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食文化の豆知識212 食文化の現状191(年のはじめに )

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食文化の豆知識212 食文化の現状191(年のはじめに) 

穏やかな新年でした。昨年が年明け早々、大地震や飛行場での事故で、おとそ気分が吹っ飛んだのとくらべ、カレンダー上、長いお正月休みをゆっくりとされた方も多かったのではないでしょうか。これで、内外共に様々な混乱が収まってくれれば、言うことは無いのですが。 

今年は日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)という大きな国の催しが控えています。ウウライナ紛争などによる世界的な建築費の高騰・石油の高騰・資材の高騰、etcを受け、当初を上回る予算を余儀なくされ、各パビリオンの建築遅延もあり、メデイア各社の罵詈雑言とも受け取られかねない批判にさらされながらも、予定通り今年の4月13日から開催されそうです。これはやはり多くの人の努力のおかげと、率直に感謝したいと思います。実際に足を運べるかどうかはわかりませんが、開催後には様々なメデイアで、こと細かく紹介してくれるでしょう。それがメデイアの仕事です。実際彼らには何の実働もできないのですから、せめて視聴者にわかりやすく伝えていただきたいものです。繰り返しますが、この博覧会は、国の博覧会なのであって、大阪主催ではないのです。大阪・関西万博という略称は、博覧会の歴史上、わかりやすいように開催地エリアを称したものです。勿論、実働部隊は大阪府市ですが。 

さて、そのパンフレットはパソコンから簡単に印刷できます。ただ昨年の秋に作成されたもので、開催までにはより魅力的で詳細がわかるパンフレットが簡単にコンビニなどで手に入るのでは、と期待しています。「いのち」をテーマとした各パビリオンや住友・三菱などの民間パビリオンも見どころ多そうです。海外は予想がつきませんが、各国の文化や技術革新などが披露されるとか。まだ少し先のことですが、開催から半年間、人々に夢と希望を発信できる未来社会を見せてほしいと願っています。 

 食生活アドバイザー   間島万梨子 

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その212某月某日「飲食店も大変」の巻き

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OL N子の勝手リサーチ 212 “飲食店も大変”の巻き

もう1月も中旬、というか、もうすぐ終わりじゃん!まだある?よかった。ま、時間は今年も淡々と過ぎていきますので、ただただ毎日をそれなりに過ごしていくだけでございます。何かあったのって?別に無いけど、こんだけ世界や日本内外でいろんなことがあると、いちいち驚いていては身が持ちません。はい、無反応が身を助けます。ってなわけにもいかないのよね。この前は、スーパーでキャベツ一個が700円してたときには、腰抜かすかと思ったわ。

で、家庭ではキャベツ食べなくても生きていけるけど、飲食店はさぞかし気をもんでいるだろうなと思いますわ。お好み焼きでは、風月がお気に入りで、ちょくちょく利用させてもらってるんだけれど、ここの売りは“キャベツたっぷり“なのよね。それがこんだけ値段があがったら、どうするんじゃろ。先日、お昼に行ったら、量や値段は変わりなかったわ。ちょっと前に、全体的にメニュー価格が値上がりしたばかりなので、そうそう、値上げしてられないものね。私が店の責任者だったら、お腹が痛くなる、眠れない、気がおかしくなる、どうでもよくなる、庭でキャベツ作る、値段を倍にする(これ困る)。ま、そのうち狂乱価格も落ち着くと思うけど(楽観)、ほんと、店の仕入れ担当は大変だね。

だからというわけでも無いけれど、もともと飲食店は野菜メニューを作りたがらないと聞いたわ。やはり価格の変動がお肉などと比べて大きいから、安定した原価を保てないらしい。それらを見越しての値付けがされているのかな。お好み焼きに、引けを取らず、多分困っているのが、とんかつ屋さんかな。大体が千切りキャベツは食べ放題だよね。お客さんの、キャベツお代わり!の声が怖いだろうな。聞こえないふりする?いいえ、ちゃんと持ってきてくれます。あんがと。ガンバってね。そのうち安くなるよ。多分、きっと・・。

