食文化の豆知識175 食文化の現状154(期待高まる冷凍食品)
コロナは、社会状況を変えています。ビジネスのオンライン化をはじめ、食品を始めとする様々な商品のネット販売の増大など、人の動きの変化に応じてビジネスの形態も変わりました。これらの新しい動きがコロナが収まったあとも定着するのか、また元に戻るのか、予想がつきませんが、その中で確実に成長していくと思われるのが、冷凍技術でしょう。いかに鮮度を保ったままで市場に、そして各家庭の食卓に乗るのか、の技術が開発されているのです。これは期待が高まります。零下30度以上で、食品の組織を全く痛めることなく急速冷凍された食品・食材は、解凍後にもそのままフレッシュの状態を保ちます。生の食材は勿論、天ぷらでもカツでも、揚げたばかりの食感を提供できる技術が開発されています。
スーパーの冷凍棚を見て、いささかの物足りなさを感じている身にとって、まさに朗報です。若干、冷凍食品もグレードが上がってきたと思えるものの、原材料は安い外国産のものが多く、種類も限定的です。今まで冷凍食品を買って満足したものは、本当に一部商品のみでした。それが最新の冷凍技術では、刺身もお寿司も天ぷらも、まさに出来立ての食感が味わえるというのです。夢のようなお話です。いや、お話では無く、近いうちにスーパーの冷凍コーナーに、今までとは全く異にする食材や食品が並ぶことでしょう。まさに革命です。楽しみに待つとしましょう。
ただ懸念もあります。自宅でも、ゆで野菜などは冷凍して保存することもありますが、家庭用の冷凍庫はせいぜいマイナス20度前後です。どうしても解凍後の食感が水っぽくなってしまう。天ぷらなどは冷凍したこともありませんが、解凍後の味わいは予測がつきます。で、素晴らしい冷凍技術の開発。ただそれらが市場で買えるようになったとき、自宅の冷凍庫に移すと、質が劣化してしまうに違いありません。買って解凍して、すぐに食べなければ味が落ちそうです。さてはて、素晴らしい冷凍技術で生み出された食品たちを、各家庭でどのように食べてもらうのか、楽しみはあと少し、先なのかもしれません。
食生活アドバイザー 間島万梨子