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顧客満足の複雑さ186(見どころ多し・鹿児島)

顧客満足の複雑さ186「見どころ多し・鹿児島」 

5月に鹿児島を訪れた。桜島と知覧が主な目的であった。桜島はその独特の形容で街を見下ろし、時に白い噴煙を出し、予想通りの存在感であった。どこにいても常にその山は威容な姿を見せてくれた。また、知覧の特攻平和会館では、しばし頭をたれるほか、どんな言葉もふさわしくないように思えた。口に出せば陳腐化してしまいそうで、ただただ心に重い何かが残ったとしか言いようがないが、20代そこそこの若者の明るい笑顔もまた切なく心に残った。鹿児島を訪れる外国人観光客数も予想を上回ったが、京都や大阪の実情を知るものにとっては、ほどほどのにぎわい、といったところで、ストレスフリーな三日間だった。 

スケジュールに余裕のある行程だったので、当然に他の様々な観光スポットを楽しませてもらった。「仙厳園」は庭や御殿を含めて、まさに眼福で、島津家の威光をひしひしと感じさせられる見どころの多い歴史エリアだった。中央からはるかに遠いこの地にあって、文化文明のみならず、維新の立役者としての力の源泉は、やはり時の殿様である島津家を抜きにしては考えられないだろう。富と力の偏在なくして、卓越した文化は起こりずらいということだ。やはりどの国も、どの地域も、自然や巨大テーマパークを除いては、人を惹きつけるのは歴史を物語る建物や庭園なのだろう。もうこれからはこのような建物が新たに生まれることはないのだと思うと、大切に守り続けていただきたい。多分それには多くの手間と資金が要る。「仙厳園」の中央、高台にある立派な二階建ての比較的新しい建造物が、園の関係者用施設の「管理棟」なのも必然なのかもしれない。もっとも行政の中心地などもほとんど、城の近辺か一等地にある。ま、何とかは高いところに上がりたがる、ともいうが、いまだに、「管理」という呼称が生きているのだと、これもまた違う意味で感心してしまった。 

鹿児島は見どころが多かった。霧島神宮にいたっては、過去の数々の神宮参りの中でも、その厳かさと重厚さは秀逸のものであった。数十年後も、その地にあって人々を見守り続け、参拝客が途絶えることはないだろう。そうなのだ。日本のみらならず、人類は過去の栄光や歴史がもたらした遺産によって、独自の魅力を放ち、そして観光客を引き寄せるのだ。これからは残念ながら、広大な歴史的建造物が新しく登場することは無い。仮にチャレンジしても人は来ない。鹿児島の「ふるさと考古歴史館」も、2017年にリニューアルされたらしいが、学校からの強制?集団訪問を除いては、多分一般客は一日数名いるかいないかだろう。立派な造りの会館で、億をはるかに上回る建設費用がかかったに違いないが、このような施設の開館がどのような事業計画の元で行われたのか、知りたい気分にもなった。時の為政者は、何かモニュメントを作りたがる。ただそこに富が集中した歴史がなければ、ただの箱に過ぎない。日本各地にも、そのような建造物は至るところにあるが、やがて消えてくのだろう。

2024年 6月1日  間島   

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食文化の豆知識204 食文化の現状183(四季の恵み)

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  食文化の豆知識204 食文化の現状183(四季の恵み) 

「日本には四季がある。だから自然の移ろいに敏感になり、感性も磨かれる」と、よく言われますが、世界の南国と極寒の地以外では、どの国でも四季はあります。英語でも、明確に春夏秋冬を表す単語があるわけですから、当然に季節の移ろいがあり、人々は季節ごとの楽しみや味覚を楽しんでいるはずです。ただ、日本ほど、やたらに暑くそして寒い、国は、そうは多くないように思います。季節に特徴のある北海道や沖縄は例外としても、ほとんどのエリアは、夏の暑さは堪えがたく、冬の寒さも厳しい。日本以上に冷暖房エアコンが売れる国もないのでは?と思います。特に昨今は、春と秋が短く、夏と冬が長いように感じることが多くなりました。電気代が安い時期が少なくなったのが、その証拠?お金のかかる国です。 

