顧客満足の複雑さ153「真実を見極めたい」
JR渋谷駅近くの、16歳から39歳を対象とした予約不要なコロナワクチン接種会場に、初日の8月27日早朝から接種希望の人たちの長蛇の列が、1キロに及んだ。限度300名でもって接種は打ち切られ、28日からは並んだ人たちによる抽選制に移行したという。外れれば“労多くして成果なし”ということだ。黙々と並ぶ若者の映像を見て、胸が痛くなった。“若者にはワクチンを打ちたがらない人が多い“とのメディア報道の決めつけが、いかにいい加減なものかが分かる。確かに確率からみれば、ワクチンに拒否反応を示す人は、その他の年代よりも若干多いかもしれないが、圧倒的に打ちたい人が多いのだ。冷静に考えれば、打った方がメリットで勝ることくらいはだれでも分かる。喫緊の年齢別感染者数をみれば、一目瞭然だ。8月26日の65歳以上の大阪府内感染者数割合は全体の3.4%だが、半年前の2月の時点では、35%を占めていた。今、65歳以上の2回ワクチン接種率は85%を超える。いくらメディアがワクチンへの恐怖をあおっても、データには勝てない。そして若者たちも一部を除いては、ワクチンを打ちたがっている。酷暑の中で静かに並んでいた彼らの表情が目に焼きついて離れない。一日も早く、ワクチンを希望する人たちへの接種を、ありとあらゆる知恵と手段を結集してすみやかに完了してほしい。
さて最近、驚愕というより、むしろ嗤える事件があった。テレビ朝日のオリンピック担当者たち総勢二ケタ台の人間が集まって、オリンピック閉会後の8月8日夕刻から9日未明にかけて、一次会から二次会まで打ち上げを十二分に楽しんでいたというものだ。緊急事態宣言下での堂々たる会合だ。従来なら、外部にはばれなかったところが、二次会のカラオケ店で同席していた女性が二階踊り場から飛び降り、道路に転落。外を歩いていた一般人が驚いて警察に通報したことから、この前代未聞の醜聞が明らかになった。あくる日、同局の朝のニュースで、MCが謝罪したらしいが(観ていないのでその時の様子は分からない)、その後、何の説明も無い。最も不思議なのが、週刊誌に関連記事が一切掲載されないことだ。官僚や議員、その他著名人のコロナ自粛破りを事細かくあげつらって非難していたのに、揃って沈黙を守っている。同じ穴の貉だからか?と思ってしまう。テレビ・週刊誌・新聞等メディア関連者のレベルは所詮こんなものです、と自ら言っているようなものだ。それとも内部調査に真剣に取り組んでいるがゆえの沈黙で、追って上層部の謝罪や説明が聞かれることになるのだろうか。いずれにしても、久々に嗤わせてもらった。そりゃ皆、楽しみたいよね、と寛大な気持ちになりそうなのが恐い。 2021年9月1日