顧客満足の複雑さ133「観光産業国内消費増大の為に」
あけましておめでとうございます。昨年は大型台風が日本を続いて襲い、甚大な被害が出ましたが、台風統計からみれば上陸数並びに大型度合いは平年を突出してはおらず、被害の大小は上陸したエリアの地形や住宅密集度も影響するということでしょうか。統計が取られ始めた1951年から2019年までで、上陸数が最も多いのは鹿児島県の41件で、高知26件、和歌山24件と続きます。いずれも山間地区が比較的多く、また台風への警戒度も高いことによる被害のくい止めも多少は考えられます。いずれにしても、いつどこにでも災害は襲ってくることを肝に銘じるべきですが、それがなかなかに難しい。ともあれ、今年は穏やかな年であってほしいものです。
さて、日本の観光業において、訪日観光客数の増加は特定国の減少はあっても、集客増加を目指す意味では、まだまだ伸びしろがあるとみていい。ただ観光消費額をみると、2016年度の総額26.4兆円のうち、約21.4兆円が国内消費、つまり日本人による日本国内観光の消費額であり、大きな部分を占めているのだ。日本人による海外旅行消費額が1.4兆円。そして観光政策として力を入れている訪日旅行客の消費額は3.6兆円であった。しかし2018年度の国内消費額は約20.5兆円と4%ダウンとなった。一方、訪日観光客消費額は4.5兆円と急増したものの国内の消費減少を埋めるには充分ではない。となるといかに国内消費を高めるかの政策により力を入れてほしいと率直に思ってしまう。国内観光消費の減少は、少子高齢化が免罪符となりそうだが、本当にそれでいいのだろうか。果たして、国内観光消費を増やすための現実的な政策に、力を入れているのだろうか。
国内観光消費をあげる最も有効的な対策は、旅行しやすい土壌を作ることだ。一泊泊二食型から二泊以上の長期滞在型旅行の推進は、確実に消費額を押し上げる。そのためには、まず休日のあり方の抜本的見直しが必至となる。ただ祝日をやみくもに増やしても、大きな成果は得られない。一定の日に一定の客が集中して押し寄せるだけで、年間を通じての底上げにはならない。休日法を作り、大型連休の各企業分散化を図るとともに、有給長期休暇の推進とそれに伴っての補助金、長期滞在型宿泊施設の増加など、すぐにでも手掛けるべき課題は山積している。いくら国が連休を増やしても、旅行業者や宿泊施設が瞬間的に儲かるだけで、持続した消費を約束できないのが現実だ。今の観光対策は古い。インバウンドの増加も喜ばしいことではあるが、その前に国民による消費減少を止めることの方が重要なのは明白だといえる。次に、清潔で無駄をそぎ落とした、安価な宿泊施設の進出が望まれる。一泊二食に3万円以上支払える層の増加も勿論望ましいが、連泊型旅行をサポートする新たな施設の登場が必要だ。サービスの省略化でサービス人員を可能な限り減らすことで労働生産性を上げ、一泊1万円以下を実現するのは可能だ。また居酒屋形式の食事処を併設することで、連泊対応可能なバラエティ豊かな食環境を整える。若者向けに施設に自炊機能を持たせる方法もある。とにもかくにも、休日のあり方の見直しと共に、廉価で充分に利益が出るビジネスモデルの構築が求められよう。