食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

【第161回】 食環境の現状(140)(商品のおびただしい多さ) 

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食文化の豆知識161 食文化の現状140(商品のおびただしい多さ)  

また某週刊誌に、この食品が危ない、というテーマで、食品添加物多使用食品一覧が公表されています。読者が注目しそうな題材です。口に入れる食材は、直接的に人体に影響を与えそうで、確かに気を付けねばならないでしょう。その週刊誌を読んでまず驚いたのは、食品添加物の多さよりむしろ、商品の多さでした。見たことも買ったことも無い商品がずらりと並んでいました。例えばパスタソース。スーパーマーケットに陳列されてはいますが、誌面に列記されると、こんなに種類があるんだと吃驚しました。ピザしかり、菓子パンしかり、これほど多くの食品が出回って、果たして望ましい数量が売れているのかと。多分、現れては消え、消えてはまた違う商品が現れるという、繰り返しなのでしょう。加工食品の数の多さと種類の多さは、少し病的にも思えるほどです。それほどに、企業は新製品を開発しなければならないのかと。 

最近ノルウェーに行った人の話が、新聞に載っていました。まず店の少なさ、商品の少なさに驚いたと。ノルウェーはほぼ日本と同じ広さに、約526万人が住んでいます。日本は1億2700万人!消費力が大きく異なるのは当然かもしれません。ただ経済は、産油国なので堅調に推移し、安定しています。店は土日はほとんどが休み、日本のような巨大ショッピングモールなどは見かけないとか。遊興娯楽の提供が極端に少ないが、国民はそれぞれに地味に?生活を楽しんでいる風だ、と記事は語っていました。ある種の憧憬も感じられる文章でした。日本における大量供給と大量消費、どちらが市場をリードしているか、なかなか難しいですが、大量多種類商品供給となると、それは企業側の動きによるものです。醤油でも、お菓子でも、その他加工品でも、買ったことも無い商品が何と多いことでしょう。まさに蕩尽、という言葉が、浮かんできます。それは日用品でも同じです。化粧品、入浴剤、洗髪剤、etc、選ぶ気力も萎えるほどの品揃えです。

期待ほど売れずに、市場から消える商品の行く末は、回収しかありません。一体、どれほどの商品が廃棄されているのか。たしかに、選択が出来る、というのは消費者にとって大きな魅力ですが、足るを知る、への路線に企業と消費者双方ともに、軌道修正していく時期なのかもしれません。人口は確実に減っていきます。経済のあり方も、小さいことから変わっていかざるを得ないのだと思います。

 2019年2月10日  食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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【第160回】 食環境の現状(139)(野菜・果物は本当に身近?) 

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食文化の豆知識160 食文化の現状139(野菜・果物は本当に身近?)  

昨年の晩秋から年末年始にかけて穏やかな天候に恵まれたおかげで、ようやく冬野菜が求めやすい価格に落ち着いています。ただ夏場から秋口にかけてあまりに高い価格を見慣れてしまったので、ことさら安く感じるのかもしれません。その中でも、夏野菜は相変わらず驚愕価格です。一本100円の値が付いた、しなしなのきゅうりを見ると、“もう売らなければいいいのに。夏に元気になってまた顔を見せてね“と言いたくもなります。旬の野菜を食べるに限ると言うことでしょうか。

日本に二か月間滞在していた欧米人男性の日常の食生活が新聞で紹介されていましたが、滞在中、野菜と果物は殆ど食べなかったそうです。理由はずばり“高すぎるから”。この言葉は、日本の若年層にもあてはまります。もっとも野菜・果物を食べない層で、厚労省の提唱する、1日350gの野菜・果物摂取量にはるかに届かない層です。マクドナルドでの最安値のハンバーガー・マックダブルなら190円で食べられます。一方、りんご一個が158円、トマト一個が140円。お腹が空いている若い人がどちらを選ぶか、言わずもがなです。この現状を厚労省は農林水産省と協力して、分析~解決すべきでしょう。言うだけならだれでも出来ます。それを可能な状態にもって行ってこその、行政力です。 

