食文化の豆知識」カテゴリーアーカイブ

P&Cネットワークの間島万梨子がお届けする、食文化や食の安全をめぐる連載レポート。
旬の話題を含めて、食の大切さを綴ってまいります。

食文化の豆知識211 食文化の現状190(年の終わりに )

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食文化の豆知識211 食文化の現状190(年の終わりに)

今年も残すところ、10日余りとなりました。食に関しての今年のキーワードは、やはり物価高騰でしょうか。寒さ本番になっても、冬野菜の高騰が止まりません。夏の異常気象での不作がまだ影響しているのでしょうか。簡単に言えば、供給力が重要に追いついていないがゆえの価格高騰なのでしょうが、JA直営の大型店舗には、たっぷりの量の白菜や大根が並んでいるものの、価格は相変わらず昨年の2倍近くです。?がつきますが、ま、いいでしょう。それが正当な価格であれば定着するでしょうし、便乗価格的要素が強いのであれば、いずれ、買われることなく朽ちていくでしょう。売れぬまま痛んだレタスが並んでいる売り場を見ると、とても残念な気になります。勿論生産者も利益を上げなければなりません。解決策はやはり、ちまちまとした作付面積農業から、大型ファームへの転換でしょう。また技術力によるビルイン型農業の拡大も望まれます。企業も合併によるスケールメリットによって、生き残りをはかる時代です。車などは、政府の助力無しで、独自に生き残りをかけた合併戦術を取っています。

とはいっても、来年も日本のみならず、世界各地で「異常気象」が発生しかねません。地球温暖化を解決すれば異常気象が無くなるわけでもない。念仏のように、地球温暖化を唱えても、何も解決しません。新しく防災庁ができるようですが、災害を防ぐことは不可能ですので、災害が起こった時のスム-ズな対応が期待できる?とりあえず、避難所の質的上昇を目指すそうです。なにをいまさら感もありますが、まずは期待したいと思います。善は急げ。災害は待ってはくれません。

                 食生活アドバイザー   間島万梨子 

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食文化の豆知識210 食文化の現状189( いつもの健康アドバイス )

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食文化の豆知識210 食文化の現状189(いつもの健康アドバイス) 

最近、一部健康雑誌と化した週刊誌には、相変わらず健全な食生活の勧め、とやらの記事が途切れることなく、掲載されています。特に力を入れているのが、抗年令、つまり高齢になっても元気ではつらつとした生活を送るための食生活がテーマで、ほぼ毎週といっていいほどに組み込まれています。若者向けの理想的な食生活は?などという記事は見かけません。そうでしょう。若者は食生活の影響を受けることはまだまだ少ない。肥満の問題はありますが、健康面ではどんなに偏った食事内容でも、かなり持ちこたえる体力を持っているからです。一方、高齢者は食事内容の差で、生活レベルが大きく異なってしまうようなのです。なので掲載する価値があるのでしょう。

内容はと言えば、ほぼ同じ内容です。上質のたんぱく質を摂取すること。豆などの植物性だけではなく、豚肉や魚などの動物性たんぱく質が筋肉や体力保持のためには、必要不可欠であること。同時に野菜と果物をたっぷりととること。はい、書いてあることはほぼ毎回、どの雑誌もほぼ同じことの羅列です。読み飽きたといいたいところですが、健康保持を目的としたアドバイス記事なのでねつ造?や悪意はないものと、素直に参考にさせていただいています。でも今後は、内容に関して一歩踏み込んでほしいと思います。それは?具体的な料理名と調理方法それに原価計算と摂取エネルギーの解読、といったことです。ただ当たり障りのない、だれもが反論できないような健康論ではなく、実施するための具体的方策の明示があってこそ、その記事は値打ちがあるというものです。いやいや日ごろから、いい加減な内容でやってますから、などの言い訳は通じません。お金を取っているのですから。

 物価上昇下にあって、特に食材の高騰は目に余るものがあります。なので“○○円で作れる栄養たっぷりの料理50種”などの掲載があれば、とてもうれしい。でもそれは料理専門雑誌の役割でしょうか?ま、中途半端な内容が週刊誌の役割で、それはそれでいいのかしれませんが。 

