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顧客満足の複雑さ 107 「画期的な商品開発と発想力」

顧客満足の複雑さ 107「画期的な商品開発と発想力」飲食担当 間島 

技術や文明がある程度成熟した先進国家においては、各企業はさらなる高付加価値の製品開発に余念が無い。日々、開発に明け暮れているといっても、いいかもしれない。この時代、人をあっと言わせる商品を開発できれば、それこそあっという間に世界市場を席巻できる。薬品業界、自動車業界、IT関連業界などは特に魅力的な新商品が企業の発展を約束するので、多くの力と金を注ぎ込んでいるはずだ。消費者の販売意欲を刺激する新商品が出れば、景気も上向く。 

現実に、画期的なものの萌芽はある。人類の今後を左右するであろうiPS細胞における最新再生医療をピンとすれば、様々な分野での小ヒット商品は出てきている。低価格の電気自動車やより便利な携帯電話、アイロボットに象徴される家電業界の進化etc、これでもかと思えるほどに、企業の開発努力は続く。新商品が出ると、企業側の発想力と実現力に感心することが多いが、やっと出てきたか、と思うこともある。それは多分、背景に消費者のニーズをすくい取る姿勢があったのに違いない。 

飲食店や宿泊業界、それに交通関連業界は、身近な例として生活に密着している。フェリーやバスの高級化はまさに消費者のニーズが生んだ世情だと思うが、ここにきて驚いたのは、アメリカのロスアンゼルスからサンフランシスコへの長距離バスに、約20の二段式完全寝台型が登場したことだ。寝具や環境に快適な寝心地を約束している。夜11時に出発して明朝の7時に着く。約1万3000円だから、1万円を切る飛行機と比べても結構な価格になるが、夜間睡眠時の有効利用と乗降車の簡便さが受けて、人気と話題を集めているらしい。飛行時間が1時間30分でも、前後の煩雑な飛行諸手続きを嫌う人のニーズに合った新商品だと言える。さて、飛行機の二段式完全寝台型は、不可能という3字で無視されるのだろうか。 

世の中には、今まで考えられないようなサービスや新商品がまだまだ待機していると思うと、楽しくなる。想像を超える商品もあれば、消費者のニーズをうまくすくい取ったものもあるだろう。固定観念を超えた自由な発想が必要だ。かつて日本が先導した家電やIT関連が、アメリカなどの後塵を拝しているのはとても残念でならない。日本初の画期的な新商品が出てきて、世界が追随する日が来るのを夢見ている。

             

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顧客満足の複雑さ 106 「野菜摂取量の是非」

顧客満足の複雑さ 106「野菜摂取量の是非」 間島 

昼食は外で取ることが結構多い。大体が麺類中心なので栄養のバランスは余り良いとは言えないが、高い頻度で利用しているチャンポン店では優秀な栄養満点のメニューをいただくことが出来る。麺の上に乗っかっている野菜や豚肉のボリュームは、一日の摂取推奨野菜量350g超大盛りに始まって、やや大盛り、並盛りの3種が用意され、350g盛りのチャンポンは食べ切れないほどだ。よって、やや大盛りが注文時の定番だが、それでも野菜と豚肉で200gほどはあるので、昼食としては十分な野菜摂取量だ。なかなか外食で充分な野菜を取る機会は難しい中で、このチャンポン店の存在は有難い。 

平成28年度の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省公表)によると、同年の日本人の一日の平均野菜摂取量が276.5gと前年より17.1g減り、この10年で最低になったという。ちなみに、日本では国が勧める世界基準の一日野菜摂取量350gを今まで一度もクリアしたこともないし、摂取量は米国や中国にはるかに及ばない。理由としては、食べ切れないから、調理に手間がかかるから、値段が高いから、外食が多いからの4つが上位を占めているらしい。それぞれもっともな理由だと感心してしまう。手間がかかるのは、日本の野菜料理は酢の物や煮物、炒め物などと調理方法が多彩だからで、大量に野菜を投入する煮込み料理を主とする国では一気に野菜不足は解消できそうだ。値段が高いから、はその通りで、何故日本では野菜がべらぼうに高いのだろう。きゅうり一本が70円、トマト一個が150円、ほうれん草一束が200円と聞けば、市民が卒倒してしまう他国も多いはずだ。 

