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 顧客満足の複雑さ142「飲食店の試練と構造」

長引くコロナ禍で諸企業や店舗などが大きな影響を受けていると思われるが、中でも人の動きによって成り立っている飲食店の深刻度は高い。7月30日の時点で、大手外食主要会社の来年度に向けての閉店計画が1200店舗を超えたという。出店計画が600店舗だから、明らかに縮小する。ロイヤルホストや天丼てんやを展開するロイヤルホールディングスは2021年末までに不採算店70店舗を閉店すると発表した。ジョイフルは2020年7月より、総店舗数767店の内、26%にあたる200店舗を順次閉店する。吉野家ホールディングスも年内の150店舗閉店を決めた。甘太郎などを展開するコロワイドが196店舗、ワタミが年内に65店舗を閉店するという。これほどの事態は今まで聞いたことは無い。大手外食チェーン店のスクラップ&ビルド、いわゆる不採算店のクローズと新規開店によって結果的に売り上げを効率的に伸ばしていく図式とは、全くあてはまらない現状がここにある。 

もともと日本での飲食店は、新規開店の内70%が3年以内に閉店するといわれる。1年以内ですでに30%が撤退し、10年後の営業率は10%前後に過ぎない。産業の中ではNO1の廃業率だ。ちなみに2位は情報通信業で、3位は小売業となる。何故それほどに飲食店の廃業率が高いのかの理由としては、参入障壁の低いビジネスではあるが、実際の運営は厳しい、ということがあげられよう。開店はだれでも比較的簡単に出来るが、家賃や人件費、原価に光熱費の負担は他ビジネスに比べて非常に厳しく、徐々に持ちこたえられなくなり閉店を余儀なくされる。それが前述の3年以内に70%が廃業するという事実に表れている。また、とても手のかかる商売だと思う。それら弱点を効率化し企業化したのが、ファミレスでありチェーン店なのだが、彼らの思い切りは早い。生き残るためには大ナタを振るうことを厭わない。雇用の受け皿とも言われる外食産業の立ち直りを祈りたいが、かなりの時間を要するかもしれない。 

ちなみに、世界の主要都市の飲食店数は、東京が14万582店のダントツ1位で、2位以下を大きく引き離している。人口では東京より550万人も多いニューヨークの飲食店数は2万6697店で7位。バーの数でも東京は2万9358店で1位。パブ人気のロンドンは3615店で8位となっている。何だか妙な気分になってきた。賑やかで華やかで便利なのは利用者としては素直に歓迎できるが、このコロナ禍でどれほどの店がもちこたえられるのだろう。それ以前に、果たしてこれほどの店舗数が日本の産業構造の中で必要なのだろうか、とも思える。消耗戦のような業態だ。一方、日常に利用させてもらっている近隣の数店舗の飲食店は、コロナ禍でも皆、元気そうに見える。昼食時は満席状態の時が多い。やはり地元密着型で、なおかつ家族経営の店は強い。                           2020年10月1日

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 顧客満足の複雑さ141「レジ袋有料化の矛盾と功罪」

2020年7月1日から、全国の小売店で一律にレジ袋有料化が始まった。担当の経済産業省によれば、正式には“プラスチック製買物袋有料化”となるが、巷間では“レジ袋有料化”が一般的な名称となっている。海洋プラスチックごみ問題や廃棄物・資源制約、地球温暖化などの課題を受けての施行だという。環境省なども動いての新制度に違いない。“プラスチック買物袋の過剰な使用の抑制“が目的で、対象は多岐にわたる。スーパーやコンビニはもとより、衣服、医薬品、化粧品、文具、タバコ、自動車部品等々、ほとんどすべての小売り事業者が対象となる。ただ、レジ袋の使用を禁止するのではなく、必要ならば買ってくださいね、というところが笑える。そういえば、ナショナルチェーンの超大手スーパーでは随分と前からレジ袋有料化を実施していた。国民の意識を高める目的というが、そもそもレジ袋は各家庭でゴミ出しに再利用する場合が殆どで、その他でも有効利用されている。過剰に使用している人など、いるのだろうか。