・・続く。

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顧客満足の複雑さ193(元には戻れない?ハリウッド)

顧客満足の複雑さ193「元には戻れないハリウッド?」 

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。 

今年も国内外含めて、混乱・騒乱は避けがたいだろうが、そろそろ人類も正気を取り戻してもいいのに、と思う。ならずもの国家は言うに及ばず、国連をはじめとする一応の権威?ある組織さえも、英知と賢明さを保っているとの信頼を置きにくい。そこはやはり、物言う大声の意見が重視されがちだし、また少数派であっても、人権・平等に関する事象であれば、ズカズカと我が物顔で人の庭に入り込んでくる。何を言っても反応しない国・組織に対しては、素直に何も言わないずるさといやらしさがある。そろそろ、経済と安全保障以外の世界組織は、ガラガラポンと解体・再生してほしい。 

さて、お正月といえば、必ず映画館に足を運んでいたのを思い出す。それは中学生から高校生まで続いた。まだ日本映画が若者を惹きつける魅力ある作品を増産できていない時代で、もっぱら観るのはハリウッド映画だった。英仏独伊作品も上質で魅力ある作品が多かったが、スケールと圧倒的な面白さでは、やはりハリウッドがダントツだったように思う。多くの資金を投じての活劇は観るものを飽きさせなかった。西部劇などは幅広い年齢の支持を集めていた。映画の背景をより知りたくて、「西部開拓史」などの本を読み漁った記憶がある。日本での時代劇のようなものだ。が、しかし、日本では時代劇が映画・書籍ともに現代もゆるぎない魅力と支持を保っているのに対し、西部劇はほとんど目にしなくなった。確かにアカデミー賞候補の条件として、出演者に多様性を持たすこと、または制作側のスタッフが多様性に満ちていること、などが規定されているようだが、昔の歴史劇などを完全に否定しているわけでもなさそうだ。それなら何故、西部劇が衰退したのだろう。勧善懲悪のわかりやすい、素直に面白い映画が多かった中で、ネイティブアメリカン、つまりインデアン虐殺の歴史を抜きにして語れない作品が多かったのも事実だ。つまりアメリカ歴史の汚点が西部劇に集約されているのかもしれない。ネイティブ支配のみならず、奴隷制度も消し去ることの出来ない歴史的事実で、それらを背景とせざるを得ない西部劇が、衰退していったのも、アメリカの事実なのだろう。 

時を経ても映像化される忠臣蔵やその他、魅力ある時代歴史劇を次々に楽しめる日本という国に改めて誇りを持ちたい。そこには、今の感覚でしか物事をとらえられない矮小で卑小な規律はない。勿論、変質はしていくだろうが、悠久につむいできた歴史を、現代において振り返ることができる自由を、これからも楽しみとしたい。 

 2025年1月1日 間島

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食文化の豆知識211 食文化の現状190(年の終わりに )

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食文化の豆知識211 食文化の現状190(年の終わりに)

今年も残すところ、10日余りとなりました。食に関しての今年のキーワードは、やはり物価高騰でしょうか。寒さ本番になっても、冬野菜の高騰が止まりません。夏の異常気象での不作がまだ影響しているのでしょうか。簡単に言えば、供給力が重要に追いついていないがゆえの価格高騰なのでしょうが、JA直営の大型店舗には、たっぷりの量の白菜や大根が並んでいるものの、価格は相変わらず昨年の2倍近くです。?がつきますが、ま、いいでしょう。それが正当な価格であれば定着するでしょうし、便乗価格的要素が強いのであれば、いずれ、買われることなく朽ちていくでしょう。売れぬまま痛んだレタスが並んでいる売り場を見ると、とても残念な気になります。勿論生産者も利益を上げなければなりません。解決策はやはり、ちまちまとした作付面積農業から、大型ファームへの転換でしょう。また技術力によるビルイン型農業の拡大も望まれます。企業も合併によるスケールメリットによって、生き残りをはかる時代です。車などは、政府の助力無しで、独自に生き残りをかけた合併戦術を取っています。

