【第68回】 食環境の現状(47)

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食文化の豆知識  68 [食環境の現状 47]

 

高級日本料理店を率いる料理長の奮闘ぶりを密着取材した、テレビ番組を見ました。

いわゆる経営者料理長なので、店に対する思い入れや危機感、また向上心等の高さは

尋常ではなく、また創り上げる数々の料理の見事さに魅入られました。お座敷の調度

品や良く手入れされた庭園も、総合価値を高めています。一度くらいは経験してみたい

と、多分誰もがあこがれる有名店です。ただコース料理のお値段は4万2000円とか。

空を見上げて、ため息一つ、といったところです。何と、強気な姿勢でしょう。

そこである料理長から聞いた話を思い出しました。フレンチシェフでしたが、どのよう

な高級食材を使った料理でも、おおよそ2万円頂ければ、充分に利益は出るものだと。

だからそれ以上の価格設定は、喜んで支払う客の存在の有無にかかっていると。

これには諸説異論もあると思いますが、ものの値段とはそのようなものであるのでしょ

う。支払う人がいると、その価格は立派に成立するのです。たとえ、内容が価格にそぐ

わなくても、です。4万2000円の価値を、その料理とブランド力と環境からみて認

める人はどうぞお支払いになってお楽しみください、でいいのです。

 

ことほどさように、お金の使い方ほど、個々人の相違が出るものは無いように思います。

ただ本来、だれもが同じレベルで支払うべき公共料金が、地域によって大きな差が生じ

ているのは、全く納得がいきません。浮き草の如く、各地を動いた時期がありますが、

住む地の差異をもっとも感じ入ったのは、何と水道料金でした。和歌山県の清流を源と

する地での水道料金は一ヶ月3500円。入居者で平等にシェアする大阪市内マンショ

ンでは一律1500円。汚染された沼を水源とする地では、6500円。そして大阪のはずれである

今の地では、遠く琵琶湖から続く淀川を水源とするためか、普通に使用して一ヶ月9000円! 

毎日の暮らしになくてはならない最たるインフラである水。

それがこんなにも地域によって格差があるのは、何かおかしい。それぞれもっともな
理由を聞かされますが、均一化への努力が全くなされていないことに問題を感じます。

 

ちなみに、20立方㍍使用の場合、全国で一番高い水道料金は1万2600円、一方

もっとも安い地区では840円とか。今や、水道事業はギャンブル的要素をはらみ、

その地の住民を巻き込んで、異常な高騰へ突き進みむ危険性を隠し持っています。

手を打つなら早いほうがいい。すべての水道業者が杜撰だとは思いませんが、住民が

要らないからといって拒否出来ない、命の根元たる水の安定価格提供は、国の政策とし

て管理されるべきではないでしょうか。

 

23年3月6日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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