実際の現場でもコンビニでプリン1個、パン3個、ジュースなどを買うと、それら商品がそのままに置かれて困惑する人を、よく見かけるようになった。若い客は手ぶら状態が多く、仕方なくレジ袋を購入するか、ポケットにねじ込むかのいずれかで、万引きに間違われそうな状態だ。また、失笑を禁じ得ないのは、スーパー用レジ袋仕様のポリ袋の売り切れ状態が続いていることだ。マイバッグに拒否感を持つ人は多い。野菜も肉もお菓子も洗剤も靴も下着も詰め込むには、衛生上からも4~5枚のマイバッグは必要になるし、頻繁に洗わねばならない。それを嫌う人達が、せっせとレジ袋仕様のポリ袋を買って、買い物時に利用している。一体、何のための制度かと聞きたくもなる。

時折利用する地域型スーパーでは、今でも充分な枚数のレジ袋を付けてくれるので重宝しているが、制度に背いていいのかと案じていたら、その理由が分かった。その店のレジ袋は、バイオマス素材配合率が25%以上なので、有料化の対象外なのだ。植物性プラスチックを25%使用することで、CO2削減に寄与するらしい。今回のレジ袋有料化は、1、厚手(フィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの)2、生分解性プラ(海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの)3、バイオマス(植物由来のバイオマス素材の配合率が25%以上のもの)の3点のどれかひとつの条件を満たせば対象外となるのだ。一地方のチェーン店が、バイオマスレジ袋に転換して、客に無料で提供している一方で、大手コンビニや大型スーパーでは有料化を遵守し、なおかつレジ袋仕様の従来型プラスチック商品を品切れ状態になるほど売りまくっている。しかし、精算時に客が購入するレジ袋は、有料化対象外となるバイオマスクリアのものなのだ。これをレジ袋として使うと有料化の対象とはならないのに、経費がかかりすぎて無理ということか。つまり、すべてが利用者の負担において対処すべきであって、当社はきちんと環境に優しいレジ袋を採用していますからね、というわけだ。国民の意識を高めるという、上から目線の制度は、やはり供給側の事情を優先したものだと思われても止むを得まい。各小売店に、上記3種の条件に入るレジ袋提供を義務づければいいだけの話だ。                                2020年9月1日

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食文化の豆知識171 食文化の現状150(冷凍食品の未来)

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食文化の豆知識171 食文化の現状150(冷凍食品の未来) 

長く続くコロナ禍で自宅での食事回数が増えたこともあって、ケータリングやテイクアウトの利用が人気とか。新たな企業の参入もあり、成長が見込めるビジネス分野になりそうです。コロナが収まっても、仕事のスタイルが変化し、これから先も伸びることでしょう。また、冷凍食品業界も期待産業です。冷凍技術が向上し、質の高い商品も増えてきました。安いイメージのあった冷凍食品ですが、高価格帯といえる商品も結構見受けられます。日常的に、冷凍刻みネギやグリーンピースなどは重宝していましたが、各スーパーの冷凍食品コーナーの拡充と充実により、新たに好みの物を見つける楽しさが増えました。といっても、まだまだ初心者で、買ったものの、がっかりすることも結構あります。あくまで個人的な嗜好ですが、揚げ物などは満足度が低い。やはりからりと揚がった食感まで持っていくのは、難しい?一方、お好み焼きやピザなどは、これが冷凍もの?と思うほど、美味しく仕上がるものもあって、常時、冷蔵庫にストックしています。日常の食事の一助になります。 

