顧客満足の複雑さ116「ようやくプラスティックごみ対策」
飲食担当 間島
何故日本は、各国に先駆けてのグローバルな規制実施に、極めて慎重なのだろうか。関連企業への配慮の深さゆえか。世界での、プラスティック製品禁止の動きのことだ。過剰なプラスティック製品の氾濫には、数年前から色々な場を借りて、またこの欄でも警鐘を鳴らしてきたつもりだが、まさにごまめの歯ぎしりで、市場は何の変化もなかった。ただここにきて世界の、主に先進国のプラスティックごみ対策の加速により、日本もようやく重い腰を上げだした。遅きに失すると言いたいが、まずは歓迎せねばなるまい。現実に何が出来て、どういう効果が出るのかは別にして。
国際的な動きを導いたのは、海洋汚染問題だ。世界で年間900万トンのプラスティックごみが海に流れ込むことによる海洋環境の悪化が、プラスティックごみ対策への国際的関心を急激に高まらせた。米国ではコーヒーチェーン大手のスターバックスなどが、プラスティック製使い捨てストローを廃止する方針を固めた。フランスは2016年からレジ袋配布を禁止しており、2020年からはプラスティックカップや皿の販売も禁止する予定だ。英国でも2019年からストローやマドラーの販売を禁止。インドは2022年までに使い捨てプラ製品を全廃するというから驚きだ。日本で、世界的な広がりに素早く呼応したのは外資系ホテルで、紙製ストローへの切り替えなどが加速している。
で、日本国の方針だが、近く「プラスティック資源循環戦略」を策定するという。戦略は、使い捨て容器包装などの削減、使用済みプラスティックの回収とリサイクル、植物を原料としたバイオプラスティックの開発と転換、の三本があげられているが、具体的な戦術・対策は見えていない。市民生活や産業への影響を慎重に検討する必要があるらしい。が、主に、産業(企業)への配慮が優先されていると思われる。現実の生活で、大量のプラスティックごみに触れ、そして捨てているのは家事を預かる人たちだろう。一回のまとまった買い物で出るリサイクル不能なプラスティックごみは、生半端な量ではない。勿論、ペットボトルやトレイなどをリサイクルに回した後のことだ。もともとプラスティックストローなどは家で何年も使ったことがない身としては、ストローに端を発した動きに感嘆するものでもないが、何がきっかけでも良い。これを機に、プラスティックごみの現実を直視し、分析し、整理し、削減する方向に向かわねばならない。野菜などをはじめとする生鮮品の量り売りへの移行だけでも、大きく改善する。現状の個別ラップは、鮮度を保つためだとか、売りやすいとか、消費者も望んでいるとか等の理由付けは、わんさか出てくるだろうが、発想の転換が望まれる。ことは急がねばならない。プラスティックによる過剰包装は文明の証でもなく、誇るべき文化でもない。
2018年8月1日