とはいっても、来年も日本のみならず、世界各地で「異常気象」が発生しかねません。地球温暖化を解決すれば異常気象が無くなるわけでもない。念仏のように、地球温暖化を唱えても、何も解決しません。新しく防災庁ができるようですが、災害を防ぐことは不可能ですので、災害が起こった時のスム-ズな対応が期待できる?とりあえず、避難所の質的上昇を目指すそうです。なにをいまさら感もありますが、まずは期待したいと思います。善は急げ。災害は待ってはくれません。

                 食生活アドバイザー   間島万梨子 

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その211某月某日「今年もいろいろ」の巻き

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OL N子の勝手リサーチ 211 “今年もいろいろ”の巻き

今年も、結構、いろんな店に行ったけれど、全く記憶に残っていない店と、よおく覚えている店があるのよね。この記憶に残っていない、というのは、単に忘れている、か、特徴がほとんど無い、かのどちらかで、要するに物忘れかな?はい、毎年毎年、覚えることより忘れることが多くなって、そのうち、頭が空っぽになったりして、恐怖だわ。で、姿勢を正して、何が記憶の要なのかを、分析してみましたところ“人”でした。直後は、料理がおもな印象の元になってるけれど、何か月か、そして数か月以上を経ると、その店の記憶は、店の人にたどり着くのですわ。これって、すごいことだよね。その時の応対や表情、交わした会話などが、はっきり頭に残っている。あらま、ワタシ、捜査官になれるかも。料理が美味しくても、リーズナブルでも、店と人の雰囲気が自分に合わなければ、その店の記憶はどんどん薄れていく。

日常的に利用するランチなどは、あらかじめ予算と料理、それに接客もどの程度かわかっているので、別に記憶に頼ることなどないのよね。一方、初めて訪問した店の記憶は、第一に人、そして料理と価格。というのは料理と価格はあらかじめ調べているので、誤差はあまり出ないのに対して、人は、全く予想できないわけ。なので、その印象が深く記憶に残ってしまう。これって、すごいことだと思うわ。そう、結局は”人“でした。接客なんて重視しない、って人もいると思うけれど、少なくとも私の記憶の源泉は、“人”なのよね。別に詳しく覚えているわけでもないのよ。短い時間でのやりとりの中で、どれだけ人間味やユーモアがだせるかどうか、ってことね。これって、アマとプロの違いだと思う。いくら美味しくて評判の店でも、人の記憶を残せない店は、アマチュアです。ここに断言します。来年も面白い店に出会えますように。         ・・続く。

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顧客満足の複雑さ192(旅館経営の厳しさ)

       顧客満足の複雑さ192「旅館経営の厳しさ」 

いわゆる企業としての「宿泊施設」は、なかなか望ましい利益をあげにくい体質にあるらしいが、その倒産率は突出してはいない。2023年時点で、日本のホテル・旅館総数は5万523軒だが、倒産は67軒で倒産率は約0.1%となっている。飲食店の2023年度倒産件数は930軒で、総数約82万5000軒の0,1%前後と、宿泊施設とほぼ同率だが、閉店・廃業を含めると、はるかに飲食店の廃業率の方が高いものと思われる。宿泊施設は負債過剰による倒産が主であるのに対し、飲食店は売り上げ低下と後継者不足が主な原因の、負債の無い閉店・廃業が非常に多いからだ。その意味では、宿泊施設は、客が入っていても苦しい経営状況があり得るのだ。 

