顧客満足の複雑さ149「結局、よく分からない」
レジ袋有料化が発令されて十カ月になるが、その間、確実に家計費は増えた。自前のエコバッグを使用しようが、レジ袋仕様のポリ袋を使おうが、いずれにしても負担は増える。エコバッグは度々、洗濯しないと不潔極まりないし、ポリ袋は別に購入する必要がある。結果として儲かったのはエコバッグを売っている企業と、レジ袋の原価代が不要になった小売り店、そしてポリ袋生産業者だ。今、スーパーのレジ袋仕様のポリ袋の商品棚は種類も増え、価格も上がり、ポリ袋特需現象を生み出している。元々、商品購入時に手渡されていたレジ袋は、殆どがゴミ収集時に二次利用されていた。一体、何のための法律かと問えば、地球環境問題の国民への意識づけ、という美辞麗句が返ってくるのだろう。一種の啓蒙活動か。海洋ゴミにならない条件を満たしたレジ袋は、有料義務化の範疇外となるが、殆どの小売店ではその条件を満たしたレジ袋への転換による無料配布をする気は無い。そして従来型の海洋ゴミ化の恐れのあるポリ袋が、市場で売れに売れている。冗談のような話だ。
地球環境問題と言えば、温室効果ガス上昇を抑える動きも、実際のところよく分からない。自然に発生する大気中の二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスは、太陽からの強烈な熱を封じ込め、地表を温めるのに欠かせない働きをするので、無くては困る。だが大量に発生すると、これら温室効果ガスは地球温暖化の原因になり気象災害をも引き起こすと、悪玉扱いされている。で、先進国各国が、人間が出す温室効果ガスをゼロにすると意気込んでいる。我が国でも、米国が主導した気候変動サミットにおいて、2030年に温室効果ガスを46%削減、2050年を目途にゼロにするという宣言が出された。電気自動車への転換や電気熱源をすべて太陽光発電や風力発電にするということだろうか?それでクリーンな地球に生まれ変わり、めでたしめでたし、ということだろうか?そもそも、地球温暖化そのものの定義が非常にあやふやで、確固たる数値は無い。一時間に50mm以上の雨量を指す、いわゆるゲリラ豪雨の頻度の高さも、地球温暖化の影響と危惧されている。ちなみに、気象庁データによる日本全国での年間発生数をみると1990年に380回、2000年が320回、2010年が265回、2015年260回、2016年330回、2017年320回、2018年350回、2019年380回、そして2020年300回だ。極端に増えているとは思えない。台風の上陸数にしても1990年が6個。2000年が0個。2010年が2個、2015年4個、2016年6個、2017年4個、2018年5個、2019年5個、そして2020年0個。微妙な変異で明白な数値の変化はとらえにくい。気象庁も、地球温暖化が影響しているとの明言は避けている。多分地球温暖化が進んでいるのではないか、というニュアンスだ。統計をみるに、災害の激甚化は起きてはいないのだ。
結局、温室効果ガス削減は、世界規模で巨大なビジネスとなり得るのだろう。先のレジ袋有料化と根っこは同じだ。本質を解明せずに形だけの変革へ向けての、日本の真面目一辺倒な姿勢は、国力を疲弊させ、ひいては富の減少につながるのではと心配になってくる。ちなみに、太陽光発電を電流に変換する際に必須素材のポリシリコンは、中国が世界の50%の生産量を占めている。 2021年5月1日