【第16回】 [ 食育の重要性 (2) ]

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【第16回】 [ 食育の重要性 (2) ]
 
昨今の、消費者の食の安全に対する関心の深さや本物志向を受けて、食を提供する側でも、“本物の味”“こだわりの○○”といったキャッチをつけて販売するケースがよく見られます。確かにアピール度は高くなります。しかし原材料を眺めれば、ごく一般的な食材であったり、いろいろな添加物が入っているといった場合も少なからずあるのです。そういった風潮を苦々しく思う人たちの中から、“本物という言葉を軽々しく使うことが間違っている”“果たして本物って何だ?”という声が聞こえてきます。
 
「本物」とは、いったい何をさすのでしょうか?簡明に判断するのは非常に難しいのですが、確かに言えることは“余分なものが加えられていない食材であること”が、本物の条件のひとつであるということです。
 
毒々しい着色料のついたお菓子、旨みを添加した即席みそ汁、きれいな色合いのハム類、すぐに悪酔いしてしまうお酒、甘すぎるチョコレート等は、見かけをよくするために、口当たりを良くするために、日持ちを長くするために、または作るコストを押さえるために(これが大きな理由の一つ)、本来の食材に、いろいろな安価な成分が添加され商品化されているのです。だから、それらは概ね安い価格で手に入れることが出来ます。まさに“消費者の強い味方”として支持されてきました。でも、人間が作り上げた偽物でもあるかもしれません。本当に必要なものだけが加味されている食品の美味しさを舌に覚えさすことが大切なのです。
 
今、数々の添加物が人体へ及ぼす悪影響を訴える本が次々と上梓され、本来のシンプルな食材、食品を見直そうという機運が高まっています。
古来の人たちが口にするのは、原食材そのものに火を入れただけのものだったと思われますが、食の味わいの楽しさを追求するにつれ、いろいろな調味料や加工品が開発されてきました。これらは食生活を豊かさにするもので、人間だけが手に入れた贅沢といえるでしょう。でも、あまりに人工の味が加味されて、本来の食材の味わいを見分けられなくなるといった現象も危惧しなければなりません。
 
“本物”は確かにあるのです。ただ、それを手に入れるには、多少の努力と知識とお金がかかることを覚悟する必要があります。
 
 
 

 

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