でもやはり、自然の恵みは、四季を感じさせてくれます。目を楽しませる花々はそのトップスターでしょうか。アジアの南国や常夏の国などでは1年中、同じ花が咲いているところも多くあります。それはそれの美しさはありますが、四季折々の花が咲きそろう日本の華やかさは、外国人観光客にとっても大きな魅力のようです。また、食の世界での季節感も大きな魅力です。冬みかんから、清見や不知火に移り、そして甘夏の登場!スイカも出てきました。高くて手が出ませんが、お久しぶり!と声をかけたくなりました。そのうちブドウも直に顔を出すでしょう。野菜も季節を感じさせてくれます。温室栽培が盛んになったといっても、思い切り枝豆を食べられるのは、もう少し先のようですし、冬野菜の白菜が高級野菜になってしまいました。でも大丈夫、その時期時期に実る野菜をいただけばいいのです。本当に日本の野菜は美味しいと思います。 

食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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【その204】某月某日「タッチパネルはもう飽きた? 」の巻き

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OL N子の勝手リサーチ 204 “タッチパネルはもう飽きた?”の巻き

人間って、慣れるものなんだな、とつくづく思うわ。何のことかって?飲食店のメニューオーダー用のタッチパネルのことよ。出てきたときの“何よこれ!”のビックリぽんから、もう数年以上になるかな。いまだに、打ちこみミスで“はい、まるで違った料理が出てきましたぞえ”ってなこともあるけど、それは自分がドジなだけで、店に文句は言えません。自分を叩いてやりたい状態ね。

今では、導入する店が増えてきて、大型スーパーの飲食店街では5割以上が、タッチパネル方式になってるのよね。ということは、まだ5割の店は採用せずに、スタッフによるオーダー受けシステムのままで営業しているわけで、エライ!と褒めてあげたい。なぜかって言うと、タッチパネル採用はある程度の初期投資は必要だろうけれど、多分、人手不足の昨今、人件費もカバーできて、投資額は2~3年で回収できるのだとしたら、こぞって採用したくなるのもわかるわ。それをあえて採用しない、っていうのも、飲食店での、人と人とのつながりを重視しているから?かもしれない。ほんと、好意的に見たくなるのよね。逆に新鮮さを感じるかも。

あと、タッチパネル方式は、街場の飲食店では導入しずらいだろうなと思うわ。そうそう、数名のグループ客が座れる独立型個室のみで構成された店舗や、定番メニューの店ではタッチパネルは便利ね。そんな店以外では、やはりお客さんも、メニュー選びの時に、スタッフに聞きたいこともあるだろうしね。例えば、本日の造り盛り合わせ、ってな料理名の場合など“今日はどんな魚種が入っているの“って聞きたいわ。”はい、どじょうと金魚とめだかの刺身です“って言われたら“パス!、鯛とヒラメと大トロの盛り合わせはないんかい!”ってなことになるよ。本日のお肉料理、なんてメニューでも、何の肉か聞きたいわ。大体の肉は食べますよ。でも、かば肉などは食べたくないのでスタッフに確認はしたい。あれやこれやで、まだ街場では、特に夕食では、タッチパネル方式はほとんど経験していないけれど、徐々に増えてくるかどうかはわからない。増えないような気もするし、機械化が進むような気もするし。わからんわ!

 ・・・・続く。

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顧客満足の複雑さ185(遊興街かビジネス街か)

    顧客満足の複雑さ185「遊興街かビジネス街か」

この半年間で訪問した大阪市内の飲食店は、例外なく満席に近い盛況ぶりだった。大体が金曜日利用という条件下の影響もあるだろうが、やはりコロナ禍から解放されたにぎわい感が間違いなく街に戻っているし、インバウンドの急増加が輪をかけて需要を押し上げていると思われる。もっとも、遊興街地区ではない、いわゆるビジネス街にある店を主に選んでいるので外国人観光客は少なく、男女・年齢を問わず勤め人が主流だ。なぜビジネス街を中心に選ぶのかは、私心ながら質の高い店が多いと思うからだが、予算や料理内容等をあらかじめ吟味して訪問した店は、ほとんどは期待を裏切らない。あたりはずれの差が少ないのだ。ビジネス街の顧客は、主に若者や遊興客が集まるエリアと比べ、、比較的年令幅が厚い。だから、というわけでもないだろうが、価格的には高めでも、比例して満足度も高い。