そしてまさに、食べ切れない、が推奨野菜摂取量に届かない肝心な理由だと思われる。日本人の一日平均摂取カロリーは2500前後キロカロリーで、米国人の3500超キロカロリーには1000キロカロリーも少ない。つまり分母がこれだけ異なるのに、分子である野菜を同じ量の350g摂取しなさいというのも無理というものだろう。体が違うのだ。日本人の摂取カロリーは先進国群では最低ラインで、開発途上国並みだが、肥満度は低く、世界有数の長寿国だ。自慢していい。そろそろ厚労省も世界基準数値とやらにとらわれず、我が国独自の基準値をどうどうと打ち立てればいい。我が国民は小食につき、推奨野菜摂取量も我が国独自の数値で行きます、と主張してほしい。そうすれば野菜摂取量が目標に届かないと毎年やきもきすることもなくなるだろう。ただ、もう少し野菜の価格が低くなる手立てはないものだろうかと思う。ある特定地域では休耕田を野菜農場に転換して、その収穫野菜を野菜加工企業に売ることで収入を劇的にあげたと聞くが、日本全体で農地の集約化と効率化を図り、野菜価格を下げようとのビジョンはまだ見えてこない。

                         2017年10月1日

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顧客満足の複雑さ 105 「様々な世論調査」

顧客満足の複雑さ 105「様々な世論調査」飲食担当 間島 

内閣府が昭和32年度からほぼ毎年実施している「国民生活に関する世論調査」が8月に公表された。それによると、現在の生活に満足していると回答した率が、過去最高の73.9%となったという。「所得・収入」「資産・貯蓄」「食生活」「住生活」「自己啓発」「レジャー・余暇生活」のすべての項目で、各満足度が過去最高を記録した。内閣府は景気の緩やかな回復が原因と分析している。この結果をにわかに信じがたい向きも多いと思われるが、世論調査そのものが氾濫している昨今では、それぞれの受け取り方があっていいのだと思う。ことにこの結果は、“国民すべてが現状の生活に不満を抱いているに違いない“との認識に偏りがちなメディアにとっては見たくない数字であっただろうと思うと、いささか愉快でもある。 

確かに、求人率は上昇し、アルバイト時給は過去最高を記録し、今春の大卒就職率も過去最高の97.6%だった。この事実現象を、単に人手不足のもたらした恩恵ではないかと冷たく無視するのも無理筋だろう。企業業績が伸びているのだ。国内消費は期待するほど伸びてはいないらしいが、とにかく景気動向は数字でしか判断できない。国内総生産も予想以上の伸びを示した。そして、前記の内閣府の調査結果も確かな数値なのだろう。特定のメディアの自己陶酔による正義感がいかがわしいものに見えてくる。ただ、この調査における政府への要望では、社会保障の整備や、高齢者社会対策、雇用・労働問題への対応、防衛・安全保障問題、などが上位につらなっており、国民の現実的な賢明さを垣間見ることができる。 

一方、世論調査を含むすべての調査は、設問の内容や回答形式仕様如何によって、調査元が結果を誘導しやすいものだ。飲食店や宿泊施設に用意されているアンケート調査なるものもしかりで、一体何のために実施するのか判断に苦しむ場合もある。つまりどのような結果が出ても、それに対応できる体制がなければ全く意味がない。また適切な結果分析力がなくては、調査そのものが徒労に終わる。それより、長く繁盛している他店を視察する方が余程勉強になる。客が少なく元気のない店を見るのも反面教師となる。クレームはともかくとして、客のご意見を調査で知ろうとするより、自分自身が客となって他店を見ることで、自店がはっきりと見えてくるものだ。世界の飲食店やホテルでは、日本人客は“妖精”といわれているらしい。料理や待遇が気に入らなかったら、何も言わずすっと消えていなくなって二度と来ないからだとか。国民性を良く表しているものだと妙に納得してしまった。

