顧客満足の複雑さ 203「売り上げは伸ばせる」
度々ではないが、日常使いのランチ以外に、飲食店を訪れる機会はそこそこある。そこでつくづく感じるのは、二度目は無いかな、となる店と、ぜひまた伺いたい、と思う店が、以前と比べ鮮明に分かれることだ。はっきり言えば、ひどい店が増えたということでもある。一応、客単価5000円前後以上をいただく店なら、かつてであれば、かなり厳しい従業員教育を含む、QSC(品質、サービス、清潔さ)を高めることによる顧客満足度向上を目指していたものだ。品質は言うまでもなく、料理や飲み物の美味しさ、食材の質、盛り付けなどが含まれ、サービスは言葉使い、正確なオーダー受け、笑顔などの接客全般を指し、清潔さは、店内の清掃状態やトイレの清潔さ、雰囲気の良さが含まれる。それらを高める努力がリピーターを増やし、売り上げ増加につながっていく。
ただしかし、最初に崩れだしたのはS(サ-ビス)で、人手不足という大義名分?により、QRコードからの注文方法は言うに及ばず、専門家としてまともに客に対峙できるスタッフがいる店を探す方が難しくなった。C(清潔さ)も、定期的な手入れの行き届かない、清潔感の無い店も多く見かける。肝心のQ(品質)にしても、そこにプロの手が加わっているとは到底思えない雑な料理を見かけることも多くなった。すべては「そこまでやっていられません」という、おざなりな経営姿勢が垣間見える。かつて、飲食店の経営金字塔ともいわれたQSC精神は、守る店とそうではない店とではっきりと色分けできるようになったということか。そして、客は見事に店を選別していく。おざなりな経営方針の店には、客数の目減りによる閉店が待っている。
客も店を選別しなくてはならない。店を生かすも殺すも客次第、と思うことがある。QSCがレベル以下の店には、それにふさわしい客がくる、と言ってしまえば、それで終わってしまいそうだが、今からでも遅くはないと思える店もある。アルバイトの接客であっても、心地よい対応は可能だし、ほほえましい感もある。笑顔の効果は永遠で絶大だ。そして何より、従業員は店のメニューをすべて理解していなければならない。店側としては、従業員に店の料理を食べてもらい、覚えてもらうのが一番効果的だ。彼らの評価を謙虚に受け入れることで品質向上が期待できるし、料理への自信を備えたおすすめ行為が売り上げ上昇に必ずつながっていく。
時代は変わっても、飲食店の売り上げ向上の要素は同じなのだ。アルバイトだからといっておざなりな対応が許されるものではないし、原価を抑えに抑えて儲けを出そうとすれば、かならず客離れというしっぺ返しが来る。それはもう見事に間違いがなく。だから、売り上げは伸ばせる。伸ばしたいと思うならば必ず伸ばせる。QSC重視の必要性は古今東西、人と店がある限り不変だと考える。
2025年11月1日 間島