ただ、冷凍食品棚を見ることが多くなると共に、品揃えの限界も感じます。種類は多いのですが、思わず手を伸ばしたくなるものが少ない。単なる食わず嫌いなのかもしれませんが、もっとバラエテイを増やし、質もあげてほしいと思います。また、冷凍野菜は外国産、という決まり?も、いささか願い下げです。価格面の調整が第一義となるのでしょうが、それではいつまでたっても、冷凍食品の格上げはできません。アイスものでも、ハーゲンダッツが不動の人気を保っているのは、美味しさもさることながら、食品成分のシンプルさと製造の技術力です。値段は張りますが、たまには買って食べたいと思わせる魅力に満ちています。冷凍食品で、そのような商品があるでしょうか。少なくとも、普段使いのスーパーには見受けられません。探す努力不足なのかもしれませんが、あっと言わせるような冷凍食品を是非、開発してほしい。消費者に、材料から作りあげた料理より美味しい!と言わしめるものがあれば、少し値が張ってもたまにはいただきたい。刺身なども、今の冷凍技術でもって、豪華な盛り合わせがなどがあれば、ストックしておきたいし、肉じゃがも、手作りより美味しい冷凍ものを開発してほしい。そう、これからの冷凍食品は、手作りより美味しい、という段階に入らなければ、いつまでたっても補助的な脇役で終わり、主役に躍り出ることは難しいでしょう。でも期待できそうな気配も感じます。 

          食生活アドバイザー 間島万梨子

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【その164】某月某日 ”見ない番組と見る番組・・・・ ”の巻き

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某月某日  “見ない番組と見る番組”の巻き

コロナ禍も長く続くけど、もともと第一線で活躍しているわけでもないので、ワタシ的には致命的な影響は無いのよね。勿論、恒例の飲み会が半年以上も中止になっているとか、繁華街へはできるだけ足を向けないとか、マスクがうっとおしいとか、スーパーなどのシールド越しの対応に慣れない、とかはあるけど。たいした問題じゃないって?そうよね。コロナ騒ぎで、エライ目にあっている人や店が、それこそ大変なことになっているのと比べると申し訳ないわ。

この騒ぎでも、テレビは途切れることなく番組を放映しているのもすごいなと思う。何年前のものであろうと、どうどうと流しているし、韓ドラは相変わらず多いし。で、自分なりにというか、見ない番組と見る番組がはっきりと色分けできましたわ。まず、仲間内の話題で勝手に盛り上がっている番組は見ない。はっきり言って、顔を見るのも面倒で、勝手にすれば?と思ってしまうわ。でも、そんな番組が多いのよね。ま、見ない自由はあるので、見なけりゃいいってことだけ。一方、一般人を対象としている番組は、なかには興味をそそられるものもあって、構成がすぐれているものもあるわ。結局、市井の人達が一番面白くて魅力的ってことなのかなとも思う。売ろう売ろうっていう、あざとさも無いので、自然さに味わいがあるのよね。ホント、テレビで生きている人が多すぎるよ。動物ものでも、何故、そんなにスタジオに座ってる人が多いの?って思う。彼らの意見はだれも聞いてないから、カワイイ動物だけ見せてよ、って本気で思うわ。

毎日毎日、コロナ感染者数で盛りあがり、毎度、関係者がコメンテーターとして、自論をお述べになるワイドショー的番組は、一切、見ないようになりました。テレビの番組の偏向性も鼻について、聞くにたえないことも多いわ。で、飽きた。情報なら、ネットで充分入手できるし、事実度の正確さも高いもの。そうそう、芸能人が俳句を競う番組は見てるわ。評価する先生がユニークでとても面白いので、見させていただいてます。めったにないことだわ。それほど、つまらない番組が多すぎると思う。視聴者が皆、楽しんで見てるとは思えない。テレビ関係者さま、もう少し実のある落ち着いた番組を作ってください。

  9月11日・・・・続く。

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【その163】某月某日 ”電力は安定?・・・・ ”の巻き