宿泊施設の中でも、特に旅館はビジネスホテルなどと比べ、人・モノ・カネが非常に多くかかる。宿泊した方ならお分かりだろうが、部屋・料理・風呂に、パブリックスペースや土産店の保持にかかる人手と経費は半端なものではない。部屋は毎度の清掃に定期的なリニューアル。料理は飲食店と同様の手配が必要で、風呂も毎日のケアが必要だ。備品の管理も半端ではない。そこで起こるのが資金ショートで、今や銀行のお世話になっていない施設を見つけるのは難しいかもしれない。それらを考えると、大手グループの傘下に入り、資金や人手のスケールメリットにより経営がなりたつ方法を選ぶのも、生き残り戦術の手段だとは思う。

そして今、大きな合併ニュースが耳に入ってきた。温泉宿を展開する大江戸温泉物語と湯快リゾートが合併し、全国66施設、日本最大級の温泉宿グループになったという。数的には大江戸が37施設で、29施設の湯快を上回るが、完全平等合併らしい。大江戸の方が若干早いものの、両社ともに2023年前後に、アメリカのファンド会社ローンスターグループに売却されている。望ましい経営状態ではなかったということだ。大江戸と湯快の成り立ちは時期も2001年・2003年とほぼ同じだし、手法も確かによく似ている。その意味では合併に至るまでの親和性は高いのだろうと推察するが、なんとも劇的な収束を見せたものだ。両社の軌跡は異なるものの、経営不振の旅館を受け継いでグループを大きくしてきた手法は同様で、傍目には、両社ともに勢いがありそうだったが、資金面から皮肉なことに両社ともに同じファンド会社の経営下になり、結果として2024年11月に新設持株会社GENSEN HOLDINGSをたちあげて、ひとつになったというわけだ。当面は、湯快リゾートの社長がGENSENの社長の任にあたるという。ただしローンスターグループの傘下であるのは変わりない。利用者にとっては、今回の合併でプランの選択肢が広がり、楽しみが増えるだろうが、各観光地で頑張っている孤高の老舗旅館の存在がますます価値あるものに思えてくる。       

   2024年12月1日 間島

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食文化の豆知識210 食文化の現状189( いつもの健康アドバイス )

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食文化の豆知識210 食文化の現状189(いつもの健康アドバイス) 

最近、一部健康雑誌と化した週刊誌には、相変わらず健全な食生活の勧め、とやらの記事が途切れることなく、掲載されています。特に力を入れているのが、抗年令、つまり高齢になっても元気ではつらつとした生活を送るための食生活がテーマで、ほぼ毎週といっていいほどに組み込まれています。若者向けの理想的な食生活は?などという記事は見かけません。そうでしょう。若者は食生活の影響を受けることはまだまだ少ない。肥満の問題はありますが、健康面ではどんなに偏った食事内容でも、かなり持ちこたえる体力を持っているからです。一方、高齢者は食事内容の差で、生活レベルが大きく異なってしまうようなのです。なので掲載する価値があるのでしょう。

内容はと言えば、ほぼ同じ内容です。上質のたんぱく質を摂取すること。豆などの植物性だけではなく、豚肉や魚などの動物性たんぱく質が筋肉や体力保持のためには、必要不可欠であること。同時に野菜と果物をたっぷりととること。はい、書いてあることはほぼ毎回、どの雑誌もほぼ同じことの羅列です。読み飽きたといいたいところですが、健康保持を目的としたアドバイス記事なのでねつ造?や悪意はないものと、素直に参考にさせていただいています。でも今後は、内容に関して一歩踏み込んでほしいと思います。それは?具体的な料理名と調理方法それに原価計算と摂取エネルギーの解読、といったことです。ただ当たり障りのない、だれもが反論できないような健康論ではなく、実施するための具体的方策の明示があってこそ、その記事は値打ちがあるというものです。いやいや日ごろから、いい加減な内容でやってますから、などの言い訳は通じません。お金を取っているのですから。

