食文化の豆知識202 食文化の現状181(果物適正量摂取は難しい)
一部、健康雑誌と化した週刊誌に、果物摂取を勧める内容の記事がありました。要は「果物を食べると太るとか、糖分過多になるとかで、敬遠している方がいるようだが、まだまだ日本人は果物摂取量が少ない」というものです。昨年、厚生労働省による「健康日本21」が10年ぶりに改訂され、1日に摂取すべき果物の量が200gとなりましたが、日本人の現実の果物平均摂取量が96、4gに過ぎない状況を受けての内容で、果物の健康増進効果などを、わかりやすく説明していました。果物好きの身として、より詳細に知りたくなりました。
まず200gというのは勿論、可食部量を指し、みかんなら2個、りんごなら1個、柿、梨、八朔も1個、ブドウなら1房、バナナは2本といった数値です。今は多種多様なみかんが出回り、自分も軽く200gはクリアしていますので、現在のところは余裕の数値ですが、日本人の40%が1日で全く果物を食べていないとか。加えて、20歳代は46、98g、30歳代は43、98g(令和元年データ)と、50gにも満たないというのが現実です。もっとも果物を食べていたと思われるのが1975年の193、5gで、今はそれから半減したということです。
日本の果物の美味しさは折り紙付きだと思います。外国に行けば、一部南国の果物を除いて、美味しいと思ったことはありません。ほとんどが加工用に栽培されており、日本のようにフレッシュさを味わうに適さない。まして、シャインマスカットにいたれば、りんごのふじ以来の日本が生みだした100年に一度の秀逸品種だそうです。1房1000円以上はします。なぜ、果物を食べないのかの答えの大部分は、価格が高い、日持ちしない、皮をむくのが面倒、が占めますが、本音は、価格が高い、に尽きるでしょう。日本の果物生産は手がかかり、加えて小規模の家族経営が大半です。となるとどうしても、利益が高く単価の高い高級品生産が軸となってしまう。生産者からすれば当然のことでしょうが、結果として手が出にくい商品となった、というのが現状です。さてはて、厚生労働省が薦める1日果物200g摂取は、いつ実現するでしょうか。
食生活アドバイザー 間島万梨子