昨年は食に関する様々な事件が絶え間なく発生し、その殆どは偽装に関連する内容のもの
でした。輸入品を国産と偽り、汚染米を普通米と偽り、賞味期限を偽り、まさに“偽”のオンパレード。
これだけ偽装が後を絶たない遠因のひとつには、食材がいとも簡単に偽装できる特性を備えている
ことも考えられます。輸入品も国産も、見かけは同じ様相を呈しているからです。産地にしても見た
限りでは、見分けがつきません。賞味期限も、腐乱しているわけではない限り、口にしても判断が
つきません。そこを狙ったいやしい手口は、厳しく弾劾されるべきでしょう。
国産と偽れば儲け幅が大きくなる。人気の産地ものと偽れば良く売れる。ブランドものと偽れば
高く売れる。どの偽装も目的は有利に売りたいがため。だから消費者も国産やブランドにあまり
こだわらずにいましょう、なんて提言も出てくる始末です。これを本末転倒の論理というのです。
消費者は自分の好みで、または予算で、色々な物品を購入するのが当然です。中には、安いから
輸入食材で充分、という人もいるでしょうし、産地にはこだわらないわ、という人もいて当たり前
なのです。
筆者はバッグをはじめとする服飾品のブランドものには、全くといって興味がありません。
重量と色と形が自分のニーズにあえば、あとは値段次第です。ブランドは選別の対象にはなりま
せん。使い勝手が一番だと思うからです。でも、ブランドものを購入する人を決して非難などでき
ません。その人は、そのブランドにニーズを見いだしているからです。だから日本では、偽物を売れ
ば厳しく検挙されます。ブランドはブランドたるべく努力をして地位を保全しているのであって、
簡単にブランドに乗っかった偽物を作ってあぶく銭を稼いでもらっては困るわけです。
食材にしても同様です。国産や地場ものを購入する人は、農薬の適性使用や作り手の顔が見え
やすいことを原因としてあげるでしょう。フードマイレージに関心のある人もいるかもしれません。
産地にこだわる人は、その産地ならではの価値を認めているのです。ブランドにしてもしかり。
だから多少高くても購入する。それらに価値を認めない人、また予算上やむを得ない人は、
こだわりなく購入する。それでいいのです
。食品添加物に対するこだわりは、もっと多くの人に持って
もらいたいと思いますが、産地やブランド、国産の是非等は、ひとえに購入者の好みで選ばれ
てしかるべきです。だからこそ、偽装は重い罪であり、裏切りでもあるのです。商品・食材は、
自ら努力して付加価値をつけて売れるように努力するのが、市場の論理です。ただ売れるものに
乗っかって差益をだまし取ろうという輩は、市場から撤退していただくしかありません。
平成21年1月12日 P&Cネットワーク 間島万梨子 食生活アドバイザー