 物価上昇下にあって、特に食材の高騰は目に余るものがあります。なので“○○円で作れる栄養たっぷりの料理50種”などの掲載があれば、とてもうれしい。でもそれは料理専門雑誌の役割でしょうか?ま、中途半端な内容が週刊誌の役割で、それはそれでいいのかしれませんが。 

                 食生活アドバイザー   間島万梨子 

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その210某月某日「接客には大きな差が」の巻き

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OL N子の勝手リサーチ 210 “接客には大きな差が”の巻き

飲食店で大切なのは、料理・接客・雰囲気の3大要素、といわれて久しいけれど、接客がもっとも変化していると思うわ。料理は、美味しくて値段も手ごろが一番!ってのは、古今東西、今も昔も変わらないよね。いや、値段は高くないと値打ちが無いよ、などと嘯く輩もいるとは思うけど、そんな嫌味な人はワタシの周りにはおりませんわ。雰囲気は、居心地の良さ、ってことね。いろいろな要素がかみ合って、そこにいると気分が良い、につながるので、人によって好みもあるとは思うわ。でも、大切な要素よね。

ところが、接客が今、基本は何なんだ、と疑問がふつふつと沸いてくるほどに崩れているのを感じるわ。まず笑顔がないのよね。昔の接客教育ってさ、“楽しくなくても口角をあげなさい“ってのが主流だったけど、今は、”自然で好きなようにしていいからね“に変わったの?だから皆、好きなようにぶすっとしているの?いやほんと、リーズナブルな店で、特に若者向けの店なんかで、スタッフの笑顔なんて、最近みたことありゃしまへんわ。はい、京女でっせ。笑顔と愛敬が売りの京舞妓どす。ってわけじゃないけれど、笑うと損するの?って聞きたいほどに、仏頂面に出会う店が増えたのは確かね。客も笑顔など期待しなくなったのかも。注文もタッチパネルかスマホからする方が気楽?で、いちいち、スタッフとかかわりたくないのかな?

店も二極化が進むのかもね。食べて飲めれば笑顔の対応などいらんわ、って店と、丁寧な接客が求められる店と。その差はやはり価格の違いからくるのだとしたら、随分とせちがらくて寂しい世の中になったもんだと思うわ。または世代の違い?笑顔の接客、なんて求めるのも無理なのかも。でもまだ、きちんとした店もあって、丁寧で笑顔あふれる接客に出会うと、うれしくなってしまう。それは、本人の気質もあるけど、店の教育姿勢のたまものだと思う。最近訪問した店のスタッフは、見事にボンクラでした。昔なら即クビね。ま、ただの機械なんだと思えば、腹も立たないけど。

・・続く。

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顧客満足の複雑さ191(国内・海外旅行者数から見る経済)

顧客満足の複雑さ191「国内・海外旅行者数からみる経済」 

旅はいいものだ。見知ったところであっても、見知らぬところであっても、非日常感を味わえる。それは刺激であり、緊張であり、感動であり、喜びでもある。日本に来る外国人観光客の高揚感を隠し切れない表情をみるに、旅を楽しんでいる気配が伺える。外国に観光に訪れる機会に恵まれた彼らが、少し羨ましくもある。2019年には3188万人と過去最高の訪日人数を記録し、その後のコロナ禍で激減したものの2023年には2500万人、そして2024年は2019年を上回る3310万人の訪日人数が推定されている。一方、日本人の海外渡航者数は2019年の2008万人をピークとして同じくコロナ禍で激減。2023年には962万人。そして2024年は1450万人と予想されており、外国人観光客数のV字回復と比べ、日本人の海外旅行者数の伸びの鈍化は明白である。様々な理由があろう。いまだコロナ禍に慎重であること、安全面その他の現実論として、訪問したい国が減っていること、そして何より円安を始めとする経済的要因があげられる。                                     

