食文化の豆知識191 食文化の現状170(待ち遠しい春の食材)
暦の上ではとっくに立春は過ぎましたが、相変わらずの寒さです。やはり肌で感じる春は、3月のお彼岸を過ぎた頃でしょうか。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものです。本当に昔の人の教えはすごい。ただスーパーには徐々に春の食材が並び始めました。フキ、菜の花、ソラマメ、新玉ねぎ、あたりが出始めました。小さな新ジャガイモもうれしい。甘く煮っ転がしにした新ジャガはまさに春の味わいです。春キャベツも柔らかく、ばりばり生でいただけます。そしてあの食材。まだ姿を見せませんが、タケノコ!。こればかりは人間が早めに育てる、というわけにもいかないようで、出てくれるのを待つばかりです。それも絶妙のタイミングで掘らなくてはならず、やきもきするところでしょう。生で食べられる貴重なタケノコは、簡単には手に入りませんが、アクを抜いて醤油・みりんで薄味に仕上げたタケノコの煮物も実に美味しい。まさに春の味です。今から楽しみなことです。春といえば、魚も楽しみです。新子が出始め、サワラや桜鯛、それに初カツオも店頭に並びます。果物は?やはりイチゴでしょうか。いろいろな柑橘類がそろうのもうれしい。それぞれ味わいが異なるので好みの種類をみつけるのも楽しみです。
こう並べていくと、すべて国産ものです。やはり旬を味わえるのは国産、それも地元産ということでしょうか。歓迎すべきことです。そこで先日利用した美容院のスタッフさんの言葉を思い出しました。“日本って海に囲まれた島国なのに、スーパーに行けば魚の半分以上が輸入物なのは何故でしょうね“まっとうな感想です。その問いに対する的確な返答はなかなかに難しい。私も正しい答えを知っているわけでもありませんが、複合要因がからみあって、今の日本の漁獲高の減少をもたらしているのでしょう。乱獲・漁業関係者の高齢化・養殖事業の停滞・etc。農作物の自給率の低さとあいまって、まさにここ数年は日本の食品自給率アップへ向けての本気度が試されます。他国はすべて自国第一。いざとなればエネルギーも食料もストップする恐れは十分にあるのです。さてはて、大胆な政策が取れるでしょうか。臆病という名のもとの慎重さでは、成果を手にすることはかなわないでしょう。
食生活アドバイザー 間島万梨子