食文化の豆知識180 食文化の現状159(誇れる食)
日本選手たちのめざましい活躍を残して、東京オリンピックが閉会しました。無観客の淋しさを埋めるに充分な熱気が伝わってくる試合の数々でした。振り返れば、従来であれば、つまりコロナ禍の状態でなければ、開会式は全く異なったものになっていたでしょう。日本の誇る大花火や各地の華やかな伝統色のあるお祭りなどが、絢爛豪華に会場を圧倒していたと思います。でも世界中が苦しんでいる状況下でのオリンピック開催、その開会式として精一杯の創意工夫があったと感じています。ドローンによる神秘的な地球や、自在に変化するピクトグラムも斬新でした。まさにテレビ観賞向けの演出でした。
そして何といっても、選手たちに食を提供する選手村のレストランが、大活躍だったようです。24時間オープンで、700種類ものメニューを用意し、1日4万5千食を提供したとか。各国の料理に加え、べジタリアン食やハラル食などを揃え、選手たちを支えました。かなり好評だったようで、関係者の方々の努力が報われたのではないでしょうか。美味しそうなお菓子を大きな手で、どっさりと掴んでいくほほえましい映像も流れていました。フルーツもアイスクリームも食べ放題。訪問してみたかった夢のレストランです。事業を請け負ったのは、企業向けの食堂運営を展開する、ケータリングでは最大手の会社だとか。豊富な経験と実績がオリンピックというビッグなイベントでも充分に発揮されたのでしょう。繰り返しますが、この目でずらりと並ぶ料理の数々を見てみたかった。そして味わってみたかった。食い意地が張っております。
日本が誇れる食文化を、世界へもっと発信してほしい。また国内においても、今回のオリンピックのスケール並のレストランイベントを開催してほしいと思いました。規模の大きさから、大都市での開催が望まれるでしょうが、チケット制にして、フリースタイルで食を味わい尽くす?そうなると、1日では限界があります。何日かかるでしょう。はてさて、かなわぬ夢となりそうです。
食生活アドバイザー 間島万梨子