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某月某日  “電力は安定?”の巻き

このところの猛暑は尋常ではないよね。なんか、ほんの前まで、毎日のように豪雨が日本を襲っていた気がするけど、今は“また晴れかい!”って言いたくなるほどの晴天続き。お天道さまに、いい塩梅の配分をお願いしたいですわ。ま、これで野菜や果物の生育も安定するかも。日照不足よりもマシなのかな。というのは、野菜・果物がなんでこんなに高いの!?価格が続いているのよね。長雨による日照不足で不作になった、レタスやキャベツが高騰してるのに加え、お盆価格でわらわの大好物の果物がメチャ高く、手が出ん状態。誰が食べるん?と思ってしまう価格で、実際、陳列棚で売れ残ってるよ。あの果物たちはどうなるのだろう。生鮮品だから、いずれは傷んでしまうだろうに。全く、利用者の足元をみての価格付けは、かなり腹立ちますわ。

気を取り直して、暑い外には出ず、もっぱらエアコンフル回転の室内にこもってる毎日。で、ふと気づいたんだけど、毎年というか今年ほどの猛暑続きの場合、決まって新聞誌上で電力会社から不足電力注意の警告が連日出てたよね。でも今年は全くと言って、そんな記事は出ない。そうか、そうなのよね、コロナ騒ぎで店やホテル、企業も営業削減していて、電力使用量が減ってるので、いくら家庭で使用しても、充分電力は供給できてるってことね。なるほどなるほど。供給量が余っているときは、記事にはならないので分からないけど、一体、例年と比べ、総電力使用量にどれほどの差があるんだろうて、思ったわ。メディアって、危険はあおるけど、安定していることは記事にしないのね。なるほど、なるほど。このコロナ騒ぎで、随分と色々なことが浮き彫りになったと思うわ。某国のトップクラスの人間が、“飲食店などへの援助はしない。つぶれるところはつぶれるしかない“と言い放った海外ニュースを見て、腰を抜かしそうになったわ。これ、日本で言ったら、どうなるやら。フクロ叩きではすまないよ。ほんと、今回のコロナ禍は、このちっちゃな頭でも、色々なことを考えさせられましたわん。             

  8月15日・・・・続く。

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【第170回】 食環境の現状(149)(レジ袋有料化)

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食文化の豆知識170 食文化の現状149(レジ袋有料化)

 海洋にあふれるプラスティックゴミ問題を受けて、すべての小売り店でのレジ袋有料化がスタートしました。海を汚すと指摘されているレジ袋を市場から無くすのではなくて、“必要ならお金をいただきますよ、嫌ならご自分で袋をご持参ください“という法律です。これは一種の啓蒙活動なのでしょうか。国民皆が、プラスティックゴミ問題を真剣に考えてマイバッグを持ち、海を汚すことの無いように協力することの大切さを推し進めるという啓蒙活動?それとも店側はレジ袋費用が不要になり、売れた分は売り上げに計上するので、単純に考えて確実に利益はあがります。なので、これは経済活動になるのでしょうか? 

いずれにしても、この全店レジ袋有料化は、いたるところでほころびが見えています。例えばコンビニエンスストアの顧客は、固定客というより車客やフリの客が多く年齢層も比較的若い人達です。その人達がいつもマイバッグを持ち歩くでしょうか。レジでむき出しの商品を出されて困惑する顔が見えるようです。仕方が無いのでレジ袋を購入するか、ポケットにねじ込むか。万引きと間違われそうです。またスーパーで冷凍食品を買ってドライアイスをもらっても、専用機械に食品を吊るす袋が無いので、とても不便になりました。つまりこれはマイバッグ使用ではなく、専用の袋を常に持ち歩いていないと冷凍食品を買いにくい状態だということです。女性客が“最近、冷凍食品を買うことが減ったわ“とぼやいていました。そしてそのスーパーの、レジ袋仕様のビニール袋の商品棚は、売れ切れ状態が続いています。全く、茶番のような風景です。 