                 食生活アドバイザー   間島万梨子 

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食文化の豆知識209 食文化の現状188(親しみやすい節句)

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食文化の豆知識209 食文化の現状188(親しみやすい節句) 

4か月もの間、君臨してきた蒸し暑さが、さわやかな空気に主役の座を譲り、ようやく季節が移り始めました。秋の到来です。日本には季節ごとに節句があり、昔から親しまれてきました。1月7日の人日の節句・3月3日の上巳の節句(ひな祭り)・5月5日の端午の節句(こどもの日)・7月7日の七夕・そして9月9日の重陽の節句(菊の節句)が5大節句で、家族の健康や成長を願って、その時々の旬の食材を食べるお祝いの日です。 

今でも、1月がお正月、3月がひな祭り、そして5月は子供の日として、生活に深くかかわっています。七夕まつりも学校や各地域で笹に願い事を書いた短冊を飾り付ける習慣が根付いており、全国で華やかな七夕祭りも催されています。それらに比べ、重陽の節句は、少し地味というか、お月見的な祝いにとってかわられているようで、家族や友人たちと祝う、という習慣としては浸透していないように思われます。全国で、菊の展覧会などは催されていますが、秋のお祭りとなると、ハロウィンに主役の座を奪われているようで残念です。

ハロウインは、ご存知のように、古くはケルトの伝統がルーツで、アメリカに移民として渡ったアイルランド人によって定着した儀式です。10月31日の夜には妖精や死霊が現世界に迷い込むと信じられ、同時に親戚や友人などの霊も家に帰るとされ、火を燃やしたりご馳走を楽しむ日でもあります。なんだか、日本のお盆のようですね。大きな違いは、ハロウィンでは悪い死霊から守るために自らお化けなどの怖い仮装をする、というところで、それが、今のお祭り騒ぎにつながっているのです。本来は霊を慰めて静かにお迎えするしきたりなのが、仮装がメインになってしまったようです。ま、これもバレンタインデイのように、いずれは下火になっていくでしょう。またまた商売のタネとして、企業から新しいものが出てくる可能性はありますが。 

その点でいくと、日本で古来から伝わる5節句は、地味ながら消えることはありません。むしろ営々と継がれていくべきものです。企業側もそれをうまく商売に生かして、若い人を盛り上げる仕掛けを考えればよいのに、とも思いますが,果たして魅力ある策が出てくるでしょうか。 

                 食生活アドバイザー   間島万梨子 

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食文化の豆知識208 食文化の現状187(実りの秋はいつ)

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食文化の豆知識208 食文化の現状187(実りの秋はいつ?) 

こう暑い日が続くと、買い物に行くのも億劫になりますが、かといって籠城?するわけにもいかず、なるだけささっと買い物を済ませる日々ですが、スーパーに行っても、ちっとも胸が躍りません。どの野菜・果物も総じて値あがりしているうえに、実りの秋をちっとも感じられないからです。ぶどう?相変わらず高値推移ですし、梨も驚く価格。みかんは見るだけ。唯一、リンゴの新種が出始めました!涼しい地ではもう秋の品種が収穫され始めているのかと、うれしくなりました。早速ゲット。甘みも十分です。お値段も手ごろ。うれしい限りです。晴れの日が続くと農作物に影響があるのではと心配していましたが、ほっとする気分です。今は品不足のお米も、新米が順調に収穫されそうで、まずは一安心といったところでしょうか。 

それにしても、何故こんなに野菜・果物が高いのでしょうか。これだけは外国のマルシェがウラヤマシイ。ヨーロッパでも、勿論アジアでもこんもりと盛られた野菜や果物が、大きさは均一ではないけれど、重さ単位で潤沢に売られている。観光で訪問した日本人が、トマトひとつを取って、「これください」と言ったら、店の人からの「あげるから持っていきな」という感じのジェスチャーが。現地ではひとつを買う客なんていないのでしょう。余程貧乏に思われたのかもしれません。ま、日本は丁寧というか、みみっちいというか、値段が高いというか、それらすべてが合わさって、家計を苦しめています。零細農家が多いので、安い価格では立ち行かないのかもしれません。やはり、農業の大規模化は必至です。となるとすぐに零細農家を見捨てるのか、の非難の声が出そうですが、一体、いつになったら、儲かる農業へ、効率の良い規模の確保ができるのでしょう。気温が落ち着いて、実りの秋が豊富に出回り始めるのを期待しています。 