                          2017年9月1日

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顧客満足の複雑さ 104 「日本型サービス」

顧客満足の複雑さ 104「日本型サービス」 

前回と関連するが、日本の労働生産性はOECD加盟先進国と比較して、22位と確実に低い。余り仕事に一生懸命で無い?ように感じられ、陽気で楽天的なイメージの強いイタリアやスペインよりも低いのだ。業種別では飲食・宿泊の労働生産性は加盟国第3位の米国の3割強に過ぎない。ちなみに製造業は約7割で、機械化による省力と効率化に一応の成功は収めている。他業種では小売業が4割弱、運輸は4割強と、日本におけるサービス業の低さが目立つ。 

つまり、日本型サービスは対価を吸収し得ていないということになる。サービスに対して正当な金額が払われておらず、結果としてサービス業と称される企業の労働生産性を低くしている。今、問題化している宅配費用の値上げ交渉も、日本で当たり前のサービスと受け取られていた配送サービス自体を、よりハイコストのリターン労働へと改善しようというものだろう。便利で上質のサービスには、消費者にそれ相応の対価を要求して当然なのかもしれない。でないと、いつまで経っても、日本のサービス産業の労働生産性は上がらない。その意味では、ヤマト運輸が開けた風穴の影響は大きいと思う。 

「おもてなし」が日本の強みである一方、そこで働く人達の負担を強いることがある。サービスの提供が過剰労働につながっては元も子も無い。以前、お手伝いをしていたチェーン飲食店のオーナーの“サービス向上はコストがかかるものだ”の言葉が、今になって現実的な響きを持つ。接客向上が顧客満足度上昇の要として、どこも力を入れていた時代、その言葉にいささかの違和感を覚えたが、まさにサービスは高く売れるものにもっていかなければ、企業も従業員も消耗する、との指摘であったのだろう。その飲食店は、質の良いサービス提供に見合った対価を得る戦略への転換により、順調にそして着実に業績を伸ばしている。飲食店で初めて週休二日制を導入したのも、そのチェーン店であったと聞いている。 

飲食店での過剰労働は黙認されてきたのは事実であって、これは厳しい見方をすれば、経営者の倫理観の欠如にほかならない。サービス提供が値段に合わないか否かのレベル以前に、滅私奉公を強いて当然という経営サイドの甘えが改められない限り、日本のサービス産業における労働生産性は上がらないだろう。それだけに、宅配業者が就労構造にメスを入れたことが、消費者、経営者双方に意識改革をもたらす方向へと誘うことを期待したい。「おもてなし」力を維持しつつ、消費者の適切な負担と従業員の待遇改善を図るのは不可能ではないはずだ。

                        2017年8月1日 間島 

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顧客満足の複雑さ 103「労働生産性の憂鬱」

顧客満足の複雑さ 103「労働生産性の憂鬱」

日本の国内総生産は、アメリカ、中国に次いで世界第三位であり、資源に乏しい極東の島国としては奇跡的な経済規模だと率直に思う。それはひとえに、国民の勤勉さと探求心、それに忍耐力のなせる結果なのだろう。素晴らしい人達が日本を牽引してきた証であって、今後も盤石であってほしいと願わずにはおられない。世界の国々から見た日本は、豊かでうらやましい国なのだ。 

然しながら、昨今よく耳にする労働生産性となると、余り大きな顔もできない。国内総生産からはじき出される就業者一人当たりの労働生産性は、2015年度でOECD(経済開発協力機構)加盟35か国中22位で、欧米主要国には及ばないし、就業者1時間当たりの生産性も、20位と低め推移となっている。労働時間の長さや仕事の効率の悪さ、特化した高価値産業の不足などが理由としてあげられている。過労死という日本発の不名誉な現象も払しょくせねばなるまい。で、政府も労働時間の短縮をうながしたり、休日を増やすなどして労働生産性を向上させようとしているが、なかなか簡単にはいかない。日本独自の働き方を変えるのは時間がかかるだろう。逆に、効率化を進め商品の低価格化を実現したからこそ労働生産性が低いのだ、という説もあるほどだ。 