殆どの人は、スーパーでもらうレジ袋を有効利用していました。ゴミ出しに使用するのが一般的で、他にも再利用して最後はゴミとして捨てるのです。本当に不便になりました。何を買っても袋がついてこない、ということは、なにもかもをマイバッグに詰め込むことになるのですから、不衛生かつ乱雑にならざるを得ない。本も、靴も、果物も、肉も魚も、野菜も、洋服も一緒にマイバッグに?それが嫌なら、最低5~6種類のマイバッグが必要になります。店に並ぶ、過剰包装の野菜や果物を見るにつけ、頭が痛くなりました。ここは英断を持って、大型スーパー店に限ってのレジ袋有料化推奨へ戻るべきと思います。この法律を作った当事者は、細かな買い物などしたことが無い人達なのでしょうか。それとも、日常のゴミ出しなどしたことが無い人達なのでしょうか。それとも世界に向けてのポーズ作りに熱心な人達なのでしょうか。

  食生活アドバイザー 間島万梨子

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 顧客満足の複雑さ140「再度の生活活動停止は難しい 」

 顧客満足の複雑さ140「再度の生活活動停止は難しい」 

 数的には、日本でのコロナ感染者数は第二波に入っていると思うのだが、国民の緊張感が第一波時期と比べて比較的穏やかになっている気がする。覚悟していたからかもしれないが、これ以上の防衛策は取れないという諦念も確かにある。ただメディアは相変わらず、増加する感染者数の報道に明け暮れる。8月1日現在で3万7859人が感染し、1013人が亡くなられている。確かに感染者数はこの二週間、うなぎのぼりの傾向にあり、歯止めがいつかかるのか読めない不安感はある。全世 界でも1703万人が感染し、66万人を超える死者数を出したと聞けば、コロナへの不気味さに震撼せざるを得ない。ただ例年、インフルエンザにはそれほど恐れを抱く人はいない。ワクチンや治療薬タミフルの存在に安堵感を覚えるせいなのかもしれないが、数字的には、コロナを遙かに上回る。2019年の12月30日から1月5日までの一週間での日本におけるインフルエンザ感染者数は39万2000人で、前週は88万人を数えた。2019年1月だけで、インフルエンザが原因と医者が認めた死者数は1685人にのぼる。一日約54人だ。治療薬があっても、身体の弱っている人が感染するとあっけなく命が奪われてしまう。コロナと同じメカニズムなのだ。しかしながら、いくらインフルエンザが流行しようと、学級閉鎖はあっても、経済活動がストップしたという話は記憶にない。こうなると、今の騒ぎに頭を抱え込んでしまう。 

 さて、旅行業界や宿泊業界への業績の一助とすべく、GO To キャンペーンは予定通り施行されている。一部内容の変更がある中でスタートした。賛否両論はあるが、施行された以上、供給側、使用者側双方が、スムーズにその効果を受けるべきであって、これもまた一定の期間を経て、真の是非が評価されるものだろう。特に今、宿泊業界で盛り上がりを見せるのが、地元客誘致戦略だ。遠方客の利用に対する感染不安が一層、地元客に期待を寄せる一因となっている。ただ考えれば、何故今まで、地元客をターゲットとする戦略が出てこなかったのだろうと疑問を感じる。 以前に“地元客は宝の山なのに”という疑問を呈したことがある。温泉と料理と宿、この3点セットは、家事を預かる女性にとって何よりの解放であるのは勿論のこと、年齢性別問わず命の洗濯となるだろう。近くにその提供場所があるのは大きなメリットになる。移動に疲れないし、満足すれば確実にリピート率もアップする。遠方からの客を期待するより、はるかに上客となり得るのだ。コロナ禍をきっかけとして、宿泊意義の変化が供給・利用双方共に定着してほしいと思う。一方、飲食店はその多様性と店舗数の多さゆえに、なかなかに業績援助活動は難しい。接客の度合 いも、規模も異なる中で、会食は避けてほしいとの行政からの一律的なメッセージは、まさに死の宣告に等しいだろう。やはりここはターゲットを絞っての、ピンポイント行政指導しかない。  間島万梨子

 

 

