【第47回】 [ 食環境の現状(26) ]

 この6月に、英経済誌エコノミストの調査部門EIUと人道ビジョンが、世界144カ国の政情や治安レベルをランク付けした、「世界平和度指数」2009年版が公表されました。平和度指数は、対外戦・内戦の数やそれによる死者数、国内政情不安やテロ発生可能性、軍人の数、兵器の輸入量、人権状況、犯罪収容者数など、多岐にわたる平和度に関連する要因を数値評価し、重要度も判定してランク付けしたものです。日本は昨年より2ランク下がったものの、堂々の7位に位置しました。アジアでは唯一の10位以内入りです。ちなみに中国は74位、アメリカは83位、ロシアにいたっては136位。そして最下位はイラク、アフガニスタンです。なるほどな、と妙に納得できる結果です。

 

一方、1位はニュージーランド。そして2位から6位までは北欧各国で占められています。このランクは、政治的に安定した面積の小さい国、また米国の軍事力庇護下にある国などは、ランクが上位になりやすい、などといった揶揄はあるものの、この評価を謙虚に受け止めつつ、我が国の平和に感謝の念を持たざるを得ません。何かあれば国民が暴動化したり、内戦が勃発するような国や、後進国に武器弾薬を売りつけ、巨額の利益を手中にして、なおかつ平和国家の仮面を平気でかぶっている国は、そこらじゅうに存在しているのです。

 

この公表は、某新聞にほんの小さく掲載されただけのようでした。自国の悪口は、はばかることなく声高に叫ぶのが大好きな人達にとって、日本が7位にランク付けしたことは都合が悪い結果なのか、といぶかってしまうほどです。勿論、どのような国にも矛盾があり、格差はあります。景気の変動も避けられません。完璧なシステムで動いている国などないでしょう。それらを是正していく努力が絶えず求められるのは,言うまでもありませんが、もう少し、母国に感謝と誇りを持ってもいいのではないでしょうか。日々、いらいらしがちなことが多いにしても、です。

 

食に関しては、こんなに豊富な食材に恵まれている国は多くはないはずですが、自給率の無惨なまでの低さは、早急に具体的戦略をもって回復していく必要はあります。今のところ、食糧は潤沢に国内に出回っています。それも日本が経済大国である限り。農業の再生は国の根幹を支えるものです。また、同等の先進国と比べても、食材の価格が非常に高いのは何故なのか。肉は言うに及ばず、野菜、果物etcの価格はかなり高めです。海外に行けば痛感しきりです。非効率生産と、消費者にわたるまでの経費の高さが理由なのでしょうか。だれかがぼろ儲けしているのでしょうか。生産者の方達が、そんなに儲けているとは思えません。無駄をなくす。税金の無駄をなくすと同様に、あらゆる分野にはびこっている無駄をなくしてこそ、経済大国・平和国家に住んでいる恩恵としての、生活ゆとり感があじわえるというものです。

 

平成21年6月16日 P&Cネットワーク 間島万梨子  食生活アドバイザー 

 

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