連休明けの新型コロナウイルス感染者数動向が、日本の未来を決めそうな気配になってきた。まさに正念場といえる。日本全体で二ケタ台前半までに収まっていれば、ひとまずは緊急事態宣言は中止されるだろうし、三ケタを超える状態が続いているとなると、緊急事態を解くことは到底かなわない。その間の微妙な数の場合は、政府としては決断に悩むことだろう。宣言を伸ばし続けることによる、就労者と企業の疲弊、困窮に配慮しなければならない。ともあれ、結果を左右するのは、国民一人一人の行動にかかっていることに異論はない。
現在も、無残な数字が日々報告されている。デパートの3月の売り上げ33%ダウンをはじめ、タクシー業界が65%ダウン。中国人向け宿泊施設は売上ゼロに近い。飲食業界もかつてない苦境に立たされている。その中にあって、スーパーマーットの売り上げは0.8%の微増となったらしい。高級品を扱うデパートが打撃を受け、生鮮品を初め日用品を扱うスーパーが好調なのは当然のことだ。有事の際にはとにかく基本的生活保持に必要な分野、例えばインフラ、物流、生鮮日用品、ガソリンなどが安定供給され、病院関連がスムーズに動くことが必至となる。一方、娯楽をつかさどる落語や高級レストラン、スポーツなどは平時にあってこそ活き活きと息づく分野なので、今は大変な状況下にあるだろう。人が動くことで商売が成立するホテル宿泊業界や旅行業界への打撃も想像を超える。著名な祭りも次々と中止が発表された。
そんな中、有名なミシュラン星獲得のレストランオーナーが、この状態が続けばすぐれた食文化が死に絶えると公的な支援を訴えていた。訪問したことは無いが、予約が取りにくいと評判の超高級フレンチレストランだ。来客数ゼロが続いているという。一方、同ランクのある高級レストランでは、2月の時点でいち早くリッチ弁当の宅配を始めた。家庭で高級レストランの味をおせち風弁当で楽しんでください、というわけだ。予想以上の需要があるという。あるタクシー会社は高齢者の買い物代行を急遽始めた。売り上げの一助にはなっているらしい。また、アルコール製造に多くの酒造メーカーが名乗りをあげた。マスクしかりである。とにかく求められるべきはスピード性だ。一日も早い収束が、背後に迫りくる景気低下の幅を和らげる。コロナ禍は実に様々な分野を凌駕している。だからこそ、各企業や店の知恵と、国民一人一人の覚悟が大切になる。収束後の種々の楽しみを頭に浮かべながら、乗り切りたい。
2020年5月1日