顧客満足の複雑さ143「出来る限りの支援対策」
コロナ禍で苦戦する宿泊施設及び飲食・小売り店等の支援対策として、7月22日から国が実施しているGo Toキャンペーン事業は、発足当初メディアで必要性の是非やら効果度合いなどを揶揄する皮肉的論調が目立ったが、ここにきて大きくトーンダウンしている。それもそのはず、Go Toトラベルに至っては事業を利用した宿泊者は9月末時点で延べ2518万人に達し、使った割引支援額は1099億円となった。政府は、今後も需要喚起の効果が見込まれるとして、来年1月末までの実施期間をさらに延長する方向で検討しているという。かくいう自分も、墓参りに乗じての一泊旅行にGo Toトラベルを利用させてもらったが、そのお得感に驚いた。同時に発行された地域共通クーポンと合わせると、総額から50%もの値引きで利用できたことになる。宿泊先ホテルは満室状態で、多くの家族連れで賑わっていた。破格の優遇措置は素直に有難いことだと思ったが、少々複雑な思いもあった。対策資金の原資は結局のところ国民の税金だ。周りには、すでに何度もGo Toトラベルを利用して国内旅行を楽しんでいるつわものもいる。観光施設にも非常に役立つ対策であったということか。施設によっては恩恵が少ないといった批判もあるが、平時にあっても施設の集客力は魅力度合いによって差があるのだから、すべてに平等の成果というわけにもいくまい。
さて、各企業の業績悪化状況が毎日のように新聞誌面を埋めている。JAL・ANA等の航空会社は軒並み、過去最悪の赤字となり、JR東海もJR西も9月中間決算で、共に1000億円を遙かに超える赤字を計上した。人が動かない、さらに海外からの人の動きも止まると、これら運輸をつかさどる業態は致命的な打撃を受ける。一方で、業績を上方修正した上場企業は186社にのぼる。主に、巣ごもり消費、リモート関連、コロナ対策に関連する3業種で、代表的なところでは、スーパーマーケット、ホームセンター各社、日用衛生品販売会社、食品会社、ゲーム機器関連会社などだろうか。持ち帰り主体の日本KFCホールディングスも過去最高益を更新した。しかし、下方修正した上場会社は1176社で圧倒的に多い。こうなると防ぐべきは失業者の増加、それに尽きる。失業者を増やさないことが、日本経済にとって第一義だと思う。JALやANAでは人員の他企業への出向に力を入れだした。自社から失業者を出さないための苦肉の策だろう。ここは政府も業種間の就業斡旋を臨時的にでもバックアップし、失業する人を一人でも減らすことに力を入れてほしい。業績の良い会社が、半年~一年間限定で、大きな危機にある会社からの人材を受け入れるのだ。日本には、持ちつ持たれつ、お互いさま、という精神がしっかりとある。コロナ禍で業績を伸ばした企業は、大きな使命を感じてほしい。
GAFAのうち、アップルを除くグーグル、アマゾン、フェイスブックの3社は200年7月~9月の決算で過去最高益を更新したという。さて、どのような具体的支援策で、この3社はコロナ禍にあえぐ世界に貢献するだろうか。