顧客満足の複雑さ140「再度の生活活動停止は難しい」
数的には、日本でのコロナ感染者数は第二波に入っていると思うのだが、国民の緊張感が第一波時期と比べて比較的穏やかになっている気がする。覚悟していたからかもしれないが、これ以上の防衛策は取れないという諦念も確かにある。ただメディアは相変わらず、増加する感染者数の報道に明け暮れる。8月1日現在で3万7859人が感染し、1013人が亡くなられている。確かに感染者数はこの二週間、うなぎのぼりの傾向にあり、歯止めがいつかかるのか読めない不安感はある。全世 界でも1703万人が感染し、66万人を超える死者数を出したと聞けば、コロナへの不気味さに震撼せざるを得ない。ただ例年、インフルエンザにはそれほど恐れを抱く人はいない。ワクチンや治療薬タミフルの存在に安堵感を覚えるせいなのかもしれないが、数字的には、コロナを遙かに上回る。2019年の12月30日から1月5日までの一週間での日本におけるインフルエンザ感染者数は39万2000人で、前週は88万人を数えた。2019年1月だけで、インフルエンザが原因と医者が認めた死者数は1685人にのぼる。一日約54人だ。治療薬があっても、身体の弱っている人が感染するとあっけなく命が奪われてしまう。コロナと同じメカニズムなのだ。しかしながら、いくらインフルエンザが流行しようと、学級閉鎖はあっても、経済活動がストップしたという話は記憶にない。こうなると、今の騒ぎに頭を抱え込んでしまう。
さて、旅行業界や宿泊業界への業績の一助とすべく、GO To キャンペーンは予定通り施行されている。一部内容の変更がある中でスタートした。賛否両論はあるが、施行された以上、供給側、使用者側双方が、スムーズにその効果を受けるべきであって、これもまた一定の期間を経て、真の是非が評価されるものだろう。特に今、宿泊業界で盛り上がりを見せるのが、地元客誘致戦略だ。遠方客の利用に対する感染不安が一層、地元客に期待を寄せる一因となっている。ただ考えれば、何故今まで、地元客をターゲットとする戦略が出てこなかったのだろうと疑問を感じる。 以前に“地元客は宝の山なのに”という疑問を呈したことがある。温泉と料理と宿、この3点セットは、家事を預かる女性にとって何よりの解放であるのは勿論のこと、年齢性別問わず命の洗濯となるだろう。近くにその提供場所があるのは大きなメリットになる。移動に疲れないし、満足すれば確実にリピート率もアップする。遠方からの客を期待するより、はるかに上客となり得るのだ。コロナ禍をきっかけとして、宿泊意義の変化が供給・利用双方共に定着してほしいと思う。一方、飲食店はその多様性と店舗数の多さゆえに、なかなかに業績援助活動は難しい。接客の度合 いも、規模も異なる中で、会食は避けてほしいとの行政からの一律的なメッセージは、まさに死の宣告に等しいだろう。やはりここはターゲットを絞っての、ピンポイント行政指導しかない。 間島万梨子