  1.   食生活アドバイザー   間島万梨子 
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食文化の豆知識207 食文化の現状186(お腹には気を付けて)

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食文化の豆知識207 食文化の現状186(お腹には気を付けて) 

記憶する限りにおいて、もっとも暑い夏です。連日36度。昨日は39度!でした。ピークでしょうか。ピークであってほしいです。この夏は近所から子供の声も聞かれません。外で遊ぶと危険ですものね。くわばらくわばら。体力を保ってこの時期を乗り切りたいものです。 

やはりこう暑いと、冷たいものに手が出ます。昼食は冷麺や冷やしそうめんが美味しい。デザートにアイスが欲しくなります。でも、おなかの冷えにはご注意。いくら温度が高くても冷たいものの食べすぎ・飲みすぎは要注意です。それと食中毒にも気を付けねば、と、なかなか大変な時期です。これが真冬なら着こんで暖かくして鍋を囲むと、汗ばむほどにぽかぽかになって、幸せ度がアップするのですが。夏はそうもいきません。食中毒も怖い。食中毒は年間を通じて発生しますが、やはり暑い季節に多発します。

 食中毒を予防するには、当たり前のことが大切です。菌をつけない。菌を増やさない。菌をやつける。この3原則が昔から不変です。菌をつけない、は衛生管理。菌を増やさない、はすぐに食べる、早く冷蔵庫に入れる。菌をやつける、は十分過熱する、ということでしょうか。熱に強い菌もいるのはやっかいですが、それには増やさないこと、すぐに食べる、ことで防止できます。暑いと動くのも億劫になります。無理をせず健康で、秋を迎えたいものですね。 

             食生活アドバイザー   間島万梨子 

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食文化の豆知識206 食文化の現状185(情報も果物も百花繚乱)

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食文化の豆知識206 食文化の現状185(情報も果物も百花繚乱)

 もうすぐ梅雨明けでしょうか。今年の梅雨が雨量的に激しいのかどうかわかりませんが、やはり各地で大雨被害が発生しているようです。長く降り続く豪雨はまさに恐怖です。治水力を超えて土地を緩ませ、土砂災害を引き起こす。やはり地形的にみて、勾配の大きい地所は平地と比べて危険度が増します。何十年も無事にすごしてきたのに、突如土砂崩れに遭ってしまうのが、恐ろしいところです。毎年のように災害が起こっているようなところに、人は住みません。呆然として立ち尽くす人が口を揃えて言われるのが“長いこと住んでいて、こんなことは初めてだ“という驚きの言葉です。やはり大雨が続いているときには、いち早く避難するほかはないのでしょう。言うは易しですが・・。 

SNSなどで、世界の災害画面が出ています。日本のレベルをはるかに超えた大災害に愕然としますが、日本のテレビでは流れない。フェイクなのでしょうか。特に中国などの災害はテレビで報道しません。何故SNSで流されるのでしょう?このシステムというか情報のキャッチ方法、情報元の成否など、わからないことばかりです。多分、日本の情報も、世界では正確に流れることは少ない?のかもしれません。それほど、フェイクや創作画面が多く、その真贋を見極めることは至難の技です。ここは落ち着いて見極めることが望まれます。ただ、ひとつの映像として眺めるだけなら、それなりの存在価値はあるのかもしれませんが。 

さて、いよいよ夏の味覚の登場です。季節早取りが多くなったとはいえ、やはり旬を迎えると価格も求めやすくなります。枝豆も随分と美味しくなりました。おナスやきゅうりも最盛期を迎えています。どちらも辛子漬けにしていただいています。とっても簡単。小口切りにして、醤油、辛子、みりんで混ぜ込むだけ。刺激的な風味が欲しい時は辛子の量を増やせばOK。夏の風物詩です。果物も、にぎやかになりましたが、高い。それだけ手がかかるということなのでしょう。何も高級品だけでなく、求めやすい果物、昔の素朴な果物も作れば需要はあるでしょうに。果物は特に贅沢品になってしまったような気がします。早く,柿さん、出てきてください。

