【第77回】 食環境の現状(56)

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食文化の豆知識  77 [食環境の現状56]

 

野菜の価格が安くなりました。気候のなせる恵みでしょうか。温暖ゆえに収穫高が増え

たのに、需要つまり購買高が少ない故の価格下落らしいのです。大根や白菜の需要が伸

びないのは、暖かい日が多くて鍋料理が恋しくならないせいともいわれています。鍋料

理大好き我が家では、暑かろうと寒かろうと、年中鍋ものが頻繁に食卓に登場しますの

で、大根や白菜、キャベツが安く手に入るのは、本当にうれしい限りです。でも気にな

ったのが、その安価をマイナス症状としてとらえているテレビ報道です。生産農家の方

たちの窮状を訴える内容でした。ちょっと待って欲しい。ほんの少し前まで白菜は一個

が800円ほどもしていましたし、大根も一本300円ほどで店頭に並んでいました。

まるで高級野菜の価格です。それを見て、ため息をついたものです。随分と長い期間、

白菜が高騰していましたので、ずっとキャベツで代替していました。キャベツもとても

鍋になじんで美味しく、材料に困りはしなかったのですが、やはり白菜には白菜の旨み

があるので、今は喜んで買っています。

 

以前から不思議に思っていたのですが、コメの価格は行政の介入によって調整されるの

に、何故野菜の価格は乱高下するのかと。逆に言えば、何故コメだけが守られているの

かと。野菜は気象条件によって価格が大きく揺れるのは理解できます。少ししか収穫

出来なければ高くなり、大量に収穫すれば安くなる。それに前述のように、消費者の

購買傾向も影響します。となると、誤解を怖れずに言えば、これも一種のギャンブル

といえなくもない。要は、需要と供給のバランスによる商売の成否、ということでしょ

う。どの商売にも通じる鉄則です。でも野菜はその鉄則からはずしてほしい。なぜなら

野菜は、日常に欠かせないからです。肉は牛肉、豚肉、鶏肉から選べます。魚も色々な

種類から好みと予算で選べますが、大根の代わりはないのです。白菜しかり、キャベツ

しかり、ジャガイモしかりです。是非、野菜にもコメのように価格安定の調整力を付加

してほしい。行政が価格保証をすればいいのです。日常に無くては困る野菜たちが、安

定した価格で店頭に並ぶ日が待ち遠しいものです。

 

23年12月2日  間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

 

 

 

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