いよいよ、コメの減反政策の見直し改革案に、政府が取り組みはじめました。減反政策は、
いわゆる生産調整と同義語ですが、政府ならびに行政の農政への無策ぶりを顕著に露呈した
ものといえば言い過ぎでしょうか。要するに、コメ消費が低迷しだしたので、価格安定のためにも
生産量も減らしなさい。ついてはコメ農家がコメの生産を減らしたり他作物に転換すれば、
補助金を出して所得補填をしましょう、という政策。
何と頭の要らない、つまらない政策でしょう。コメの需要拡大への知恵も策もなく、真に意欲ある
農家を押さえつけ、お金でかたづけようとする。そこには農業に従事する人の票田をあてにしよう
との目論見もかいま見えます。票田のためには、兼業農家でも零細農家でも数が多いままの方
が有利なのですから。
そして、減反政策がはじまってからの約40年で、7兆円もの税金がつぎこまれてきたのです。
結果として、生産効率の低いままに農地が分断され、みじめなほどの食糧自給率の低下と、
荒れた休耕田の増加を招いてしまいました。今、求められるのはコメの増産を需要拡大に結び
つける知恵の結集と、意欲的な農家の育成でしょう。農家のコメ作りへの自由な活動を促し、
農業を活性化していくためには、減反政策の見直しは急を要します。
農地を集約して生産効率を高めるには耕作規模拡大が必要です。企業の農業参画を勧める
には農地借用の自由化も急がれます。持ち主が手放さないままに休耕田化している農地の有効
利用なくして、日本の農業の展望は開けません。限りある国土なのですから。
とにもかくにも、農業改革の扉は開かれました。意欲と能力のある農家への一層のフォローが政府
と行政の重要な役割です。世界の人口は増加しており、食糧不足は避けられようもありません。
農政改革の必要性と具体的政策は明確です。あとはいかに実行するかです。
現実に、飼料米づくりに邁進しはじめた農家もあるようです。
意欲ある農家や企業が、政府や行政の一歩前をすでに進んでいるのかもしれません。
平成21年2月11日 P&Cネットワーク 間島万梨子 食生活アドバイザー