食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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食文化の豆知識205 食文化の現状184(自給は楽しい)

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食文化の豆知識205 食文化の現状184(自給は楽しい) 

近畿東海も梅雨入りです。毎年のことながら、天気予報とにらめっこ状態が続きます。恵みの雨となってほしいですが、災害級の豪雨に襲われるのも覚悟しなければならないようで、気象庁のみならず、この時期、総国民?一喜一憂状態です。梅雨が無い北海道がウラヤマシイですが、大好きな北海道とて、晴天が続くわけでもなく、5月に訪れたときには荒れ模様で、一部観光が中止になったり、9月の訪問時にも雨天が続き、肝心の高原散歩もできず、がっかりしたことを思いだしました。北海道は余りある魅力を備えていますが、本当に、天候は思い通りにはなりません。

 庭の梅の木に、今年は多くの実がなりました。まさに梅の雨。梅ジャム作りを思い立ちました。ネットで作り方をご教授いただき、酸っぱさもほどほどの、我ながら上出来の梅ジャムが完成しました。しばらくはヨーグルトの友として喜んでいただきます。梅の実からは、かつて二度ほど梅酒を作りましたが、梅ジャムははじめてです。食料自給率には何の貢献もできませんが、やはり自分で作った、完全無添加ジャムはうれしい。 

日本の食料自給率は先進国の中でも際立って低く、何か有事があればどうなるのだろう、という危惧は常にありますが、ある本で、その時には日本全国のゴルフ場をイモ畑にする、という記事を読んで、笑ってしまいました。なるほどなるほど。すぐにそんなことが可能かどうかわかりませんが、発想としては悪くない。米は水田がなければ簡単に作れないけれど、じゃがいもは土に植え付けをして、100日後に収穫できるとか。有事の際には、寿司やおにぎりは我慢して、ポテトフライとじゃがバタ、ポテトサラダをいただければ、国民は飢えずに済む?じゃがいもは大好きですが、そんな日の来ないことを祈ります。 

食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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食文化の豆知識204 食文化の現状183(四季の恵み)

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  食文化の豆知識204 食文化の現状183(四季の恵み) 

「日本には四季がある。だから自然の移ろいに敏感になり、感性も磨かれる」と、よく言われますが、世界の南国と極寒の地以外では、どの国でも四季はあります。英語でも、明確に春夏秋冬を表す単語があるわけですから、当然に季節の移ろいがあり、人々は季節ごとの楽しみや味覚を楽しんでいるはずです。ただ、日本ほど、やたらに暑くそして寒い、国は、そうは多くないように思います。季節に特徴のある北海道や沖縄は例外としても、ほとんどのエリアは、夏の暑さは堪えがたく、冬の寒さも厳しい。日本以上に冷暖房エアコンが売れる国もないのでは?と思います。特に昨今は、春と秋が短く、夏と冬が長いように感じることが多くなりました。電気代が安い時期が少なくなったのが、その証拠?お金のかかる国です。 

でもやはり、自然の恵みは、四季を感じさせてくれます。目を楽しませる花々はそのトップスターでしょうか。アジアの南国や常夏の国などでは1年中、同じ花が咲いているところも多くあります。それはそれの美しさはありますが、四季折々の花が咲きそろう日本の華やかさは、外国人観光客にとっても大きな魅力のようです。また、食の世界での季節感も大きな魅力です。冬みかんから、清見や不知火に移り、そして甘夏の登場!スイカも出てきました。高くて手が出ませんが、お久しぶり!と声をかけたくなりました。そのうちブドウも直に顔を出すでしょう。野菜も季節を感じさせてくれます。温室栽培が盛んになったといっても、思い切り枝豆を食べられるのは、もう少し先のようですし、冬野菜の白菜が高級野菜になってしまいました。でも大丈夫、その時期時期に実る野菜をいただけばいいのです。本当に日本の野菜は美味しいと思います。 

食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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食文化の豆知識203 食文化の現状182(あふれる情報の取捨選択)

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食文化の豆知識203 食文化の現状182(あふれる情報の取捨選択) 