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 顧客満足の複雑さ139「国による違いは明白 」

     顧客満足の複雑さ139「国による違いは明白」

 6月中旬以降、日本のコロナ感染者数は首都圏で二ケタ台後半が続く中、その他地 域ではゼロ乃至一ケタ台を維持している。痛ましくも亡くなった人は26日時点で 969人。今後の展開がどのようになるのかは分からないが、徐々に人が動き出し、経済が動き出している。一部の店を除いては、徹底した感染予防策が取られ、道行 く人々も100%近くマスクをつけている。いつ来るかもしれない第二波への怯え や備えは、ワクチンや治療薬の出現までは消えることは無いだろう。正しい怯えは 必要なのだと思う。それが日本での感染爆発を押えている理由のひとつに違いない。

 一方、死亡者数12万人を超えたアメリカのある郊外での日常の映像を見て、驚き を通り越して妙に感心してしまった。皆、一様にマスクもせず、密の状態で楽しそ うに歩き、談笑し、リゾートで遊んでいる。この楽観主義は、どこからくるのだろう。圧倒的感染者数の中で、自分だけは大丈夫と信じて疑わない国民性と個人主義 は、良い悪いの問題でかたずけられない違いを感じる。他国は異質だ。集団免疫戦 略、つまり放置政策を取ったスウェーデンが、米国に次ぐ100万人当たりの死亡 者数の多さ、という惨状に、今あえいでいる。大きな間違いを起こしたのだ。ただ 国民からは政府への非難も少なく、相変わらずマイペースな生活を続けているよう だ。ことほどさように、今回のコロナは、各国の政策の違いと国民性を見事に浮か び上がらせた。日本は誇って良い。死亡者数の低さが確固たる証拠として、裏付け られる。コロナ対策に関しては、お手本とすべき国は見当たらない。あるとすれば、ごく早期に中国からの入国禁止に踏み切り、個人へのマスク安定平等供給を迅速に 果たした台湾か、日本と同じく死者数が圧倒的に少ないニュージーランドあたりか。 それとても法律や環境の異なる条件下の成果であって、台湾のICカード式保険証 を使用してのマスク平等購入システムも、そもそも国民全部を把握できるICカー ドシステムをプライバシー保護の反対で導入できない日本では実施は難しい。 

 さて、コロナ自粛期間でもテレビは元気だ。過去の配信映像をうまく組み合わせて、 時間枠を埋めたものが多い。よくこれでスポンサーがつくものだと感心するが、裏 ではどのような取引があるのだろう。ニュース番組にしても、新たなコメンテータ ーを呼んで、日々侃々諤々の意見がはきだされて活気づいている。その形は、外国 のニュース番組とかなり異なる。最近、コロナ関連もあって海外ニュースを見る機 会が増えたのだが、どの国も一人のキャスターが自分の意見をことさらに述べるこ となく、事実や事件を映像を取り入れながら淡々と報道している。考えるのはテレ ビの前の視聴者の役目というわけだ。先日、朝8時からの一応はニュース報道らし い日本のテレビ番組の頭が、若い芸人が芸能事務所を出るとか出ないとかの話題だったのには、心底驚いた。外国にも芸能関連を扱う番組はあるが、ニュース番組と のすみわけは出来ている。日本のテレビはまるで、そこで生きる人達の互助会のよ うだ。テレビを生活の糧にする人の数が多すぎるのか、視聴者が芸人が多く集まる 賑やかさを望んでいるのかどうかは、分からない。                 間島万梨子

 

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【第169回】 食環境の現状(148)(食欲促進が一番)

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食文化の豆知識169 食文化の現状148(食欲促進が一番) 

“病院食は美味しくない”という声をよく耳にします。実際、止むを得ず入院した経験からすると、それは事実です。消化器系疾患ではない場合でも、病院食を美味しいと思ったことは稀です。病気で落ちた食欲がますます落ちる。何故美味しくないのか?それは栄養を主に献立が組み立てられるからです。次には予算の問題。つまり、限られた予算の中で、いかに患者に美味しく食べてもらえるかの発想が乏しいのです。というと一生懸命献立作りに頭を悩ませておられる管理栄養士に申し訳ないのですが、“味よりも栄養”を一番におくと、だれが作っても同じです。そこには薄味の、妙な味付けの料理が並ぶのです。誤解を恐れずに言えば“栄養よりも、美味しく食べてもらえる献立作り”が必要ということです。それと柔軟性思考です。 

