食文化の豆知識214 食文化の現状193(季節を味わえる楽しみ)
季節の変わり目は、新しい食材が登場するのが楽しみでもあります。一年中、安定して供給される牛肉・豚肉・鶏肉などと異なり、収穫できる時期が限られている野菜や果物は、まさに走り・旬・名残りで表される食材です。「今は鶏肉が旬を迎えています」などとは確かに聞いたことがありません。まだ魚の方が、旬の時期を持っているものがあるように思います。一年中目にする魚もありますが、季節性を持つのは、秋刀魚、フグ、カツオ、新子あたりでしょうか。いわゆる回遊魚です。それとて著しい冷凍技術の躍進によって、年中、市場にでまわるようになっています。その意味では、野菜も水煮などで季節を超えて楽しめますが、新鮮さを味わえるものはダントツに季節を選びます。
いよいよ登場のタケノコも水煮仕様がありますが、生タケノコの独特の風味とエグサは、やはり獲り立てのものでしか味わえません。なんだか毎年、収穫量が少なくなっているように感じますが、気のせいでしょうか。タケノコの煮物は大の好物です。母のように若竹煮や木の芽和えなどの丁寧な料理は作れませんが、豪快にタケノコだけを鍋一杯煮つけます。穂さきだけでなく、硬い部分もまた美味しい。これからの楽しみです。
ソラマメも出回り始めました。ここ関西では鹿児島県産のものが主に入荷されるようです。ちょっとした高級野菜で、気楽に食卓で楽しめないのが残念ですが、独特の旨みで、これまた春のメッセンジャーです。他にも、菜の花、蕗、さやんどうなども、売り場に並び始めました。相変わらずの高値仕様のキャベツや白菜とは、もうオサラバして、これから出回る春夏野菜を存分に味わいたいと思いますが、お求めやすい価格で食卓ににぎわいを加えてほしいものです。
食生活アドバイザー 間島万梨子