食文化の豆知識195 食文化の現状174(野菜摂取量推奨?)
2000年度に厚生労働省が推奨した、国民一人当たり野菜摂取量350gはその後、一度もクリアしたことがありません。年度別集計結果に大きな変動は無く、おおよそ70gの不足状態が続いています。良くも悪くも、安定?して不足してます。そして最新版では、野菜摂取量350g推奨に加えて、果物摂取量200gが加えられました。言うのはただ、無理な目標を掲げたものだと感心しきりです。野菜に関しては、20~40才代が男女問わず、最も摂取量が少なく、果物も連動して少ない。60才前後が最も野菜摂取量が多くなっていますが、それでも350gはクリアしていません。野菜摂取量350gは、国が、生活習慣病などを予防して健康な生活を維持するための目標値として提示されたものです。世界ランキングでは、アメリカや中国、スペイン、イタリア、フランス、などに大きく差をつけられています。そもそも、この目標は世界保健機関(WHO)の推奨によるものなのでしょうか。世界ランキングなるものがあるということは、世界基準とみて差し支えなさそうですが。
食事の摂取量の目標を世界基準で決めること自体、無理があるような気もします。なぜなら、体重40キロの人と、80キロの人が同じ量を食べるわけがない。また食べ方も異なります。食事種のバラエティ度も異なります。 大皿1品~2品の煮込み料理が食卓を飾る国では、野菜を大量投入した料理が並びます。体重が80キロ以上の人は、やはり野菜の摂取量も連動して多くなりがちでしょう。そして何より、価格も摂取量を左右する要因です。やはり、日本は野菜価格が高い。そして、日本人には超肥満体は少ない。加えて、数を揃える料理が主流です。なので、いつまでたっても、目標350gをクリアすることは難しいでしょう。それでも日本人は他国と比べれば、総じて身も軽く、不健康なほどに太っている人は少ない。そして最たる長寿国です。厚労省も日本バージョン、日本独自の目標を掲げたほうが良いのでは?などと思ってしまいます。
食生活アドバイザー 間島万梨子