さて、一口に労働生産性と言っても、産業間で差異が生じている。日本の場合、製造業や建設業はここ数年、生産性を向上させているが、小売り飲食宿泊の分野となると、この数年でも0.7%しか上昇していない。パートの増加があっても効果は薄い。やはりお客様に直に接する仕事は効率第一とはいかず、どうしても人手を取られるので、一人当たりの生産性は低くなってしまう。売上上昇が見込める休日の増加をばねにして、労働生産性を高める工夫も望まれよう。言葉は良くないかもしれないが、要は、ゲストの満足度を低めることなく手を抜くという技が必要だ。

日本型旅館の場合は、しつらえやサービス体制を一部ホテル化することで確実に生産性は上がる。布団の上げ下ろし、食事時のつきっきりの接客、ユニフォームとしての着物etc、うまく省力化をはかる必要がある。ベッド採用、一部ビュッフェ化、着衣簡便なユニフォームへの転換だけでも労働時間が節約できる。スタッフ・ゲスト双方に不便さを強いる、いまだに残るドリンク内蔵のロック式冷蔵庫の廃止、部屋食の減少、それに関連するが、食事室はテーブル式がサービス側の手間を劇的に減らす(スリッパ並びに草履などの着脱の手間も要らない)。見渡せば、労働を軽くする材料はいくらでもある。従業員に過酷な労働を強いていては、一人一人のユニークな発想力を引き出すことも出来ない。ゲストのニーズは今や、至れりつくせりの濃厚接客ではないのだから、労働生産性をあげるチャンスでもある。もしくは、眺望か、料理か、環境か、設備かで、超付加価値を提供する見返りとして一泊二食最低でも4万円以上をいただいて、結果として労働生産性を上げるかだろう。 

                        2017年7月1日

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顧客満足の複雑さ 102「民泊の危うさ 」

顧客満足の複雑さ 102「民泊の危うさ」 

住宅宿泊事業法が今年の3月10日に閣議決定され、順調に進めば2018年1月から施行されるという。違法民泊に対する罰則強化や法の整備が整えられ、日本でもいよいよ、民泊システムが定着すると読んだ企業が、様々な形で関連ビジネスに乗り出している。そこに儲けの匂いがするのだろう。パナソニックは民泊リフォーム事業を展開。ユニバーサルデザインには程遠い日本家屋を民泊対応の形にリフォーム支援しようというものだ。また、阪急不動産は民泊事業の認定手続きをフォローする。京王不動産では自ら民泊用マンションを運営・管理しはじめた。これら民泊を企業がビジネスチャンスととらえる動きは、日本独自の傾向だと思われる。逆に言えば、それほど、日本においては民泊がまだまだ浸透していないという裏返し現象なのだろう。 

さて、世界的には民泊は、規制が厳しくなっているケースの方が多い。カナダ・バンクーバーでは、自宅を30日未満で貸し付けるのを全面禁止した。事実上の民泊禁止だ。シンガポールでも住宅の6カ月以内の貸し付けを禁止。ドイツ・ベルリン市では集合住宅での民泊を2016年5月から全面禁止している。いずれも日本よりはるか以前から民泊が定着してきた国々が、規制強化の道を選びつつある現状は、日本にとって対岸の火事ではない。2020年に2000万人の訪日観光客を期待する政府は、その時点で5万5500室の民泊施設が必要になるという。すべて予測の段階だ。 