さて、ならば満足度はいかなる状態を指すのか、といえば勿論、満足した、ということだが、その肝は、第一にコストパフォーマンスの高さだろうか。ビジネス街にはとんでもなく値が張る店も混在しているので、会計時に目玉が飛び出ることになる。そんな修羅場をさけるため、あらかじめ予算はしっかりと把握しての訪問となるが、それでもなかなか予定どおりにはいかないものだ。なので、予想をやや下回る支払い結果と良質の料理が合体すれば、満足の極みとなるのだ。その結果が店としてのリピート客確保に結びつく。特にビジネス街の店は、後になじみ客となるリピートなくしては成り立たない。そこのところをよくわきまえているので、結果として競争力のある良質の店が多いように思う。反面、遊興街には観光目的化した客が国内外問わず多いゆえに、店ごとに質的に大きなばらつきがある。これは経験してみないとわからない。勿論、上質の店も多いのだが、とんでもない店も混在している。やがてそんな店は撤退して、すぐに新しい店が登場するという構図だ。遊興地区には、底力のある素晴らしい店があるのも事実なので、これは選択の自由ということになるのだろう。

コストパフォーマンス力は、単に予想よりもリーズナブル価格だった、にとどまらない魅力が加味されている。第一は料理の質だが、美味しい、の要素のみではなく、見た目の美しさ、適度なボリューム、それに接客の愉快さ、丁寧さと、居心地感の良さが加わって、コストパフォーマンス力となる。一見客が比較的多い遊興地区をあえて避けて、ビジネス街の店を主として訪問する所以は、満足度の高い店が多かったという経験上の記憶に基づく。利用者はこれからも遊興地区とビジネス街とうまくすみわけをしてほしい。ビジネス街の飲食店に観光客があふれだしても困るので、礼賛はこのくらいにしておく。

2024年 5月1日  間島   

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食文化の豆知識203 食文化の現状182(あふれる情報の取捨選択)

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食文化の豆知識203 食文化の現状182(あふれる情報の取捨選択) 

料理に関する情報を欲しい時に、専門料理本を見ることより、ネットからの入手の方が多くなりました。そもそも、立派な料理本を持っていないので当然ですが、それでも何冊かは手元にあります。すべて頂き物で、中には有名ホテルシェフによる家庭料理本や中華料理本などもあって、目の保養になる料理が歴然と並んでいます。ただ総じて立派すぎて、重く大きい。料理をしながらちらちらと見て、参考にできるものではありません。で、もっぱら、iPadなどで簡単にアクセスできる料理サイトを参考にさせていただいています。なにより手軽で軽く、片手間に見ることができるし、欲しい情報も簡単に見つかります。ただ、料理サイトは数が多く、選択に苦労するという、贅沢な悩みに突き当ります。一度見て、使いやすいサイトはアプリを残しておけば良いのでしょうが、ちょっと情報が欲しい時だけの利用なので、その都度、異なったサイトを検索するという、勝手気ままな使い方をさせていただいています。便利といえば便利ですが、専門本が売れなくなるわけだ、と時代の流れにしんみりとしてしまいます。それでも人気のある料理研究家の方たちは、独自のサイトをお持ちでしっかりと発信しておられるようです。

 ただ料理サイトが多すぎるのに加え、情報が異なることが結構多い。例えばある素材を使った料理を検索したとき、調理時間や方法にかなりの差異があり、どちらを採用したら良いのか、迷う場合があります。つまり情報数が多すぎて取捨選択の要をどこに置くか、という一種、贅沢な悩みに突き当たるのです。たかが料理情報?どれかを採用すればいいだけのことなのかもしれませんが、この取捨選択、こそが、ネット情報利用の肝といえるでしょう。今後、あらゆる分野で、益々増えるであろうネット情報。当然に利用価値の無いものも増えていくわけで、自然淘汰を待つまでに、利用者の目にも真贋を見極める力が求められそうです。