事実、先進国の中では、日本人の野菜摂取量はかなり低い水準です。ヘルシーと自慢する和食に野菜が多使用されているかは、答えは簡単には見つかりません。野菜料理は数々あれど、単品で食する習慣が根付いているので、どうしても肉・魚がメイン料理になってしまいます。豪華さを誇る旅館の料理も当然に、肉・魚料理がメインです。また、日本人が大好きな麺料理も使用食材はかなり偏っています。特に外食でのそれには、申し訳程度の野菜しか入っていません。アジアでの麺料理の方が、多くの野菜が入っています。また、煮込み料理の多い諸外国でも、大量の野菜を使用しています。イタリアでは、尋常ならざるトマトの消費量を誇ります。ほかの国でも、安価な野菜をぶちこんだ煮込み料理がとても多い。見映えにはほぼ無関心ながら、確かに栄養はたっぷりのような気がします。なので、家でも野菜摂取が足りないと感じたらクリームシチュウなどを作ります。大量の身近な野菜を使用できるからです。本当に、思い込みと事実の剥離現象は、あちらこちらにころがっています。

 2019年1月13日  食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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【第159回】 食環境の現状(138)(日本の伝統) 

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食文化の豆知識159 食文化の現状138(日本の伝統) 

今年もあとわずかですが、24日までは街はクリスマス商戦一色に染まり、25日からは一斉に正月向け商戦に切り替わります。お見事!と掛け声の一つでも掛けたくなるほどの横並び商法です。他と違う商戦でも張ればいいのにと思うほどの同じ風景に、いささか涙ぐましさを感じるほどです。ひと月ほど前はハロウイーンのカボチャだらけだったのに、今は見る影もありません。ま、他国の風習も取り入れて、にぎやかさを好むのは、豊かさの表れかもしれませんが、すでにバレンタインデイの売り出しが始まっているのを見ると、うんざり感が出てきます。そのうち全世界のお祭りが、日本で祝われるようになるかもしれません。意味も分からずに。と同時に、街には全世界の言語による案内音声が響き渡る。ちょっとした悪夢です。 

気を取りなおして、お正月です。昔のように儀式にのっとる用意はできませんが、しめ飾りが、邪気を払い内を清浄な状態にする意味があると知れば、何があっても28日には玄関外に飾らせていただきます。鏡餅も歳神さまを迎える供え物と聞けば、ささやかに飾って感謝の気持ちを表したい。日頃より、信心とは程遠い生活をしていますが、年初元旦を迎えるときぐらいは、日本人の伝統を少しでも守っていきたいと、思っています。それは、昔から伝わる心の伝承であり、誇りある日本の儀式でもあります。きちんとした、いわれがあるからです。おせち料理も元旦だけはいただきたい。今は贅沢になって、三日と続けて同じものを食べるのは苦痛なので、二日目からは普通の食事に戻るという、いい加減な心構えですが、とにもかくにも、元旦だけはくわいや数の子をいただきます。 

フランスは訪問したことも無く、馴染の無い国ですがかなり自意識の強い国民性を持っているように感じます。その強さは参考にすべきことも多い。なぜか自国の文化や言語、伝統に確固たる自信を持っており、それが鼻持ちならないときもありますが、すべてに?謙虚で優しい日本人は、少しは見習うべきかもしれません。サービス精神旺盛で、おもてなし精神を惜しげもなくアピールすることもいいのですが、したたかさと、ほんの少しの傲慢さも、日本人にあってもいい。そんなことを考えざるを得ないほど浮かれすぎた日本が見えてきます。民族の真の誇りとは何か、を教育してこなかった国の危うさを、このごろ感じることが多くなりました。思い過ごしであることを祈りつつ、来年は穏やかな年でありますように。

   2018年12月23日  食生活アドバイザー 間島万梨子

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【第158回】 食環境の現状(137)(国内消費と人口比) 

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食文化の豆知識158 食文化の現状137(国内消費と人口比)  

気候が落ち着いても、トマトやきゅうり、白菜などの葉物は高値安定のままです。昨年のことはすっかりと忘れていますが、野菜類がこれほど高かったという記憶はありません。それほど台風の影響がすさまじかったのでしょうか。この価格に慣れてしまうのも怖い気がします。ガソリン価格と同様に、こんなものか、の諦めは家計に重くのしかかり、ひいては内需の縮小につながります。 