欧米大陸間の往来で各国よりまんべんなく安定した観光客を堅持しているヨーロッパ諸国と異なり、地形面から日本ではかなり偏った構図が見られる。また、治安、セキュリィーの面でも独特の問題を抱える日本で、民泊が今後スムーズに浸透していくとは、個人的には考えにくい。前述したように、不動産企業やリフォーム会社などの収益源としてのみ、機能していくような気がする。以前、テレビで紹介していたスぺインの民泊提供者、“日本人に貸したら、部屋が前より綺麗になっていた!”と驚いていたが、それは民泊ワールドでは多分奇跡なのだ。民泊普及に前のめりになる危険性を関連行政は理論的に想定して、規制の強化をより厳しくすることが望まれよう。 

                         2017年6月1日

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顧客満足の複雑さ 101「野菜も主役の仲間に 」飲食担当 間島

顧客満足の複雑さ 101「野菜も主役の仲間に」飲食担当 間島 

一泊旅行ではさほど感じないが、2~3泊以上となると、個人的にはてきめんに野菜摂取不足に陥る。特に魚介をメインにした夕食の場合、刺身や焼き物、煮物と豪華な皿が並ぶものの、野菜料理はせいぜいが、小鉢ものかあしらい程度しか登場しない。会席料理にしても、肉類や魚介類と比べ、野菜がおまけ感覚で供されるケースに多く遭遇する。そして、体からの野菜を食べろコールが聞こえてくるのだ。朝食がブッフェ式だと、サラダや温野菜(あればの話だが)で夕食時の不足を何とか補えるが、和定食式だとまたまた魚介が登場し、まさに前夜のミニ版を見る思いで、なかなかお箸が進まない。 

さて、厚生労働省が推奨する、一人一日350gの野菜摂取目標は、実現しそうにない。日本人の平均野菜摂取量はこの10年大きな変化は無いものの微減状態にあり、2012年で一人一日平均293.6gになっている。60才代の摂取量が最も多いが、それでも約320gで350gの目標には達せず、20才代では250g台という低レベルだ。世界の平均値は超えているらしいが、国別では中国、ギリシャ、スペイン、イタリアなどに大きく水をあけられ、アメリカの340gにもはるかに及ばない。あるリサーチ会社のアンケートでは85%の日本人が、アメリカ人より野菜摂取量が多いと思うと答えたという。日本食はヘルシーで野菜を多く食べているはず、という思い込みが回答に影響を与えたのだろう。現実はシビアだ。ただ日本人は全体に食が細いので、自ずと野菜摂取量も少ないのは仕方がないと言えるし、野菜の価格が諸外国と比べて高いのも確かだ。トマトはイタリアの数倍の値がついているし、その他の野菜類も家計に厳しい。 

そこで旅館などで供される料理に野菜重視の姿勢を取り入れないのはいかにも勿体無い。魚や肉と共に、主役三羽烏にぜひ入れて、魅力ある料理に仕上げてほしいものだと思う。“この夕食で一日分の野菜350gが摂取できます”などの言葉は、健康に留意する現代人には効果的なアピールになるだろう。私事になるが、時折訪問するちゃんぽん店に“野菜350g盛りちゃんぽん”メニューがあり、結構な人気を集めている。煮たり、蒸したり、焼いたりの調理方法による多彩で豊かな野菜料理は、多分料理人の腕が最も試されるのかもしれない。そこには、肉や魚よりはるかに奥深いアイデアとチャレンジ精神が要求されるからだ。 

                          2017年5月1日

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高級路線の定着

顧客満足の複雑さ 100「高級路線の定着」飲食担当 間島 

メディアは格差や貧困や不幸を俎上に載せた経済悲観論がお好みのようだが、経済は景気停滞から穏やかな回復基調にあるらしい。実数として、円安による株価上昇や失業率の低下、企業の生産活動の回復が確かに認められるので、少なくとも悪化はしていないのだろう。ただ家計消費が一進一退であるのに加え、若年層での消費性向の低下が、思い切った景気浮揚につながらない原因と考えられている。 

