【第142回】 食環境の現状(121) (食品ロス減少の新たな展開)

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食文化の豆知識142 食文化の現状121(食品ロス減少の新たな展開) 

食品ロスは様々な形で、様々なところから出てきます。家庭からは、賞味期限切れの食品の廃棄、食べ残し、野菜や果物の過剰切り取り、などが主なケースでしょうか。盛んに、食品ロス減少のための提案の声が聞かれます。消費者は啓蒙しやすい対象なのでしょう。それに対して、企業側の努力は?と思っていたところ、朗報が届きました。製造技術の向上と高機能な容器開発により、賞味期限そのものを伸ばすことで、食品ロスを減らそうと言う試みです。 

キューピーでは、製造過程での酸素減少で賞味期間を延ばすことに成功。牛乳も製造過程での徹底した衛生管理で賞味期間を倍に伸ばしたとか。一方、容器の改良でおいしさを保つ技術も進んでいます。容器の密閉性を高め、品質劣化を防ごうというものです。このような賞味期間延長は確実に食品ロスを減らすことにつながります。以前、カナダを旅行した際、客がスーパーで買い物をしている横で、黒い大袋を持った男性がパンや菓子類を目にも止まらぬスピードで袋に投げ入れていました。賞味期限切れが近い食品を廃棄していたのです。日本では少なくとも、客の目の前でそのようなことはしないでしょう。かなり衝撃的な場面でした。ことほどさように、食品メーカーによる賞味期間延長は非常に望ましいことです。 

さて、飲食店での食品ロスも大いに気になるところです。売れ残り材料の廃棄はもとより、客の食べ残しも馬鹿にはならない量になっているはずです。ファストフードから出る廃棄率は、どれほどなのでしょう。企業秘密とも言われています。ただ、客の食べ残しは、客自身の気づきでかなり解消されます。食べられる量を考えて注文する。食べ残しは持って帰る。これは店側の同意も必要ですが、生もの以外の火の入った料理は、一日くらいは十分に大丈夫です。食べ残し持ち帰りは、もっと自由に普遍的になっていいと思います。 

             6月10日  間島万梨子 食生活アドバイザー

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