食文化の豆知識 55 [食環境の現状 34]
本来、食生活はあくまで本人の嗜好次第でいいのだと思います「野菜を食べましょう。
肉より魚の方が体にいい成分を含んでいるので、なるべく青背魚を食べましょう」よく
耳にします。もっともな提案で、私も野菜はたっぷりと取るように心がけていますが、
余り取りすぎると、それでお腹が一杯になり、栄養が偏ってしまうことになります。
知人のお父上は、肉大好き派で、魚は殆ど食べられなかったとか。お元気に過ごされ、
87才で永眠されました。男性としては長寿です。私の父は毎日、魚を食べていました。
もともと痩身体躯で小食だったので、消化の良い魚を好んだのでしょう。69才でこの
世を去りました。70才を超えられなかった。勿論、人の寿命は様々な要素が絡みあっ
った結果であって、原因を一つに絞ることは出来ません。持って生まれた頑強さの有無
や、精神面の影響も大きいでしょう。要は、「正しい食生活」などはない。楽しく美味し
く適量をいただくのが、ベストであるということです。
魚を良く食べている日本人の寿命が長いのは確かで、日本食が先進諸国から注目を浴び
ています。残念ながら発展途上国は、食を選ぶ環境ではありません。食生活云々、の前
に、日々の水や食の確保がまずは先決です。皆、一様に痩せている。で、欧米諸国に行
くと、圧倒的な肥満に出会います。尋常な太り方ではない。まさに飽食が及ぼした結果
でしょう。その意味では、食生活は生きていく上で、重要な要素ですが、“適量”と“生
の素材”を摂取することさえ習慣付ければ、基本的には何を食べても大丈夫なのです。
健康はついてきます。異常に太ることも痩せることもない。ここで言う“生の素材”と
は、生で食べる、といことではなく、素材そのものを調理したものを食べる、というこ
とです。加工品はほんの少し、食卓の彩りを添えるくらいにしましょう。
脂の取りすぎが動脈硬化を招くと言われています。もっとも危険なのは油で揚げて時間
が経った食品や、一度使ったあとに漉した油で、調理した料理です。また加工品に含ま
れる動物性油脂は、人によっては結構、体にこたえます。でも素材としての肉を適量
食べるのには、問題はありません。焼き肉の美味しさは、人を元気にさせます。ビーフ
ステーキの旨さは思うだけで生つばが出てきます。体に良いものだけに執心すれば、心
が萎えていきます。もっと自由に、でも悪辣食品には気を付けて、食生活を楽しみたい
ものです。
平成22年2月7日 P&Cネットワーク 間島万梨子 食生活アドバイザー