一方、国内旅行者数はどうなのだろう。旅行宿泊者数は2016年の延べ3億2566万人をピークに、コロナ禍を経た2023年は2億8105万人。2024年は2億7300万人と予想され、観光庁の言う「弱い動き」が如実に表れている。海外旅行と比べ、日程・安全面ともに断然ハードルが低い国内旅行でも、回復しきれていないのだ。国内旅行では為替ルートは直接の関係は無いのにも拘わらず、需要が伸び悩んでいる。これも様々な要因があげられるが、一番の理由は費用の増大化だと思われる。宿泊費用の値上がりに、所得の伸びがついていけないでいる。光熱費やガソリン代の値上がりをはじめとして、あらゆる物品が値上がりしている現状下で、宿泊費用も上げざるを得ないのはもっともなのだが、結果として、旅行者数が回復できていない。日本人は貧しくなっている、という現実は、国家の最重要課題だと思うのだが、その危機感は時の行政・立法府から伝わっては来ない。各自治体の動きは臨機応変的なものがあって、なかなかに策をめぐらした政策もかいまみられるのだが、ここ数年の国の政策からは、笛吹けど人踊らず、ならず、笛吹けど企業踊らず、の、無力感が伝わってくる。民を豊かにすることが、国家最大の役割りとするならば、ここ数年のそれは、その役を果たしていない。 

国内旅行者数の推移だけをみても、その国の真の力がみえてくる。海外旅行者が消費する額に喜んでいる場合ではない。日本独自が生みだす儲け・利益の増加を図らずに、日本国民の豊かさは望めない。さてはて、かつてのエネルギーが日本によみがえるであろうか。 

      2024年11月1日 間島

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食文化の豆知識209 食文化の現状188(親しみやすい節句)

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食文化の豆知識209 食文化の現状188(親しみやすい節句) 

4か月もの間、君臨してきた蒸し暑さが、さわやかな空気に主役の座を譲り、ようやく季節が移り始めました。秋の到来です。日本には季節ごとに節句があり、昔から親しまれてきました。1月7日の人日の節句・3月3日の上巳の節句(ひな祭り)・5月5日の端午の節句(こどもの日)・7月7日の七夕・そして9月9日の重陽の節句(菊の節句)が5大節句で、家族の健康や成長を願って、その時々の旬の食材を食べるお祝いの日です。 

今でも、1月がお正月、3月がひな祭り、そして5月は子供の日として、生活に深くかかわっています。七夕まつりも学校や各地域で笹に願い事を書いた短冊を飾り付ける習慣が根付いており、全国で華やかな七夕祭りも催されています。それらに比べ、重陽の節句は、少し地味というか、お月見的な祝いにとってかわられているようで、家族や友人たちと祝う、という習慣としては浸透していないように思われます。全国で、菊の展覧会などは催されていますが、秋のお祭りとなると、ハロウィンに主役の座を奪われているようで残念です。

ハロウインは、ご存知のように、古くはケルトの伝統がルーツで、アメリカに移民として渡ったアイルランド人によって定着した儀式です。10月31日の夜には妖精や死霊が現世界に迷い込むと信じられ、同時に親戚や友人などの霊も家に帰るとされ、火を燃やしたりご馳走を楽しむ日でもあります。なんだか、日本のお盆のようですね。大きな違いは、ハロウィンでは悪い死霊から守るために自らお化けなどの怖い仮装をする、というところで、それが、今のお祭り騒ぎにつながっているのです。本来は霊を慰めて静かにお迎えするしきたりなのが、仮装がメインになってしまったようです。ま、これもバレンタインデイのように、いずれは下火になっていくでしょう。またまた商売のタネとして、企業から新しいものが出てくる可能性はありますが。 

その点でいくと、日本で古来から伝わる5節句は、地味ながら消えることはありません。むしろ営々と継がれていくべきものです。企業側もそれをうまく商売に生かして、若い人を盛り上げる仕掛けを考えればよいのに、とも思いますが,果たして魅力ある策が出てくるでしょうか。 

                 食生活アドバイザー   間島万梨子 

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