なんやかやと大騒ぎなのにアメリカの経済が強いのは、内需が強いこと。つまり国民の消費力が旺盛なのです。一方、日本はなかなか内需が拡大しない。それは将来を見越して消費に慎重になっているのか、日本人の性格からなのか、理由がはっきりしません。アルバイト代も上がっているし、給料も順調に伸びているのに、何故、国内消費が伸びないのでしょう。日本独特の労働生産性の低さは、GDPの数値には結びつきますが、消費の増減には直接、かかわりは無いはずです。なのに、いつまで待っても、国内消費が思うように伸びません。株価は3年前と比べて倍近くになっているというのに。度重なる災害が、財布のひもを固くし、娯楽を慎む方向へ誘導したとするなら、本当に切ないことです。飲食店などへの影響も少なくないでしょう。 

もしかすると、消費の伸びの鈍化は、年齢人口比がその一因なのかもしれません。だとするならばここは悠然と構えて、数十年後を待つ?という政策もありかなと。二十年も待てば、経済状況は必ず変わります。人口が減っても日本は大丈夫。人口比も変わるからです。隅々にまでよく整った国だと思います。なのでこの良さを保ち続けてほしいものです。日本国民が健全でいる限り、この国はだめにはならない。今、何かと騒がしい出入国管理法改正案の内容を熟知もせずに、こんなのんびりとした考えでいいのかなとも思いますが、世界を見て、お手本になる国が見当たらないのだから、日本は日本のままでいてほしいものです。

      11月22日 間島万梨子 食生活アドバイザー

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【第157回】 食環境の現状(136)(やはり食材は現物で) 

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食文化の豆知識157 食文化の現状136(やはり食材は現物で)

 台風や大雨、地震などの影響で、野菜価格の高騰が止まりません。特に葉物はかつてないほどに、高値がついています。トマトも一個が150円以上しますし、きゅうりが一本80円!ほうれん草は一束が300円、これで、一人一日350gの野菜を食べなさいと厚労省に勧められても、実行できる人は少ないかも、などと思ってしまいます。それならば、青汁や野菜ジュースで野菜栄養を取りましょう、と盛んにメーカーが広告していますが、しぼり汁というか、エキスを飲んで、実際に本物を口から食べるのと同じ効果が得られるのか、分かりません。肉を食べる代わりに、同じ栄養素が詰まった錠剤を飲むのと同じ原理です。人間には歯があり、消化器があります。それらを使わないで、栄養だけを取りこむ?一時的な栄養の補足であれば問題は無いでしょうが、長い目で見れば、必ず人体にゆがみやひずみをもたらすと思います。 

世にあふれるサプリメントは、それらの効能書きをみると、年を取ればだれもが抱えているあらゆる症状の緩和をそれぞれ謳っています。それらが何十種類ならず、多分何百種類もあるわけですから、選ぶとなるときりがない。で、何も呑みません。20年ほど前に観たアメリカの映画で、主人公が食事の代わりに30錠以上のサプリメントを呑んでいる場面がありました。仰天して、その場面だけ鮮明に覚えています。そして今や、日本も立派なサプリメント大国です。呑まず嫌い?なだけで、実際に呑んでみたら、その効果に驚くのかもしれませんが、やはり栄養は、食材を食べることで、取り入れたい。匂いや香りを楽しみ、食感を楽しみ、味を楽しみたい。本当はそれが一番贅沢なのかもしれません。 

機能性食品もよく見かけます。ドリンクやゼリー状のものが多いです。一時期、お腹の調子を整える効果を謳ったドリンクを呑んでいましたが、突然発売中止になりました。なんでも、人体に良からぬ影響も与える成分が入っていたらしく、ぞっとする話です。その点、食べ過ぎると害はあるでしょうが、加工していない肉や野菜には、素朴な栄養素があって、安心できます。これから秋の味覚が出てきます。皆が楽しめる価格で市場に出回りますように。 

        10月5日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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【第156回】 食環境の現状(135)(民泊は遠い事柄?) 

