顧客満足の複雑さ 211「厚生労働省の記憶と今」

      顧客満足の複雑さ 211「厚生労働省の記憶と今」 

少子化に伴い、年金システムへの不満が少なからず散見される。数少なくなった若い年代が多くの老年世代を支えるために、多額の年金を徴収されていることへの不満だ。お金の流れからみるとそうなるかもしれないが、本質はそこには無いように思われる。もともと厚生年金のシステムは設立当初から変わらない。順送り方式、というべきか。今の年金受給世代も、現役時代は先の年代を支えてきたので、損得の問題ではなく、人口ゾーンの結果だ。だが、問題は戦後のベビーブーム世代から集めに集めた巨額な基金を、無駄に使いまくった厚労省そのものだ。きついことを言うようだが、目もくらむような基金を前にして、一体、どれだけのお金が消えていったのか、に関しての責任はだれがどう取ったのか、知らない。当時の関係者は、多分もういない。 

ベビーブーム世代が支えた年代は、戦中戦後を生き抜いた人たちで、少数派だった。当然に多くのお金が貯まりに貯まる。巨額な基金が、役人の手にゆだねられたのだ。彼らは、将来を熟慮することなく、国民の慰労という名目で、会館や宿泊施設を作りに作った。天下り先は余るほどに出来上がったが、役人に商売ができるわけがないのだ。良く悪くも、そういう頭の構図にはなっていないのだから、仕方がない。案の定、ほとんどすべての施設が、利益をだせないままに民間に売りに出された。かなり前のことだが、経営に手詰まり状態だった全国の国民宿舎を、オリックスが厚労省から一括従業員込みで買い受けようという、願ってもない話がまとまったのに、ときの担当大臣が、かけたお金に合わない売却金だといちゃもんをつけ、白紙となり、オリックスはあっさりと手を引いた。結局、ばらばらに、そして、より安値で国民宿舎はたたき売られた。オリックス側は、役人と政治家の商売センスの無さにあきれはてたことだろう。 

社会保険庁がまだ機能していた時代を知っている。企業側の人間として、保険庁に通ったが、職員の質の悪さに驚いたことがある。ガムを噛みながら応対されたこともあるし、昼休み中はお仕事をされなかったし、何より、傲慢で居丈高な人たちばかりであった。普通の会社ならとっくにつぶれているだろう。社会保険庁は年金記録問題などの不祥事を受け、2009年に廃止され、日本年金機構が受け継ぎ、年金事務所として同じ業務を全国で受け持っている。年金の無駄使いをだれか責任を取ったのだろうか。そして今、企業と個人からの両取りで安定した基金の厚生年金に、国民年金の一部を負担させようという案もあるらしい。いままで、様々な共済組合の年金も、資金繰りが立ち行かなくなって、厚生年金に乗っかってきた。全く、日本の企業人はおとなしい。たぶん、フランスやイタリアなどでは大規模なデモが起こるだろう。今後の厚労省の若手官僚の矜持と先見性に期待したいところだが、果たして・・・。

          2026年 7月1日 間島

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