
まではいかずとも思いもかけない混乱を招くことが多々あります。紅茶きのこ、コ
コア、マロニー、バナナ。筆者自身はテレビは余り見ないので、現状を目にしてそ
の理由がテレビであることを知るわけです。朝食に欠かせないバナナが売り場から
消えてしまったのは何故?鍋物にいつも入れるマロニーが見あたらない!
紹介される食材すべてが自分にかかわることは無いのですが、日常に食している食
材が売り場から消えると、正直あせります。でも、大抵が3~4週間ほどの不便を
がまんすれば元の平穏な状態に戻ります。一体、あの騒ぎは何だったの?という
感じです。食生活は、つまるところ自分自身の習慣が大きく作用するもので、一時
のブームに乗っかっても習慣化しない、ということなのでしょうか。あの美味しい
バナナにしても、テレビのダイエット効果情報に乗って買いあさった人達が飽きて
しまったか、思うような効果が出なかったので購入しなくなったか、多分、後者の
可能性大でしょう。バナナを食べるだけで痩せるはずもないのです。
肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の原因は、食が8割、遺伝的体質が2割く
らいではないかと思います。体質はいかんともしがたいところです。血圧は、同じ
ものを食べても加齢現象や体質によって、高くなってしまう人はいます。肥満も太
りやすい体質は確かにあるようですし、糖尿病も膵臓の能力差によって発症率が影
響されます。ただ発症しやすい体質を、食でカバーすることは充分に可能なのです。
体に良い王道的食材も食品もありません。どんなに良い成分が含まれていようとも、
そればかり食べて体にいいはずもありません。結構なうたい文句付きの高価な健康
食品を取るより、多種多様な野菜と良質のタンパク質をほどほどに食べる方が、よ
ほど体が喜ぶというものです。メディアもいい加減に、特定の食材宣伝を辞めて欲
しいものです。
平成21年4月12日 P&Cネットワーク 間島万梨子 食生活アドバイザー