【第101回】 食環境の現状(80)

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食文化の豆知識 101 [食文化の現状80]

在阪大手ホテル・レストランチェーン下でのレストラン群に端を発した、メニュー偽装表

示問題は、他ホテルや百貨店のテナントレストラン・食品物販店にまで広がってきました。

こうなると、書く方も読む方も、そして観る方も、既視感疲れ状態です。かつての毒餃子

事件のように気の毒な犠牲者が出たわけでもなく、ただただケシカランではないか、レベ

ルでおさまりつつあります。あとは、食を提供する各企業側の徹底した自浄作業とすべて

のメニュー表示見直し、ひいては行政による適切な法整備へと向かうことになるでしょう。

振り返ってみると、今回の食材偽装・虚偽表示は殆どが、企業側の自己告知でした。とな

ると、明らかになったのは氷山の一角ではないだろうかの疑いも残る事件です。多分、半

永久的にどこかで続けられる事象なのかもしれません。それを防ぐ意味でも再発防止のた

めのしっかりとした法律が望まれます。

 

これら事件報道がやや下火になる頃に、忘年会シーズンがやってきました。街に出れば多

くのレストランは客であふれかえっています。個人的にはあまりホテル内レストランは利

用しませんが(値段だけがやけに張るように思えて)、虚偽表示があったレストランもそこ

そこ集客していることでしょう。もう偽装はないだろうとの期待も、利用者側にあるはず

です。個人的にあまり利用しないと書きましたが、ホテル内レストランにあこがれを持っ

た時期もありました。何と言っても、雰囲気の良さや接客レベルの高さが素敵でしたし、

洗練された料理も何より魅力でした。しかし、街場に個性的でハイレベルな店がどんどん

生まれ出すと、逆にホテルレストランが平凡に思われ出したのです。街場の店の方がだん

ぜん、リーズナブルで楽しくて美味しいと。今でもその思いは変わりませんが、ホテルレ

ストランを利用する人の気持ちもよく分かります。まず立地が分かりやすい、安心できる、

雰囲気がそこそこ豪華、料理にハズレがない、などなど。そうなのです。すこしは値が張

っても、リッチで優雅な非日常の雰囲気を味わえて、安心できることが、ホテルレストラ

ン利用に至る大きな理由なのだと思います。その思いを裏切った罪を、やはり深く反省し

てもらわねばなりません。街場の店が同じことをして発覚すると、閉店に追い込まれる可

能性大なのですから。< /span>

 

先日、友人と街場の日本料理店でささやかな忘年会をしました。5500円で丁寧な和食

コースを味わえるので、たまに利用しているのですが、時期的にも満席状態でした。1品

1品美味しくいただきましたが、お品書きに、車海老の野菜巻き揚げ、の記載が目に飛び

込んできました。可愛らしい女性のスタッフに、「本物の車海老?」と聞くのはやめました。

本物ならうれしいし、偽表示でも許せるかな、と思ったからです。優しすぎる消費者かも

しれません。

              25年12月8日  間島万梨子 食生活アドバイザー

 

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