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食文化の豆知識156 食文化の現状135(民泊は遠い事柄?) 

まだまだ酷暑が続きます。本当に今年の夏は暑く、そして長い。立秋を過ぎた今、ミンミンゼミとつくつくぼうしが、協奏しています。従来なら、ミンミンゼミの声が消えてから、つくつくぼうしの愛らしい声が耳に入ってくるのに、生き物も混乱しているのかもしれません。

さて、食文化とは直接関係は無いのですが、興味深いアンケート結果を目にしました。某新聞の調査ですが、回答者数は1558人。まずまずの標本数です。第一の質問は“民泊を利用してみたいですか?”。はい、が16%、いいえ、が84%という結果でした。予想以上の大差がつきました。いいえ派の理由は、安全面や衛生面への不安が主にあげられ、ヤミ民泊への警戒やサービスの欠如などが続いています。一方、利用してみたい派の一番の理由は、手ごろな宿泊料金で、次に、その地の文化や暮らしを体験できる、があげられています。これほどの大差がつくとは予想外ですが、日本の宿泊施設構造をみると、うなづける結果でもあります。日本には、幅の広い価格帯の旅館群に、ニーズ別のホテル群が多く存在し、ゲストは予算や目的別で、かなりの選択自由を持っています。また人との交流も、日本人には苦手な分野で、旅行に行ってまで気を使いたくない、の気持ちは良く分かります。ただ、海外旅行時と国内旅行時とに分けて質問をすれば、また異なった結果が出たかもしれません。特にイギリスをはじめとするヨーロッパの地方部では民泊は浸透しており、懸念材料も少なく、部屋自体も宿泊するに充分な仕様のものが多いようです。第二の質問は、“では自宅で民泊をやってみたいですか?”。はい派は4%、いいえ派は96%。この結果は言うまでもありません。いいえ派の色々な理由があげられていますが、一言で表すと“わずらわしい”。これも日本らしい。宿泊はプロに任せよ、の論理です。わずかな、はい派の理由は、空き部屋の利用と交流、そして収入面の期待でした。                               

この6月に民泊新法が施行されてからの一カ月での申請数は5千件に満たない状況で、今後も飛躍的に伸びるとは考えにくい。各自治体が厳しい条件を課しているのに加え、民泊はそもそも日本人には合わないシステムだということです。だからこの法律は、違法民泊を取り締まるために役立てる、だけでその役割を果たしているのだと、割り切ることだと思います。日本には日本に合った文化や習性があります。価格差の広い、安全で衛生的な宿泊施設の充実こそが望まれる事象であって、世界がそうだから日本も、という倫理は、こと民泊に関してはあまりあてはまりそうにありません。

  2018年8月12日 食生活アドバイザー 間島万梨子   

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【第155回】 食環境の現状(134)(色々な物の見方) 

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食文化の豆知識155 食文化の現状134(色々な物の見方) 

今回の大雨は西日本に大きな被害をもたらしました。直接の被害が無かった大阪府内の我が家周辺でも、記憶にかつてないほどの雨量でしたから、広島や岡山などでは信じられないほどの雨が降ったのだと思うと、胸が痛くなります。どうか徐々にでも元の生活に戻れますように と祈るばかりです。

さて、梅雨明けと同時に酷暑です。ここまで暑いと、さっぱりとしたものを食べたくなりますが、やはり冷たいものは体を冷やし、代謝をわるくしますのでなるだけ温かい料理や飲み物を取るようにしたいものです。でも良く冷えた生ビールは美味しいし、きんきんに冷えたかき氷もたまりません。ほてった体を冷やすのも夏の時期は必要なのかもしれません。一年中、冷たい飲み物は決して摂らないと断言している知人がいますが、よく風邪をひくし病気がちです。こうなると、因果関係が良く分かりません。度を過ぎなければ、自分が美味しいと思うものを食べて飲めばいいと思うのですが、世の中にはこだわり派も結構多いようです。                            

