顧客満足の複雑さ136「危機下で見える様々な現象」
今は何を言っても、コロナウイルスがらみになるのは致し方ない。それほどに獰猛なウイルスだと思う。蔓延しやすいところを狙って、仲間を増やしていく。日本では外出禁止令が出されていないので、自由な行動が許されているが、欧米の街の様相を見るに、まさしく戒厳令下にある。命を落とした人の多さに胸が痛む。最終的にどれだけの感染者数と死者数を出して終結するのか、だれも明言できない。“はい、これで終わりにしましょう”と、手打ちをすることもできない。そういう厄介な状況の中でも、人間の叡智やしたたかさを見ることもできる。
国際放送で知ったのだが、英国のジン酒造メーカーでは、パブ閉鎖による消費低迷を受けて、ジン製造機械を使って消毒液を製造しだした。今や需要に追いつけないほどのフル稼働状態らしい。ジンも消毒液も大差無い、という発想か。また、ドイツのダイソンは急遽、人口呼吸器の販売に乗り出した。充分な製造技術を持っているのだ。米国でもフォードが、週に10万個の防護マスク製造に着手した。いずれも臨機応変の知恵をそこに見て、頼もしさを感じた。多分、日本でも各メーカーなどが、今出来ることを模索していて、現実に知恵を出していると思うのだが、そういう元気の出る情報は流れず、聞こえてくるのは恨み節が多い。これはメディアの責任が大きい。神戸牛やズワイガニなどの超高級食材が値下がりしたと嘆くニュースなどは興味も湧かない。需要と供給のバランスが崩れただけのことだ。またオール中国人需要のホテルがガラガラ状態であるのも、気の毒ではあるが今はどうしようもない。またTOTOが中国工場の閉鎖でトイレを作れなくなったとか、ビックカメラからパソコンが消えたとか、情けない話ばかりだ。いずれも中国頼りのサプライチェーンの入荷停止によるものらしい。
いずれ、コロナウイルスも必ず終息はする。しなくてもワクチンや治療薬が開発される。それまでは知恵を出しつくす努力も必要になる。幸い、大都会以外で患者数が一ケタ台の自治体も日本では数多くある。移動手段さえ注意すれば、そして自分自身の健康状態の安定を確認できれば、加えて予算があればのことだが、のんびりと観光地で長期間を過ごす手もある。宿泊施設も誘致するプランを練ってほしい。飲食店も店自ら、キャパシテイの半分以下の客しか入れない方針で、安全性を打ち出す必要もある。こんな時でもインフラが安定しているのは、大きな恩恵でもある。自宅にこもるのがベストかもしれないが、メディアも文句や不平不満ばかりの情報をたれ流すのではなく、希望や知恵を発信する役割もある。が、今の日本のメディアでは無理なのかもしれない。
2020年4月1日