ここで、経済に弱い者としては、頭が混乱する。外食産業を始め、多くの企業は人手不足状態で、人集めに躍起になっている。外国人雇用推進がのぞまれるわけだ。人手不足は確実に賃金を上昇させるので、勤労者の財布は重くなっているはずだ。それなのに消費が伸び悩んでいる。将来不安からの蓄え志向と、欲しいものが無い状態が、消費の伸びを抑制しているという。ならば、豊かな層にたっぷりと消費していただくほかはないし、新たな魅力ある消費先を開発せねばならない。だれでもそう考える。それも高級一点お買い上げではなく、外に出てきてアクティブに使っていただこうという目論見だ。欲しいものが無いなら、リッチな体験に使っていただこうと。 

そこで、高級や豪華という形容詞を頭に冠した高級路線が登場した。高級バス、高級ホテル、豪華列車、豪華フェリーetc、かつてないほどの人気ぶりである。その中で特に目を引くのが、これまで低価格が魅力で利用者を増やしてきたフェリーと、観光を含む長距離バスの一部高級化だ。どちらもただの移動手段から、乗車そのものを楽しむものへと進化を遂げたと言える。居心地の良さと快適さへのニーズの高さがうかがえる。居心地の悪さと苦労に耐えての移動や旅行が見捨てられつつある画期的な新時代の到来といえるだろう。やはり日本は豊かなのだ。格差はあるものの、楽しむための消費意欲は衰えていない。 

さて、高級ホテルは以前からあるので、これら高級路線の登場の中では特に珍しさは無い。高級宿泊施設の値打ちは、ひとこと、あふれるほどの非日常感と快適感の提供に尽きると思う。非日常感は眺望や料理、空間雰囲気によってもたらされ、快適感は水回りや接客等によってもたらされる。そして今後の快適感の必須課題は、ベッド完備とバリアフリーに違いない。いわゆるユニバーサルルームの新設ないし増設だ。果たして日本人の何パーセントがベッドで寝ているかの統計は知らないが、少なくとも今の子供はベッドが主体で、体がベッド対応になっている。そして高齢者になればなるほどベッド以外での寝起きは辛くなる。日本家屋の良さはしつらえで充分に残せる。畳に布団で寝ることが非日常のお値打ちではないのか、との声もありそうだが、その不便さがいつまで通用するだろう。ニーズの変化は時として新幹線並みに速い。そして高齢者や体の不自由な人が望む潜在需要は、旅行を含め3兆円を下らないとの計測もある。

                          2017年4月1日

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民泊の是非

顧客満足の複雑さ 99「民泊の是非」飲食担当 間島 

訪日観光客数の急増を受けて、民泊新法が今年中に成立しそうな気配だが、こと民泊に関しては業界における是非論がはっきりと分かれているようだ。賛成派は空き部屋や空き家を多く抱える不動産業界で、反対派は正当な営業許可のもとで運営しているホテル旅館業界といった構図になるだろうか。双方の言い分や思惑には相応の説得性があり、是非論を結論づけるのは難しいところだ。ただ、民泊新法制定の動きをもたらしたのは、違法という名の民泊がすでに急激に増えているからで、それならきちんとしたルールや法律を作るべきではないかというのが、主な理由だと思う。 

サンフランシスコに拠点を置く、アメリカの民泊仲介サイト最大手・Airbnbは、世界で80万以上の民泊施設登録数を誇る。部屋を貸したいホストと部屋を借りたいゲストをつなぐウエブサービスが、決済の利便性とホテルには無いユニークさが支持されてか、2008年の創立から10年を待たずして巨大なスケールに成長した。2014年5月には、日本法人Airbnb・Japanが東京に設立され、その2年後にはサイトでの民泊施設登録数は35,724件に達し、100万人以上のゲストが利用する勢いだという。問題はそのほとんどの民泊施設が、現在の日本の法律下においては無許可営業の違法施設になるということで、その現実が前述したように、民泊新法の制定のきっかけになったのだと思われる。正確には住宅宿泊事業法で、家主不在型民泊に管理委託を義務付け、一定の責任を負わそうとする内容だと理解している。 

