
食文化の豆知識229 食文化の現状208(熱意の差異)
テレビで、若い夫婦が営むイチゴ農園を放映していました。詳しい場所などは覚えていないのですが、とにかくそのイチゴは甘くて大粒で、道の駅などで大人気だとか。毎日の出荷に追われる日常を追っていましたが、自分たちが納得できる糖度の高い上質のイチゴに仕上げるまでの作業は、若さゆえに可能だとは言い切れない、努力と叡智がひしひしと感じとれました。まさに、プロの仕事です。常に考え、常に試行錯誤し、体を使っての、成果なのです。
ただ残念ながら、日本の果樹園農家がすべて、彼らのように努力しているとは限りません。わが家近辺で売られている柑橘類(みかん)の中には、こんなまずいものを、そこそこの値段でよく売っているものだと、感心?することがあるのです。少しでも売れるからそれで充分なのでしょうか。糖度や見かけなどへの努力もせずに、ただ、生成りのものを市場に出して、売れれば幸い、で終わりなのでしょうか。先の、イチゴ農家の若い夫婦の爪の垢でも煎じて飲んでいただきたい。
柑橘類でも糖度の高いデコポンや、ジューシーな清見など、質の高いみかんも出てきています。前者は熊本県果実農業協同連合会が商標権を所有しています。種は不知火です。後者は静岡県が発祥ですが、さらに糖度などを高くする努力を重ねた愛媛県が45%とダントツの収穫量を誇ります。最初食べときには、その甘さとジューシーさに驚きました。ただその後、多くのみかん農家が生産し始めると、質が低下してきました。デコポンのように、商標権を取っておけばよかったのに、とも思いますが、諸事情があるのでしょう。ことほどさように、先駆者と追随の差異は、まさに熱意の差異といえます。残念ながら、この世は、売れ筋に乗っかって、売れれば儲けもん、が、まかり通っているようです。それは国と国との間でも同じこと。やはり先駆者の努力は、きちんと守られるべきだと思います。
食生活アドバイザー 間島万梨子