食文化の豆知識201 食文化の現状180(非常時の備えと覚悟)
大災害が起こるたびに、非常用持ち出し品の必要性が注目されます。今回の石川県大震災でも、各避難所を経験した人たちが、用意しておけばよかったものをSNSなどで公表しています。やはり実際に経験してみると、想像を超えた現実が明らかになるのでしょう。大変な状態から発せられた情報なので、貴重なご意見として受け止めさせていただきたいものです。災害はいつどこで起こっても不思議ではなく、日ごろからの用意がその後の生活状況を左右します。わかってはいるんだけれど、緊張感を持続するのは簡単ではありません。
量販店に行けば「非常用持ち出し品セット」なるものが販売されており、それはそれで便利だとは思いますが、各自、各家庭で必要なものは異なるものです。実際に自分たちには何が必要かを分析して、非常時用品を用意するのが大切です。それには、想像力が欠かせません。避難時の状況のイマジネーションは、高度な思考が必要です。あれもこれもとなると、すぐに持ちきれないほどの量になり、取捨選択するのも大変な作業です。となると最も効率が良いのは、個人が用意するべきもの、行政が用意しておくべきものと緊急物質の調達ルート及び調達先、これらはあらかじめ国策として整理しておくべきだと思います。これほどに地震が多い国なのです。避難所の指定と最低ラインの備蓄物だけ、というのはあまりにお粗末でしょう。
国情の異なる他国を安易に参考にはできませんが、スイスでは国民が常時備えておくべきものを、事細かく国が指示しています。もっともそれらは災害時用ではなく、侵略されることを想定しての準備ではありますが、国・国民もろとも有事における覚悟は、日本も見習うべき強さがあります。災害時に際して、少なくとも1週間程度、自活できるための国民が用意すべき必要品目・そして行政が準備しておくべきものの、整理が望まれます。
食生活アドバイザー 間島万梨子