【第150回】 食環境の現状(129) (野菜価格の高騰の原理)

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年末年初以来の野菜価格高騰が、まだ続いています。従来なら、この時期は一本が百円ほどの大根が、店によっては250円の値札がついています。白菜も一個が400円前後。昨年は150円ほどでした。昨年10月の長雨が、いまだに影響しているのでしょうか。怖いのは、この値段に消費者が慣れてしまうことです。多く収穫できるようになっても、高め価格で推移していく、という例は結構あります。やはり商売ですから、ここは生産者と消費者のせめぎ合いです。高ければ買わないとなれば、自然に価格は下がってきます。まさに需要と供給のバランスですが、これほどまでに高いと、日本人の野菜摂取量がますます低下しそうで、財布も痛いけれど、胸も痛みます。 

さて、気を取り直して、現在の価格優等生の玉ねぎやジャガイモ、ニンジンに役立っていただきましょうか。鍋も洋風シチューにして家計防衛するとか、肉じゃが、カレーを順番送りにメニューに乗せるとか。何だか、寂しい提案になってしまいました。でも考えれば、洋風料理用の野菜は比較的に価格安定していますが、価格が乱高下するのは大体が、和風料理の材料となる野菜です。特に葉物類が、気候の影響を受けやすいので、自ずとそういう結果になるということです。根菜類は強い家計応援団です。栄養価も豊富だし、生鮮者には頭が下がります。 

実は野菜価格はしばしば高騰しているのです。季節は一定ではありませんが、気候異常は毎年起こっているので、その都度、野菜の価格が跳ね上がる。需要は変わらないのに、供給量が減るので、当然に?価格は跳ね上がります。これが大規模農場だと、かなり安定した供給量を放出できますが、日本の場合、殆どが小規模農家であるがゆえに、もろに気候の影響を受けてしまう。結局、割りを食うのは、消費者です。間違いなく、購入者である消費者が、一番の被害者です。供給者は、不作でも高く売ることで何とかバランスはとれますが、消費者は最後の登場者なので、出来ることは買わないことだけ。それはすごい武器であるともいえます。でも、この時期の美味しい白菜や大根を無視するのは無理かもしれません。 

         2月11日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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