色々な人がいていいのです。1億2700万人が皆、同じ方向を向いて、同じ生き方や考え方をするのは到底無理でしょう。法律をおかさないという絶対的な不文律は必要ですが、色々な生き方があっていい。それが個性というものです。ただ、法律の枠内は勿論のこと、それ以外でも他人に迷惑をかけてはいけないし、攻撃してもいけないのは当然のことです。でも、メディアは一方的に価値を押しつけ勝ちだと、このところよく思います。ある事件が起きればいっせいに、悪い人、悪い組織を作って攻撃します。新しい事件が起きるまで、その手をゆるめることはしません。コメンテーターもほぼ同じ意見を述べるだけです。根本には、強いものを叩く、という構図です。でも強いものは本当に悪で、弱者は善でしょうか。野菜や果物をみていると、それぞれに役割があって上下関係も無い。それぞれが主役です。テレビという情報源に頼りすぎると、ものの見方が一面的になるかもしれない。酷暑の中の朦朧とした頭で、ふとつまらないことを考えてしまいました。

    7月15日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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【第154回】 食環境の現状(133)(やはり旬まで待つのが正解) 

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食文化の豆知識154 食文化の現状133(やはり旬まで待つのが正解) 

果物売り場の店頭が、この一カ月、賑わいを見せています。年初からミカンとリンゴでほぼ店頭を埋めていたのが、彩りも華やかになりました。夏向け蜜柑類をはじめ、メロンにスイカ、桃にブドウ、ビワと豊富な品揃えで、目で遊ばせてもらっています。というのも、桃やブドウなど、いわゆる“走り”ものは、かなり値が張るので、今のところ、目の保養のみです。一方、スイカやメロンは最盛期を迎え、価格もかなりお安くなって、日常の食卓を賑わせてくれています。旬ならではの味の良さです。スイカなどは、出はじめは高くて甘さも今一つでしたが、今は天候にも恵まれ、とても美味しい。メロンも一玉400円前後と求めやすくなって、しかも甘い。果物好きには、これからが幸せ一杯というところでしょうか。毎朝食に日常使用しているリンゴが高くなったのが辛いところですが、文句は言えません。 

何でも、やはり旬にこそ、味わいが深く、値段も安くなるものです。それまでガマンできるかどうかが、勝負の別れどころ。今まで、何度か失敗したから言えることですが、出はじめは高くて味も今一。これは事実です。新玉ねぎや枝豆は、国内産より前に外国産が店頭に出ました。久しぶり!といううれしさで購入しそうになりましたが、ガマンガマン。今は豊富に国内産が出回っています。店もなかなかに商売上手です。初物好きの客の心理をとらえています。初物を食べると寿命が延びる、と言いますが、旬になって多く出回る時期の方が、味の完成度は高いのは確か。で、先日も巨峰を見かけて、思わず手が出そうになりましたが、しばし待つことにしました。盛夏になれば、ブドウも桃も、今よりは買いやすい値段になっているはずです。 

魚も旬の方が、脂も乗って美味しい。季節もののカツオや秋刀魚、鮎なども出はじめは値も高くて味も浅いですが、旬を迎えると段々、味も濃くなって旨みが増します。何物にも食べ時期があるのでしょう。それを見極めて、賢い?消費者になりたいものです。

         6月15日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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【第153回】 食環境の現状(132)(野菜価格の変動)  

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食文化の豆知識153 食文化の現状132(野菜価格の変動) 

天候が安定するにつれ、やっと野菜類の価格も安定してきました。ただ今後も異常気象はやってきます。そのたびに、野菜・果物は信じられないような高価格にはねあがるのでしょう。毎年繰り返される現象です。もしくは安定し過ぎて豊作が続き、生産農家が低価格にあえぐ、といったこともあり得ます。どちらにしても、だれかが困るという構図は、何とかならないものかと、その度に思います。コメ価格がある程度、安定保証されるのに、野菜は天候次第で価格が乱高下して、生産者も消費者も不具合を感じるのです。つい最近まで一本が400円していた大根が今は150円。一本180円で売られていたキュウリは、今は30円ほどで店頭に並んでいます。まるで株相場の乱高下です。 