 

食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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【その203】某月某日「マクドとミスドはエライ! 」の巻き

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OL N子の勝手リサーチ 203 “マクドとミスドはエライ!”の巻き

そっか、春休みなんだ、と気づくのは、平日の大型ショッピングモールで多くの子供たちを見た時かな。お母さんも大変だよね。家に置いておくわけにもいかないし。ま、ショッピングモールなら子供向けの遊技場もあるし、気兼ねなく食事ができるフードコートもあるものね。まもなく春休みもおしまいですよ。お疲れさまでした。いつもより子供客が多いフードコートにいると、やはりマクドナルドはすごいな、と思うわ。数ある店の中で、ダントツ人気が見て取れる。ハンバーガーが好きなの?それともフライドポテトが好きなの?って、聞きたくなるほど、皆、その二つが入ったセットを、美味しそうに食べてる。私の子供のころには決して無かったフードなので、この子たちが大人になっても、やはりマクドファンでいるのかわからないけど、多分、味の刷り込みは、大人になっても続くらしいから「マクドナルドは永久に不滅です」ということになるんだろうね。オソロシヤ。別にオソロシクはないけど、スゴイわ。

フードコートはランチ時など、どのくらい順番待ちの人がいるかで、人気度がすぐにわかる。結果、売り上げ差が出てきて、撤退する店が常にあるのよね。キビシイな、と思うけど、まさに弱肉強食の世界ね。近隣のショッピングモールはオープンして20年近くになるので、その間、部分リニューアルが何度かあって、いろいろな店が入れ替わったわ。それがすぐに分かるのがフードコートなのよね。私の記憶では、オープン時から燦然と居座るのは、もとい、輝いている店は、マクドナルドとその横にあるミスタードーナッツで、そのほかは、入れ替わり立ち替わりで、覚えられん。恐るべし、マクドとミスド。

どちらも、もう10数年以上、口にしていないけど、あの時のままなのでしょうか。ドーナッツの甘さは変わらずにあのまま?マクドのハンバーガーもあのときのまま? はい、どちらもその味は、思い出の中に封じ込めておきます。がんばって!

 ・・・・続く。

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顧客満足の複雑さ184(ホスピタルとホテル)

     顧客満足の複雑さ184「ホスピタルとホテル」

友人が入院した。重篤な症状を抱えての緊急入院ではなく、一か月ほどを要する検査入院ということだが、やはり心配が募る。で、一週間ほど経って見舞い訪問したところ、いたって元気な顔を見てほっとすると同時に、どうか早く退院できることを願わずにおられなかった。部屋は、リラックスできる雰囲気の個室で、改めて病院の個室の利用価値を認識するとともに、病院の個室は、広さや雰囲気、それに価格は各病院で実にさまざまであるのに驚く。個室の費用を左右するのは、まずは広さ、それに設備だろうか。基本的にトイレと洗面台を有しているが、シャワー&浴室を備えているのは特別室タイプになる。勿論病室としての特別機能を有しているが、感覚的にはビジネスホテルから簡易シティホテルに近い。ただまさに千差万別、病院スタイルとしてきちんと市場価格別に整理されているわけでもない。ソファや冷蔵庫の大きさもさまざまだし、窓からの眺望もそれに加わる。家族や自分、そして知人が利用した個室も価格、広さ、設備、眺望ともに、一貫性はなく、ただただ病院側の一方的な値付け放題、といった印象を受けた。そこに市場競争感覚は無い。これがホテルとなると需要バランスや部屋の値打ち度をマーケテイング反映させた価格体制がとられる。いわば、買い手市場を微妙に取り入れたものになる。 

