顧客満足の複雑さ152「勝つことの価値」
東京オリンピックが開催された。日々熱戦が繰り広げられ、日本選手の活躍ぶりに目が離せない。主催国の有利さは当然としても、増えていくメダル数は率直に誇らしくもある。無観客開催に関しては否定的な意見の方が多いようだが、苦渋の決断であったのだろう。プロ野球などは観客を入れているではないか、との指摘はあるが、50種類もの競技が日々展開されるオリンピックと同列には扱えない。競技に伴い会場も時間帯も規模も異なるのだ。観客を入れてのコロナ対策にも限界があろう。無観客なら、感染者数の多さに苦しんでいる他国でもどこでも開催できる、というのも暴論だ。開催がどれだけ大変なことか、の想像力に欠けていると言わざるを得ない。大変だからこそ、4年に一回であり、最近では手を上げる候補地が減少しているのだ。名誉ではあるが、負担がとてつもなく大きい。連日の戦いを観るにつれ、現場で競技を支える人達の働きに敬意を表したい。そして何より無事に閉会式を迎えられることを祈るばかりだ。
メダルを勝ち取った選手の喜びは一様に晴れ晴れとしている。一方、期待されながらメダルを逃した選手もいる。勿論花舞台には立てず、メディアも黙殺する。スポーツは強弱を競う勝負なのだと改めて痛感する。技を極めるために、そして頂点に立つためにどれだけ日々の訓練が重ねられたのか、素人には想像もつかない。世の中にはスポーツを得意とする一般人は多い。レベルの高い人も結構いるが、オリンピックでの勝利の果実は、ただそのことだけに、飽きることなく、日々練習を重ねることによってしか得ることが出来ない。そして勝負はほとんどが微差によって決着がつく。特にオリンピックでの勝利は選手にとっては一生の勲章となる。そこが他の大会と大きく異なるところだ。その意味でも、東京オリンピックが開催出来たことは意義があると思う。大会運営に関しての各国の選手や関係者の不満を、ことさらに取り上げて放映するメディアのだれが、力を駆使して戦う選手たちを観る以上の喜びを視聴者に与え得るだろうか。
さて、コロナ感染者数が激増している。この2年、年齢別感染者数を追っているが、ここ数週間は明らかに年代別感染者数に大きな変化が表れている。60才以上の感染者が激減し、7月30日では、大阪でも94%を50代以下が占めた。現役世代であるこの層の感染者数は、緊急事態宣言を再動しても著しい減少は難しいだろう。各国の状況を見ても分かる。とにかく事業所、学校、その他コミュニティごとに、ワクチン集団接種を急ぐしかない。ワクチン接種後の特典付加も一案だ。“不平等だ!”の声をはねのけるパワーが現政権にあるとすればだが。
間島 2021年8月1日