関係者の背任横領が問われている事件です。同協会は1975年に前理事長らによって発足し初回
は全国でたった700人程度の受検者であったといいます。それが今では年間280万人もの人が
受検する超人気検定にまで成長しました。1992年に公益法人となったことも、人気に火を付けた
ものと思われます。ここに至る道のりは並大抵のものではなかったでしょう。我が国には様々な
協会がありますが、ここまで成長するには、漢字ブームの後押しがあったとしても、身を粉にして
協会の発展に心血を注いだ人の努力が実を結んだことは確かです。
でも予想もしなかった巨額の利益を前にして、初心は葬り去られ私物化の一途をたどることに
なります。公益法人が税制でも優遇されているのは、利益がでれば社会のために役立てるという
役目を担っているからです。自分で好きなように億単位のお金を使いたかったのなら、一個人会社
のままでいればよかったのです。公益法人というお墨付きをもらいながら、好き勝手に私物化する
ことは、許されません。
ただ、この漢検は良くできた検定だと思います。ごまかしがない。漢字能力を試すだけのもの
だからです。ビジネス上の有利性を保証しているわけでもないようです。個々人の漢字好きが
後押ししたのです。メデイアもさかんにもてはやしました。
一方、巷間には、○○検定があふれています。もともと検定なるものは自由に創り上げることが
出来るのです。一会社が協会と名乗ることも出来ます。色々な知識の習得にチャレンジしたい
人達向けに、まさに検定のオンパレード時代になってきました。それはそれで結構なことだと
思います。人間生涯勉強。どんな検定でも、相応の勉強は必要です。頭の体操にもなります。
自分の仕事に関連したものなら、チャレンジしたいと思うのは当然かもしれません。
しかし、数ある検定の中には、うさんくさいものもあります。資格ビジネスと呼ば
れる類です。
検定に合格すれば、このような仕事に就くことが出来ますよ、という誘い文句。食関連でも、
食への関心増大という時流に乗って、色々な検定が出てきました。ただ、国の認める資格では
ない限り、あくまで個人的知識の習得の範囲であるべきで、多くはその範囲内で受検者を
つのっていますが、中には首をかしげるような検定も存在します。その見分け方は?
「検定に合格すれば、こんな仕事が出来ます」は、疑ってかかった方が良さそうです。また、
法外な費用を請求するところも要注意。講義さえ受ければ資格進呈というのも講義料がとても
高い場合があります。要は、検定はあくまで自分の生活知識向上のため、もしくは自分の仕事に
プラスアルファになると判断してチャレンジするものだと思います。
平成21年5月15日 P&Cネットワーク 間島万梨子 食生活アドバイザー