病院側からすれば、4人部屋くらいの方が対処しやすいのだろうが、患者側からみれば入院事情は同一ではなく、まして個人環境も大きく異なる中で、これから益々個室利用希望者は増えるものと思われる。それを証拠に個室の空きが無く、ウエイティング状態の時も多い。病院の個室は6.4㎡以上が規定らしいが、広さや設備によって価格差が大きい。某大学病院の最高特別室は1日30万円ほどで驚く価格だ。一般病院でも5000円の個室もあれば3万円前後のもあって価格差は大きい。一方、ホテル個室は9㎡の規定だが、ビジネスホテルのシングルルームの場合、大体が6000円から1万円前後までの価格内に収まる。需要競争も加わり、市場がほどほどの価格を生み出しているからだろう。 

ホテルとホスピタル(病院)はホスピスという同じ語源を共有している。いわば兄弟のようなもので、ホスピスの意味は「もてなす」だ。ただホテルとの決定的違いは、病院の場合は24時間そこで過ごす、ということだ。ならば、ホテルより快適でリラックスできる環境に向けて、部屋そのものに対する発想転換があってもいい。特に色使いを含むインテリア、眺望等に、病院共通の指針があってこそ、ホスピタルを名乗る意義もあろう。 

       2024年 3月1日  間島   

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食文化の豆知識202 食文化の現状181(果物適正量摂取は難しい)

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食文化の豆知識202 食文化の現状181(果物適正量摂取は難しい)

 一部、健康雑誌と化した週刊誌に、果物摂取を勧める内容の記事がありました。要は「果物を食べると太るとか、糖分過多になるとかで、敬遠している方がいるようだが、まだまだ日本人は果物摂取量が少ない」というものです。昨年、厚生労働省による「健康日本21」が10年ぶりに改訂され、1日に摂取すべき果物の量が200gとなりましたが、日本人の現実の果物平均摂取量が96、4gに過ぎない状況を受けての内容で、果物の健康増進効果などを、わかりやすく説明していました。果物好きの身として、より詳細に知りたくなりました。 

まず200gというのは勿論、可食部量を指し、みかんなら2個、りんごなら1個、柿、梨、八朔も1個、ブドウなら1房、バナナは2本といった数値です。今は多種多様なみかんが出回り、自分も軽く200gはクリアしていますので、現在のところは余裕の数値ですが、日本人の40%が1日で全く果物を食べていないとか。加えて、20歳代は46、98g、30歳代は43、98g(令和元年データ)と、50gにも満たないというのが現実です。もっとも果物を食べていたと思われるのが1975年の193、5gで、今はそれから半減したということです。 

日本の果物の美味しさは折り紙付きだと思います。外国に行けば、一部南国の果物を除いて、美味しいと思ったことはありません。ほとんどが加工用に栽培されており、日本のようにフレッシュさを味わうに適さない。まして、シャインマスカットにいたれば、りんごのふじ以来の日本が生みだした100年に一度の秀逸品種だそうです。1房1000円以上はします。なぜ、果物を食べないのかの答えの大部分は、価格が高い、日持ちしない、皮をむくのが面倒、が占めますが、本音は、価格が高い、に尽きるでしょう。日本の果物生産は手がかかり、加えて小規模の家族経営が大半です。となるとどうしても、利益が高く単価の高い高級品生産が軸となってしまう。生産者からすれば当然のことでしょうが、結果として手が出にくい商品となった、というのが現状です。さてはて、厚生労働省が薦める1日果物200g摂取は、いつ実現するでしょうか。 

食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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【その202】某月某日「皆、見てるのね! 」の巻き

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OL N子の勝手リサーチ 202 “皆、見てるのね!”の巻き

最近というか、もともとというべきか、テレビって食べ物関連番組が多いよね。どのチャンネルを回しても、何か食べてるよ。話題の店の料理を食べて「美味しい!」と叫べば、はい、番組成立です。ま、食べるをメインにすれば、社会主義も民主主義も、はたまた左も右も敵対することないし、あくまで個人レベルですぅ、と言っておけば、非難されることもないわ。皆、食べることは好きだものね。ほんと、お気楽な番組作りだよな、と思ってたら、結構、影響力が大きいんだ、と吃驚しましたわ。