だから不思議に思うのです。どの政党も選挙公約に野菜価格の安定化を採用したことが無いことを。記憶の限りではありません。一般消費者にとって、特に家計を預かる主婦にとって、非常に感心がある野菜の価格に踏み込まないとは勿体ないと思うのですが、単に興味がないのか、無理だと諦めているのか。日常品の供給安定価格の維持は、まさに消費者が欲することでしょう。ただやはり天候次第なので、無理なことかもしれません。出荷量が極端に少なくなれば当然に、価格は跳ね上がるわけです。でもその跳ね上がった野菜はだれも買おうとはしません。知恵をめぐらして他のもので何とか代替する結果、その野菜は売れないままに劣化し回収されます。昨年の10月の長雨の影響を受けて正月明けの野菜類は信じられないほどの高値をつけました。そして覚悟?して購入した大根は、中がかさかさで、みずみずしさは完全に失われていました。多分、長い間売れないので、すでに劣化していたのでしょう。 

他国の事情は知りませんが、日本の天候は変動が多いから、野菜価格が安定しないのかもしれません。となると、水耕栽培やビルイン型の大規模栽培の導入が急がれます。葉類や根菜類も屋内型栽培は不可能ではないはずです。日本の技術をもってすれば出来ると思うので、大企業の参入や政府の公約に組み込まれることを期待したいものです。 

        5月15日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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【第152回】 食環境の現状(131)(無駄なゴミを出しているのは?)  

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食文化の豆知識152 食文化の現状131(無駄なゴミを出しているのは?) 

先般、初老の男性がテレビで言った一言が、印象に残りました。連れ合いに先立たれ、一人暮らしをされている方ですが“生活面で何が大変ですか”の問いかけに“ゴミを出すことだ”と即答されたのです。生活の過程で出る様々なゴミを仕分けし、指定日に出すことが、まず快適に生きていくうえで最も重要だと言われたのです。正確な言葉は“生きていくことはゴミを出すことです”でした。その男性の賢明さと率直さに感動するとともに、共感を覚えました。ゴミの処理は末端消費者が担っており、その作業は減ることは無く、益々嫌が上でも増えていくという現実を目にし、そもそもゴミが多すぎる原因は利用者だけの責任なのかと、疑問を持っていたからです。 

家の中の整理整頓は、ゴミを判別し処理することで、まずはOKとなります。物であふれている家に住んでいる光景を目にするとき、多くは食べ残しのプラスティックゴミやポリ袋に、空の瓶などが大半を占めているように思えます。生ごみはさすがに少なく、大体が包装関連のゴミです。何かの役に立つかと取っておいても、結局は何の役にも立たないまま、増えていくという構図です。使い捨てに慣れていない時代の人は、自分の親も含めて、色々なものを押し入れの中や台所の隅に、捨てるべきものを置きがちです。多分、昔は無かったものなのでしょう。思い起こせば昔の家庭では、生ごみでもとても量が少なかったような気がします。色々なものを再利用し、それでも出たゴミは庭に埋めて肥料代わりにしたり、燃やしたりしていました。そして、その後の大量消費時代の幕開けに伴って、大量のゴミが出はじめ、各自治体のごみ収集システムが起動し始めました。

先の男性の言葉に戻りますが、ゴミの処理に明け暮れる苦労を担うのは消費者という事実に疑問を持つと、いかに今、ゴミの元になるものが多すぎるかという現実が見えてきます。その大半は過剰な包装関連ゴミです。刺身を買えば、プラスティックのペラペラのバランもどきがついてくる。280円のシラスを買えば、豪華なプラスティック箱に入ってくる。殆どの肉や魚は立派なトレイに入れて売られています。そのトレイ類はスーパーで回収可能ですが、洗って、貯めて、持っていくのは消費者です。どれだけの人が実行しているでしょうか。過剰な包装は、先進国の証ではありません。世界で勝てるビジネスモデルにはなり得ないからです。過剰なもてなしやサービスも、労働生産性の向上に寄与しません。シンプル イズ ベストは、どの分野にもあてはまります。そろそろ、企業も消費者も、方向性の舵を変える必要があるのではないかと思います。

        4月14日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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