顧客満足の複雑さ 106 「野菜摂取量の是非」

顧客満足の複雑さ 106「野菜摂取量の是非」 間島 

昼食は外で取ることが結構多い。大体が麺類中心なので栄養のバランスは余り良いとは言えないが、高い頻度で利用しているチャンポン店では優秀な栄養満点のメニューをいただくことが出来る。麺の上に乗っかっている野菜や豚肉のボリュームは、一日の摂取推奨野菜量350g超大盛りに始まって、やや大盛り、並盛りの3種が用意され、350g盛りのチャンポンは食べ切れないほどだ。よって、やや大盛りが注文時の定番だが、それでも野菜と豚肉で200gほどはあるので、昼食としては十分な野菜摂取量だ。なかなか外食で充分な野菜を取る機会は難しい中で、このチャンポン店の存在は有難い。 

平成28年度の「国民健康・栄養調査」(厚生労働省公表)によると、同年の日本人の一日の平均野菜摂取量が276.5gと前年より17.1g減り、この10年で最低になったという。ちなみに、日本では国が勧める世界基準の一日野菜摂取量350gを今まで一度もクリアしたこともないし、摂取量は米国や中国にはるかに及ばない。理由としては、食べ切れないから、調理に手間がかかるから、値段が高いから、外食が多いからの4つが上位を占めているらしい。それぞれもっともな理由だと感心してしまう。手間がかかるのは、日本の野菜料理は酢の物や煮物、炒め物などと調理方法が多彩だからで、大量に野菜を投入する煮込み料理を主とする国では一気に野菜不足は解消できそうだ。値段が高いから、はその通りで、何故日本では野菜がべらぼうに高いのだろう。きゅうり一本が70円、トマト一個が150円、ほうれん草一束が200円と聞けば、市民が卒倒してしまう他国も多いはずだ。 

そしてまさに、食べ切れない、が推奨野菜摂取量に届かない肝心な理由だと思われる。日本人の一日平均摂取カロリーは2500前後キロカロリーで、米国人の3500超キロカロリーには1000キロカロリーも少ない。つまり分母がこれだけ異なるのに、分子である野菜を同じ量の350g摂取しなさいというのも無理というものだろう。体が違うのだ。日本人の摂取カロリーは先進国群では最低ラインで、開発途上国並みだが、肥満度は低く、世界有数の長寿国だ。自慢していい。そろそろ厚労省も世界基準数値とやらにとらわれず、我が国独自の基準値をどうどうと打ち立てればいい。我が国民は小食につき、推奨野菜摂取量も我が国独自の数値で行きます、と主張してほしい。そうすれば野菜摂取量が目標に届かないと毎年やきもきすることもなくなるだろう。ただ、もう少し野菜の価格が低くなる手立てはないものだろうかと思う。ある特定地域では休耕田を野菜農場に転換して、その収穫野菜を野菜加工企業に売ることで収入を劇的にあげたと聞くが、日本全体で農地の集約化と効率化を図り、野菜価格を下げようとのビジョンはまだ見えてこない。

                         2017年10月1日

カテゴリー: 顧客満足の複雑さ パーマリンク