顧客満足の複雑さ185「遊興街かビジネス街か」
この半年間で訪問した大阪市内の飲食店は、例外なく満席に近い盛況ぶりだった。大体が金曜日利用という条件下の影響もあるだろうが、やはりコロナ禍から解放されたにぎわい感が間違いなく街に戻っているし、インバウンドの急増加が輪をかけて需要を押し上げていると思われる。もっとも、遊興街地区ではない、いわゆるビジネス街にある店を主に選んでいるので外国人観光客は少なく、男女・年齢を問わず勤め人が主流だ。なぜビジネス街を中心に選ぶのかは、私心ながら質の高い店が多いと思うからだが、予算や料理内容等をあらかじめ吟味して訪問した店は、ほとんどは期待を裏切らない。あたりはずれの差が少ないのだ。ビジネス街の顧客は、主に若者や遊興客が集まるエリアと比べ、、比較的年令幅が厚い。だから、というわけでもないだろうが、価格的には高めでも、比例して満足度も高い。
さて、ならば満足度はいかなる状態を指すのか、といえば勿論、満足した、ということだが、その肝は、第一にコストパフォーマンスの高さだろうか。ビジネス街にはとんでもなく値が張る店も混在しているので、会計時に目玉が飛び出ることになる。そんな修羅場をさけるため、あらかじめ予算はしっかりと把握しての訪問となるが、それでもなかなか予定どおりにはいかないものだ。なので、予想をやや下回る支払い結果と良質の料理が合体すれば、満足の極みとなるのだ。その結果が店としてのリピート客確保に結びつく。特にビジネス街の店は、後になじみ客となるリピートなくしては成り立たない。そこのところをよくわきまえているので、結果として競争力のある良質の店が多いように思う。反面、遊興街には観光目的化した客が国内外問わず多いゆえに、店ごとに質的に大きなばらつきがある。これは経験してみないとわからない。勿論、上質の店も多いのだが、とんでもない店も混在している。やがてそんな店は撤退して、すぐに新しい店が登場するという構図だ。遊興地区には、底力のある素晴らしい店があるのも事実なので、これは選択の自由ということになるのだろう。
コストパフォーマンス力は、単に予想よりもリーズナブル価格だった、にとどまらない魅力が加味されている。第一は料理の質だが、美味しい、の要素のみではなく、見た目の美しさ、適度なボリューム、それに接客の愉快さ、丁寧さと、居心地感の良さが加わって、コストパフォーマンス力となる。一見客が比較的多い遊興地区をあえて避けて、ビジネス街の店を主として訪問する所以は、満足度の高い店が多かったという経験上の記憶に基づく。利用者はこれからも遊興地区とビジネス街とうまくすみわけをしてほしい。ビジネス街の飲食店に観光客があふれだしても困るので、礼賛はこのくらいにしておく。
2024年 5月1日 間島