近隣のお寿司屋さん。数年前のオープン時、一度行ったきりで、あまり印象に残らなかった店なんだけど、このところのランチ時、駐車場が常に満杯状態で、流行っているんだなって感心していたのよね。いつかまた行きたいな、と思っていたの。で、最近、ある番組でその店の目玉ランチメニューを紹介。何と寿司20貫(細巻きも入れて)が1000円台前半の価格。見れば、白身やマグロの新鮮ネタ満載の超お得メニュー。これは受けるわ、と感心してたら、その後、駐車場に車の長蛇の列が。今までの倍以上の半端ない車が押し寄せているじゃないですか。すごっ!皆、見てたんかい。

益々、行けなくなりましたわい。当分は人気沸騰ですね。やはりテレビで紹介されれば、影響力マックスなのね。でも、だれが見ても、すごいお得メニュー!がなければ、一時の繁盛で終わります。また常連さんが入れなくなります。はい、もろ刃の剣ですね。頑張って、超繁盛店でいてくだされ。外から車の列を見て“すご~い”と言って、通り過ぎますから。

  ・・・・続く。

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顧客満足の複雑さ183(問題点は何なのか)

      顧客満足の複雑さ183「問題点は何なのか」

日本のGDPが4位に転落し、各メディアでかなり大きく取り上げられた。ただ、だから何?という雰囲気が国民に蔓延しているといっても過言ではない。そもそも中国に抜かれた、とメディアが騒いでいたころから、その風潮は生まれていた。そして今年はドイツに抜かれ4位に。ワールドニュースを注視している人にはわかっている。ドイツでのインフラをはじめとする値上げラッシュに国民の不満がマックスになっていることを。何も負け惜しみで言っているのではなく、そもそもGDPの解釈自体が、現代の価値感に合わなくなっていると思う。GDPは一定期間内の国内総生産を指し、極めて荒く言えば、国内で販売された商品やサービスが生み出した売り上げから、経費を差し引いた儲け総額、ということだろうか。それが国の経済力の指針と、とらえられている。しかしそれは量を指す。そこに質の計算はない。ここでドイツの新政策情報が入ってきた。小さなプロジェクトを減らし大型のプロジェクトに益々特化していくという。これがGDP押し上げの要なのか。 

エネルギー自給率も食料自給率も壊滅的に低い日本がベストの環境にあるとは思っていないが、少なくとも中国にもドイツにも住みたくはない。環境・便利さ・治安の良さ・食事の美味しさ・そして国民性etc・何をとっても日本から出ていきたいとは思わない。しかし、真剣に?GDPの復権を目指すとしたら、何をどうすればよいのだろう。経済オンチの身とすれば、即答などできはしないが、よく問題視される日本の中小企業の数が、先進国で群を抜いて多いわけでもない。先進他国もおしなべて全体で95%以上の中小企業を抱えている。となると、やはり労働生産性が低いからだという主張には納得できる。一人が稼ぎだす金額が少ないという非効率性が、GDPが伸び悩む要因と指摘する向きは多い。要するに日本には丁寧な仕事、言い変えれば手のかかりすぎる仕事が多いのだろうと思う。前にも書いたと思うが2019年飲食店数都市別ランキングでは東京が14万8582店と突出している。2番目はソールで8万3239店、3番目が中国の深せんで5万9985店、そして4番目がパリの4万4896店だ。2023年のミシェランで東京の星獲得数がパリを抜いたようだがそもそも分母が大きい。ちなみにGDP3位のドイツはどの都市も10位内に入っていない。コンビニエンスストアのセブンイレブンは、2016年のデータでは日本が1万8860店舗でダントツの1位。2位がタイの9278店舗、おひざ元のアメリカが3位の8378店舗で、あとはアジアが続く。ヨーロッパ各国は桁が違うほどに少ない。日本には何故こんなにも多いのか、の理由の一つは商圏が狭く売上げ目標が低いのだろう。 

日本では人手がかかり、小幅に稼ぐビジネスが非常に多い。そんな環境で、まだGDP4位とは立派なものだが、最新技術の開発と駆使により、効率的に大きく儲かる事業の展開以外に、日本浮上の道はないように思う。そしてその事業権利を寡占することが必要だ。人の良さだけでは国民が飢える。          2024年 3月1日  間島   

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