【第159回】 食環境の現状(138)(日本の伝統) 

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食文化の豆知識159 食文化の現状138(日本の伝統) 

今年もあとわずかですが、24日までは街はクリスマス商戦一色に染まり、25日からは一斉に正月向け商戦に切り替わります。お見事!と掛け声の一つでも掛けたくなるほどの横並び商法です。他と違う商戦でも張ればいいのにと思うほどの同じ風景に、いささか涙ぐましさを感じるほどです。ひと月ほど前はハロウイーンのカボチャだらけだったのに、今は見る影もありません。ま、他国の風習も取り入れて、にぎやかさを好むのは、豊かさの表れかもしれませんが、すでにバレンタインデイの売り出しが始まっているのを見ると、うんざり感が出てきます。そのうち全世界のお祭りが、日本で祝われるようになるかもしれません。意味も分からずに。と同時に、街には全世界の言語による案内音声が響き渡る。ちょっとした悪夢です。 

気を取りなおして、お正月です。昔のように儀式にのっとる用意はできませんが、しめ飾りが、邪気を払い内を清浄な状態にする意味があると知れば、何があっても28日には玄関外に飾らせていただきます。鏡餅も歳神さまを迎える供え物と聞けば、ささやかに飾って感謝の気持ちを表したい。日頃より、信心とは程遠い生活をしていますが、年初元旦を迎えるときぐらいは、日本人の伝統を少しでも守っていきたいと、思っています。それは、昔から伝わる心の伝承であり、誇りある日本の儀式でもあります。きちんとした、いわれがあるからです。おせち料理も元旦だけはいただきたい。今は贅沢になって、三日と続けて同じものを食べるのは苦痛なので、二日目からは普通の食事に戻るという、いい加減な心構えですが、とにもかくにも、元旦だけはくわいや数の子をいただきます。 

フランスは訪問したことも無く、馴染の無い国ですがかなり自意識の強い国民性を持っているように感じます。その強さは参考にすべきことも多い。なぜか自国の文化や言語、伝統に確固たる自信を持っており、それが鼻持ちならないときもありますが、すべてに?謙虚で優しい日本人は、少しは見習うべきかもしれません。サービス精神旺盛で、おもてなし精神を惜しげもなくアピールすることもいいのですが、したたかさと、ほんの少しの傲慢さも、日本人にあってもいい。そんなことを考えざるを得ないほど浮かれすぎた日本が見えてきます。民族の真の誇りとは何か、を教育してこなかった国の危うさを、このごろ感じることが多くなりました。思い過ごしであることを祈りつつ、来年は穏やかな年でありますように。

   2018年12月23日  食生活アドバイザー 間島万梨子

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