母が入院した際、年齢もあって食欲が極端に落ちました。病院食に殆ど口を付けない。私が見ても手を出しにくいものでした。それでせっせと、高栄養で美味しいアイスクリームを運んで食べてもらいました。ある看護師は、血糖が高いのにアイスクリームなんて、という顔をしましたが、医師のOKが出て、退院まで一体何個のアイスクリームを食べたでしょうか。それが母の命をつなぐ一助にはなったのではと思っています。

介護施設でも同様の傾向が見られます。ある施設の献立は絵にかいたような、一汁三菜。それもご飯、みそ汁、小鉢ものの内容は毎日同じ。あとの主菜1品だけが魚の煮つけであったり、塩焼きであったりするわけで、本当に能が無い。かたや違う施設の献立は変化に富んでいます。高齢者の好みそうな料理が多く出てきます。散らし寿司や丼物、お好み焼や麺類を取り入れて変化のある献立になっています。つまり柔軟なのです。それは“まずは食べてもらえるかどうか”を第一義に捉えるか否かなのです。何も、ビーフステーキや串カツなどを出さなくても、予算内でも美味しそうな献立作りは可能です。でもまずい病院食しか出せないのは“こうあらねばならない“という呪縛にとらわれているからです。このまずい食事から早く抜け出して、焼肉やお寿司を食べたい!という思いが退院を早める役目をはたしているかもしれませんが、やはり食欲促進が一番という柔軟な発想に基づいたメニュー作りが求められます。顧客満足重視の姿勢が必要なのです。

             食生活アドバイザー 間島万梨子

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【その162】某月某日 ”夜の街ってなあに?・・・・ ”の巻き

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某月某日  “夜の街、ってなあに?”の巻き

7月に入って、じわりじわりとコロナ感染者数が増えてきているのって、やはり不気味よね。ホント、手強い相手だわ。東京で三ケタ台になってしまった。で、このところ、やたらに耳に残るのが、都知事がおっしゃる“夜の街”というフレーズ。夜になるとあたり一面、真っ暗になる田舎に住んでいるので、夜の街、ってこんな暗いところのこと?なんて思ってしまうわ。思いません!知ってますわよ。夜の街とは、歓楽街のことでしょう。そりゃ、人が集まるよね。人の集まらないところは歓楽街とは言いません。はい、そこが立派な夜の街です。接客を伴うお店で、人との距離を取れ、っていうのも無理難題だよね。だれが、2メートル離れたところから、接客してほしい?どんな接客するん?大体が、2メートル離れたら、眼も見えんし、声も聞こえんし、触れんわ。どこの介護施設じゃ!

なので、ここは行く方も店も覚悟を決めるか、全面休業するか、どちらかしか無いと思う。一番簡単なのは、客が全く行かないことね。となると自然に店は休業します。でも、行きたいのよね?我慢できないのよね?はあ、難しい問題だわ。N子には、解決策は分かりません。とにかく、自分の身は自分で守れ、人に移すな、ってことぐらいしか、言えんわ。結構キツイ?でも、普通の飲食店で、あまり大声を出さずに小人数で会食するくらいなら、リスクは高くはないらしいので、当分はそれくらいで我慢しようよと、思ってしまうわ。

幸いなことに、近隣の飲食店で閉店したこところは無いので、危機感はあまり伝わらないけれど、不特定多数のお客を相手にする飲食店は、すでに大手チェーンが店の整理に踏み切っているようで、働いていた人達は大変だよね。これからは、インバウンド専用となっていたホテルもどうなるのか、考えたらアタマが痛くなるわ。とにかく、夜の街、という言い方は止めて、はっきりと業種を明らかにした方がいいと思うよ。夜が怒るわ。街も怒るよ!                     2020年7月4日 ・・ 続く

 

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