顧客満足の複雑さ 204(年末の風景 )

      顧客満足の複雑さ 204「年末の風景」 

今年も残すところ一か月となり、宿泊施設や飲食店は何かと忙しい日々とお察しする。方針転換の著しいかの国相手のビジネスも、なかなか骨の折れることではあるが、珍しい事象ではなく、常にリスクをはらんでいるという覚悟の上での取り引きであろうと思われるので、さほど心配はしていない。リスクを避けたいなら、日本人相手が安全には違いない。 

さて、先の三連休の中日に「日本人であふれたレストラン街」を訪問して、その賑わいに驚いた。めったに外出しない連休に、親族と百貨店内のレストランで昼食したのだが、まさに人がわいていた。こちらは予約の上での訪問で、スムーズに入店できたが、お昼前にすでに店頭には10名ほどの待ち人が椅子に座っており、待ち時間は1時間では収まるまいと思ったが、その待ち時間さえも会話で楽しんでいる風が伝わってきたので、時間の無駄遣いに、こちらが心配することは無いのだろう。見れば、そのレストラン街には、20名以上のウエイテイング客がいる店も多くあり、どこが不景気なのか、と日本景気の底力?が感じられた。世界の中でも、豊かで安全で楽しそうな風景として間違いなく認知されることだろう。こんな国は、世界の常識下では希少の部類に入る。今のところは。 

今年はあちらこちらで、クマ被害が相次いだ。クマはその風貌からか、クマのプーさんをはじめ、テディベアや映画のパディントンまで、愛されキャラとして定着しているが、いま、出没しているのは、間違いなく獰猛な猛獣としてのクマで、襲われた人の恐怖は想像を絶する。そうなのだ。地球上で、人間より強い動物は山ほどいる。哺乳動物の中では、人間はかなり弱い方に入る。武器を持たない人間は、牙もないし、鋭い爪もない。はるか遠方の臭いをかぎわける鼻も小さな音を聞き分ける耳もない。優れているのは頭脳だけで、その頭脳を生かして武器を作り、車を作り、船を作り、眼鏡を作り、フォークリフトを作り、身を守る衣服を作り、生き物の頂点にかろうじているわけで、何も持たない人間はいざとなれば、猫や犬にも負ける。かれらの爪とは勝負できない。イノシシも人間より強い。鹿もその気になれば、人間を倒せるだろう。人間は餌という媚薬を与えることで、支配した気になっているが、素の能力は人間をしのぐ。私たちは先人たちに、深い尊敬と感謝を持つべきだろう。この世界に長として君臨するまでに、どれほどの犠牲が払われたのだろう。その人間同士が戦い合うさまは見苦しく、醜く,正視に堪えない。ただそれぞ生存権がある。攻撃されたら、やはり戦わざるを得ないのだろう。 

年末のにぎやかで楽しそうな雰囲気に浸るなか、ふと人間を取りまく現実としての危なげな環境におもいをはせ、来年は穏やかな世情の来たらんことを、などと夢想した次第だ。

 

                     12月1日 間島万梨子

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