料理に関する情報を欲しい時に、専門料理本を見ることより、ネットからの入手の方が多くなりました。そもそも、立派な料理本を持っていないので当然ですが、それでも何冊かは手元にあります。すべて頂き物で、中には有名ホテルシェフによる家庭料理本や中華料理本などもあって、目の保養になる料理が歴然と並んでいます。ただ総じて立派すぎて、重く大きい。料理をしながらちらちらと見て、参考にできるものではありません。で、もっぱら、iPadなどで簡単にアクセスできる料理サイトを参考にさせていただいています。なにより手軽で軽く、片手間に見ることができるし、欲しい情報も簡単に見つかります。ただ、料理サイトは数が多く、選択に苦労するという、贅沢な悩みに突き当ります。一度見て、使いやすいサイトはアプリを残しておけば良いのでしょうが、ちょっと情報が欲しい時だけの利用なので、その都度、異なったサイトを検索するという、勝手気ままな使い方をさせていただいています。便利といえば便利ですが、専門本が売れなくなるわけだ、と時代の流れにしんみりとしてしまいます。それでも人気のある料理研究家の方たちは、独自のサイトをお持ちでしっかりと発信しておられるようです。

 ただ料理サイトが多すぎるのに加え、情報が異なることが結構多い。例えばある素材を使った料理を検索したとき、調理時間や方法にかなりの差異があり、どちらを採用したら良いのか、迷う場合があります。つまり情報数が多すぎて取捨選択の要をどこに置くか、という一種、贅沢な悩みに突き当たるのです。たかが料理情報?どれかを採用すればいいだけのことなのかもしれませんが、この取捨選択、こそが、ネット情報利用の肝といえるでしょう。今後、あらゆる分野で、益々増えるであろうネット情報。当然に利用価値の無いものも増えていくわけで、自然淘汰を待つまでに、利用者の目にも真贋を見極める力が求められそうです。

 

食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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食文化の豆知識202 食文化の現状181(果物適正量摂取は難しい)

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食文化の豆知識202 食文化の現状181(果物適正量摂取は難しい)

 一部、健康雑誌と化した週刊誌に、果物摂取を勧める内容の記事がありました。要は「果物を食べると太るとか、糖分過多になるとかで、敬遠している方がいるようだが、まだまだ日本人は果物摂取量が少ない」というものです。昨年、厚生労働省による「健康日本21」が10年ぶりに改訂され、1日に摂取すべき果物の量が200gとなりましたが、日本人の現実の果物平均摂取量が96、4gに過ぎない状況を受けての内容で、果物の健康増進効果などを、わかりやすく説明していました。果物好きの身として、より詳細に知りたくなりました。 

まず200gというのは勿論、可食部量を指し、みかんなら2個、りんごなら1個、柿、梨、八朔も1個、ブドウなら1房、バナナは2本といった数値です。今は多種多様なみかんが出回り、自分も軽く200gはクリアしていますので、現在のところは余裕の数値ですが、日本人の40%が1日で全く果物を食べていないとか。加えて、20歳代は46、98g、30歳代は43、98g(令和元年データ)と、50gにも満たないというのが現実です。もっとも果物を食べていたと思われるのが1975年の193、5gで、今はそれから半減したということです。 

日本の果物の美味しさは折り紙付きだと思います。外国に行けば、一部南国の果物を除いて、美味しいと思ったことはありません。ほとんどが加工用に栽培されており、日本のようにフレッシュさを味わうに適さない。まして、シャインマスカットにいたれば、りんごのふじ以来の日本が生みだした100年に一度の秀逸品種だそうです。1房1000円以上はします。なぜ、果物を食べないのかの答えの大部分は、価格が高い、日持ちしない、皮をむくのが面倒、が占めますが、本音は、価格が高い、に尽きるでしょう。日本の果物生産は手がかかり、加えて小規模の家族経営が大半です。となるとどうしても、利益が高く単価の高い高級品生産が軸となってしまう。生産者からすれば当然のことでしょうが、結果として手が出にくい商品となった、というのが現状です。さてはて、厚生労働省が薦める1日果物200g摂取は、いつ実現するでしょうか。 

食生活アドバイザー 間島万梨子

 

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