さて、個人的には民泊に賛成できない。安全安心を問う以前に、単純に日本には根付かないシステムだと思うからだ。農村宿泊体験のグリーンツーリズムが欧米のようには根付かないのと、同じ理由に起因している。ユニバーサルスタンダードではない日本家屋の構造もさることながら、独特の排他性があるからだ。よく言えば潔癖性と同族性とも言えるだろうか。これは日本人が持つ本来の優しさやおもてなし精神とは意を別にし、根本的な深部意識の問題だと思う。ただ、この民泊をビジネス好機ととらえる悪徳業者の跋扈を許さない適切な法律は成立させる必要がある。またトラブル処理に関する保険の完備をサイト運営者に義務づける、日本独自の厳しい法律も急務だろう。いずれにしても、民泊施設の登録数は今後、頭打ちになると思う。都心でもすでに減少傾向を示している。今後、飛躍的に伸びるとは考え難い。それより、カプセルホテルなども含む、質の良い安価で安全な宿泊施設の増設の方が余程望ましい。

                          2017年3月10日

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バリアフリーの本気度

顧客満足の複雑さ 98「バリアフリーの本気度」飲食担当 間島 

今年の三が日も、全国の神社仏閣は多くの初詣客で賑わったことだろう。毎年警察庁から初詣客数全国ランキングなるものが発表され、新聞でも興味深く掲載されていたが、2009年をもって終了した。主催者によって算出の方法が異なり、正確性に疑義があるからという理由らしい。ただ、その後も民間会社によるランキングが発表されており、2017年度は例年一位の明治神宮と二位の成田山新勝寺の初詣客数は、310万人と305万人で殆ど大差ない結果が提示されていた。実際のカウントは難しいと思われるので、どこまでが実数かどうかは分からないが、少なくとも成田山の最近の健闘振りがうかがえる。 

10数年前に、その成田山新勝寺近くに住んでいたことがある。徒歩20分以内で、大本堂まで行くことが出来た。ちょうどその頃に参道は電柱が地中化された。勿論、玉砂利などではなく、舗装道だ。大本堂へはエレベーターが設置されたので、階段が苦手な老母も、新勝寺だけは喜んでついてきた。併設の大庭園は入園フリーで、早春の梅まつり、春の桜、そして秋の紅葉を気軽に楽しめたのも有難かった。千円取ってもおかしくない名庭園だったと記憶している。参拝客の増加は十分に予想される土壌があった。高齢者や体の不自由な人への配慮は、得となって帰ってくるいい例ではないだろうか。 

さて、バリアフリーだ。日本でも都心や公的施設、大型ショッピングセンターなどはほぼバリアフリー化されたが、本気度を疑う施設の何と多いことだろう。駐車場から施設までの道程が砂利道だったり、車椅子用のルートになんども小さな段差があったり、極めつけは施設の要へは階段でどうぞ、という施設もあった。トイレも身障者に配慮の無い施設や飲食店は全国に数え切れない。庭園や公園などで多く見られる、車椅子でOKという砂利道が、どれほど座る側、押す側双方に負担を強いるか、実際に試したことがあるのだろうか。宿泊施設も、バリアフリールームを設けているところは増えてきたが、実際に館内でスムーズに楽しめるかとなると、心細い。まず大浴場には手すりが不足しているし、露天風呂は危険極まりない。水回りも然り。要するにバリアフリーが、まだまだ特別な課題であって、当たり前のこととして浸透していないということだ。小規模ながら、ほぼ完全にバリアフリー化された旅館に泊まったことがあるが、まだ少数派だろう。 

2035年には、65才以上の高齢者が占める割合が確実に3人に1人になる。全館全施設、バリアフリーが当然という、国あげての姿勢と意識改革は、禁煙分煙をどうするかと騒ぐ前に、経済振興のためにも喫緊に必要なことだと思うのだが、道は遠いようだ。

                          2017年2月1日

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